ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

作戦成功とタランテラ選手権!

ひとつ前の超個人的な日記にたくさんの方に反応していただきありがとうございました。
今日はレッスン日記です。
うちの教室には小学二年生の生徒がたくさんいます。
この2年生軍団はみんな今現在学校が違うのですが、幼稚園がたまたま一緒で仲良しだった子たちです。
学校に入ってからはほとんど集まることはないそうですが、レッスン室の壁に絵を飾るところを作ってあって、お互いにお題を出し合って同じものの絵を描いてきたり、一言コメントを書き合ったり、レッスン日も別々ですがずっと教室の張り紙を介して交流がつづいています。
その中の一人「ちびことちゃん」は稀にみるやる気満々な女の子です。
なぜか我が教室では似たような名前の生徒がいっぱい入って来て不思議です。
ふぇるまーたを長く読んでくださっている方ならご存じだと思いますが、名物生徒のひとり、初代ことちゃんは気づけば中3になりました。
受験生で一番忙しい時期に入ったので、とびとびにレッスンをしていますが、気がつけば生徒と先生というより親友という域にに入ってきました。
昨年の秋、学校の合唱コンクールの直前にはものすごい意欲を見せて、一緒に深く曲を掘り下げたい!!と言われ、毎日通って来てました。
この話も別途書きたいです。
気づけば本当にびっくりするほど大人になり、感慨深いです。
今日の主役のことちゃんは小学2年生の方のちいさいことちゃんなので、今後「ちびことちゃん」と書きます。
彼女はチアダンスもやっていて、とても活発です。
幼稚園時代、教室に来たばかりの頃は活発過ぎて狭いレッスン室の中で逆立ちしたりでんぐり返しをしようとして頭をぶつけたり、片時も目が離せない幼児でした、笑。
三年目に入り、今はYouTubeで見つけてきたはやりの曲を自主練してきたり、歌詞を全部ノートに書いてきたり興味も好みもさまざまに展開してますが、凝り性なのは相変わらず。
そして教室のお絵かき部!?でもリーダー格の一人で、鉛筆で塗り絵用の絵をせっせと描いてきては「だれかもってかえってぬってください。」とメモをつけて呼びかけたりもしています、笑。
教室のぬり絵係だそうです。
ほかにお題係、掲示係の子もいて。
お題によっては(好きなキャラクターを描くとか、一押しの動物を美しく描くとか)もっと大きな子たちも参戦して気づくとレッスン室が張り紙でいっぱいになります。
さて、話は戻ってちびことちゃんです。
ピアノの練習がとにかく大好きで、家に帰るとランドセルを置くのもそこそこにまずピアノを弾かないと気が済まないそうです。
うまく弾けないとくやしくて、自主的に朝も弾いたり、納得がいかないとごはんを食べてからまた弾いたりするそうです。
うちの教室では今わりと練習好きの子が集まっていて、言われなくてもそこそこ練習する子が多いのですが、彼女は中でも特に練習好きです。
練習嫌いも極まれり・・・というタイプだったわたしからしたら今の子たちの勤勉さが信じられないし(笑)
なかでもちびことちゃんは神がかりに素晴らしいので、いつも褒めまくっていますが、本人は何が?という風情、笑。
息をするように練習している感じで、親御さんも弾きなさいと言ったことはないんですって。シンジラレナイヨ!!素晴らしい!!
さて、そのちびことちゃん。
練習が好きなのはいいのですが、若干リズムが怪しくて、勝手に間違えたまま覚えてしまうと、練習が行き届いているだけに、すでにレッスン日までに完全に間違った癖がついてしまい、間違いを指摘されても簡単に直せなくて苦労するということがよくあります。
それなのに超負けず嫌いなので、一回で宿題の曲が全部「あがり」にするということに命をかけてるんじゃ?というくらいこだわっていて。
「来週もう一回ね。しあげ!!」というとものすごくいやな顔をします。
「絶対やだ!今日で終わりだもん!!」とがんばってしまいます。
どんなに上手な子だって一週間では仕上がらない曲なんていくらでもあります。
何週もやる曲があるのはしごく普通のことですが、どうしても2週間同じ曲をやるのはプライドが許せないらしいです。
で。
「今ここで百回弾くからあがりにしてよ!?」とか。
「うまく弾けるようになるまで帰るもんか!!」とか。
こじらせてしまうととても面倒なことになります(笑)
困ったなぁと思っていて・・・
先週不意に思いついて
「ねえ、この曲さ、あまりにもことちゃんが上手だから、お手本動画撮らせてもらってもいい?」と言ってみました。
「これ本当にむずかしいから、がんばれば二年生でもこんなに上手に弾けるんだよ!?っていうのをみんなに見せたいんだよね!?」
そうしたら、ことちゃんはいつもの歯切れの良さはどこへやら。
今録画するの?
困るなぁ・・・と小声でぶつぶつ。
だってもっと完璧に弾きたいんだもん。(負けず嫌いに火がついたぞ!?)
完璧ではないことは自分でもちゃ~んとわかってます。
そして最後には
「来週までに猛練習してきて、どうせなら完璧な形でみんなに見てもらいたいから、もう1週間やってきてもいい?」
と自分から言いました。
やった!!!大成功!!!
(と心で思いつつ、ポーカーフェイスはくずさないわたし、笑)
「そ~お!?でもさ、もう1曲宿題が足されるの面倒じゃない?」と聞くと
「全然面倒じゃないよ、もうほとんど弾けてるのをもう1曲追加で練習するだけだもん。」
だって、笑。
というわけで「しあげ」という言葉を使わずに、自分からもう1週間同じ曲を練習してくるという約束をしてくれました。
昨日がその約束の日で、すでにその曲を歌いながらレッスン室に入ってくるちびことちゃん。
「この1週間、毎日10回は弾いてきた!!」と得意顔です。
実際、それはそれは上手に弾けていて、わたしもとてもうれしかったし、誰よりもすらすら弾けるようになった本人がうれしそうでした。
もちろん動画に撮って親御さんに「どうですか?この素晴らしい出来!!」と大いばりで送ったらおかあさんもたいそう喜んでくださいました(笑)
win×2ではありませんか!!
最近動画を撮るというのをレッスンに取り入れていて、生徒の雄志を親御さんに見せたり、わたしのお手本を生徒に送ってあげたり、生徒とわたしで連弾した動画を撮って次にその曲を弾く子や親御さんに見せてあげるなど、いろいろと活用しています。
うちの生徒のうちは共働きの家が多くて親御さんがみんな忙しいし、さまざまな事情で人前に出るのが極端に苦手な子が何人かいるので、発表会をやっていません。
その代わり、時々レッスン動画のやりとりをしたり、親御さんの方からも生徒の練習風景が送られてきたりもして、新しい展開が次々と始まっています。
こういうのも楽しいなぁと思いつつ、ちびことちゃんが次々と「これも撮って!」「これはまだ練習が足りないから来週」とか言い出していて、しめしめと思っているわたしなのでした。
今現在、うちの教室の子たちとは、どの子ともいい感じに絆が出来てきて、どの子もまっすぐに関心がピアノに向かっていて、いい感じになってきました。
一時期託児所状態で、ピアノ教室なんだかお預かり教室なんだか?と家族に言われてた頃がうそのようです。
ほかの子ともさまざまなおもしろエピソードがあって、それぞれの生徒との「ふたりだけの秘密」もたくさんあります。
そうこう書いているうちに、またおもしろい動画の連鎖が始まりました。
「タランテラ」選手権です。
タランテラというのは速い舞曲の一種ですが、どの曲もちょっと似ていてどこかくせになる系です。
バスティンの教本に載っているタランテラのページには気持ちが悪くてちょっとユニーク、間抜けな感じの毒蜘蛛が描かれていて、この絵もお絵かき部のお題になったのが記憶に新しいところです、笑。

教本にはこのように書かれています。

タランテラはイタリアの速いダンス曲です。
タランチュラという毒蜘蛛にかまれて気が狂った人は、激しいダンスをするとなおるという迷信がありました。

諸説あるので、これが正解かどうかは置いておいて・・・
みんなにこの文章を読んでもらうと「なんじゃそりゃ?」と言い(笑)
絵が気持ち悪いと文句を言い。
「気持ち悪いからはやく終わらせる!」とか

「上から自分でかわいい蜘蛛の絵を描いて貼っていい?」とか言うくせに

気づけば一直線にはまってしまう魔力のようなものが「タランテラ」という曲たちにはあるらしいです(笑)
なぜか狂ったように弾く!弾く!弾く!
そのうちに「もうあがり」といってもレッスンのたびに一回だけタランテラも弾いていい?と言い出します。(おやっ!?)
いつもなら頼まれても「もう一回は絶対にやらない!」と言う子たちです。

わたしは彼女たちがそう言うたびに、その昔「We are the World」のメイキング動画でのレイチャールズの発言を思い出します。

この曲に素敵なフェイクを入れてくれと頼まれたレイチャールズは茶目っ気たっぷりにこう答えます。

「いい?一回しかやらないからね。ちゃんと撮ってよ!?」

このレイチャールズの自信満々な姿には当時しびれたものでした、笑。

うちの生徒がそれを言うと「はぁ?なんやと?」ですが、一方でいつもあのときのレイチャールズを思い出して笑ってしまうのも常、笑。

そんな態度の生徒を見慣れているので、このタランチュラに傾ける情熱にはいつもびっくりさせられます。
どの子もこの曲を与えられるとどんどん速いスピードで弾きたくなっていくのもそっくりです。
まるでタランチュラの魔法?毒牙?にかかったか?という風情です(笑)
そしてそのうちに「動画に撮ってくれ」と言ってくるのも一緒(笑)
ならばお互いに今やってるご自慢のタランテラを撮って見せ合おうというイベントをスタートさせることになりました。
競争じゃないんだからね。
上手いだけがいいんじゃないよ!?
いかに自分らしいタランテラを弾くか?だよ。
ユニークさを見せ合う側面もあるから、おりこうさんなタランテラじゃなくてもいいよ!?
言えば言うほどになぜかやる気になる生徒たち、笑。
こんな風にイベントにしちゃうとちょっと難易度が高いかな?というものでもチャレンジして弾けるようになったり、もっともっとむずかしいの!!と自分から言い始めるから不思議です。
バスティンのこのタランテラに出会い、オルガンピアノにも違うタランテラだけどリズムや速さ、感じ方がそっくりなタランテラがあり。
ブルグミュラーにもギロックにも有名なタランテラがあります。
意欲に火がついた子がただいま3人!!
広がっていくのかどうか、そんなことも楽しみです。
ピアノを介しての彼女ら彼らとの時間はわたしにとっても癒やしです。
みんながんばれ~♪