ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 ホイットニー・ヒューストンさんのこと

彼女はちょうどわたしが新入社員で、某企業の海外営業本部というところに配属された頃にものすごくよく聞いていました。
別段英語が得意ということもなく、音大出身なのに、なぜその部署にいるのかものすごく疑問を感じていた頃。
同じフロアに配属になったのは男子5名、女子5名トータル10名でしたが、多分わたし以外はみんな語学関係の大学とか、語学が趣味とか、ESSのサークルに入ってたとか、そんな人ばっかりだった気がします。
なんだか場違いのところに来ちゃったかも?と思っていた頃、みんなと仲良しになるきっかけになったのがホイットニー・ヒューストンでした。

そよ風の贈りもの

そよ風の贈りもの

このアルバムは、どの曲も歌えるくらい聴きこんでいたし、実際、カラオケはもちろん、給湯室でもトイレで手を洗いながらでも(笑)誰かが歌い出すとみんなで合わせて歌ったりしてました。
そうこうしているうちに、みんなとすぐに仲良しになれて、気がつけばまったく関係ないはずの会社での毎日までもがとても楽しいものになっていたのですよね。
彼女の歌声は、ひとことで言うと「圧倒的」でした。
あんなに豊かな声量と歌心を持った女性歌手は、世界的にそう何人もいないのでは?といまだに思います。映画、ボディーガードもとても好きで「I Will Always Love You」も大好きですが、1曲あげるとしたら、これ。

「Saving All My Love For You」。
これはわたしの思い出の中でいつまでも輝いている曲です。
そしてたくさんある動画の中で、あえてライブバージョン的なものを選んでみました。
やっぱりどんな場合であれ、臨場感がある生歌が好きです。彼女のような実力派の人であるなら尚のことです。
楽譜に忠実に演奏することをずっと追求してきたわたしが、自由に飛び回るフェイクとかスキャットを心底素敵だと思った最初が彼女との出会いだった気がします。
訃報に触れて初めて彼女の年を知ったら、ほぼ同世代だったというのが衝撃でした。
もっとずっと年上かと思ってました。
数年前に復活コンサートをした時は、どうやら全盛期のような歌声ではなかったと聞きました。
でもでも…彼女ほどの実力があれば、きっとまだまだたくさんレッスンを積んでふたたびの復活への道もあったのではないかと思えてなりません。
長生きしていたら、50代には50代の、60代には60代にしかできない、70代になっても70代らしい…きっとその年齢なりの円熟した表現がたくさん聴けただろうにと思うのです。
とても残念です。ご冥福をお祈りいたします。