ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

ふたつの邂逅(出会い)と刺激。そして道は続くのだ。

いろいろとご心配をおかけしておりましたが、お蔭さまで先々週の土曜日に行ったCT検査の結果も良好ということで、ほぼ生活が元通りになりました。

自転車も普通のスピードで漕げるし十分に眠ることができ、おなかもちゃんとすくようにもなってひと安心です。

とはいうもののまだ再来週には循環器内科の予約も残っていて。

今月末に再度呼吸器系の検査を行ってそれでも変化がなければ治療終了だからね!

ムリはしないでよ?と先生から念を押されていて(笑)

まだまだお試し運転状態は続いています。

さて。

昨年の晩秋からわたしは、音楽理論の中でもいわゆる和音に特化して勉強する「コード塾」の配信講座を受講しています。

講師は樹原涼子先生という方です。

樹原涼子 - Wikipedia

詳しくは↑のWikiを見ていただくとして。

作曲家でピアニスト、クラシックのみならず、ジャズ理論も学ばれ、まさしく同じ時代を生きる作曲家として数多くの素敵な楽曲を世に送り出し、ご自分でも演奏家としての活動もしていらっしゃるすごい先生です。

初歩のピアノ教育の教則本「ピアノランドシリーズ」の生みの親でもあって。

かつての偉人ではなく、同じ時代を生きていらっしゃる先生が「今」に照準を合わせて創作された魅力的な曲満載のシリーズなので、わたしもレッスンにたくさん取り入れています。

一つ前の日記にも書いた、ミキちゃんの心を動かした「オバケやしき」という曲もまさしく樹原先生のピアノランドの2巻の中の一曲だし。

初心者の初レッスンで必ずどんな子ともほんの一部でも連弾する「おさるのかごや」という曲もピアノランドの一巻の作品です。

先生の作品や教材類はこのピアノランドシリーズ以外にもたくさんあって。

趣味で自分のために弾いている曲も多々ありますが

スケール(音階)やいろいろな旋法、即興演奏や和音の聴き取り術の本などほかの先生方が出版されている教則本とは一味違うものもたくさん出していて。

ピアノの先生が自分の勉強をするのにぴったりな教材も数多くあって、これまでちょこちょこ独学で勉強もしてきました。

中でも「コード」はクラシックだけを専門にやってきた人にはなじみが薄い分野だと思います。

クラシックではかなり似ているけれどちょっと違う「和声学」というのがありますが、わたしはそんなに得意ではなく学生当時、深堀もしませんでした(恥)

とはいえ最近はピアノ譜にもよくコードがついているし。

子どもたちが持ってくる歌本からアレンジを頼まれたり。

テレビのアニメの大好きな主題歌を「弾いて弾いて!」

あるいは

「どうしても弾きたいから楽譜にして!」

と言われることも多いので。

コードを読み解かなくてはならない場面も多々あります。

さらにクラシック以外にも、趣味で聴いているFUNKミュージックや、そこで知りたいと思って開く楽譜にもコードが多用されていて。

推しのライブに行くとコード進行が気になったり、転調や変拍子で考え込んだり、笑。

変拍子のリズムを取りきれず??っとなったり。

ワンコードで回しているのに、そういうアドリブもありなの?と素朴な疑問が湧いたり。

知りたいけれどわからないことがわんさか出てきて勉強の必要を感じていたところでもありました。

ちゃんとコードや和声進行のルール、進行というものの理解を深めたいし。

なんならピアノでちょっとしたアドリブくらいちゃんと弾けるようになりたいし。

そんなこんな、いろいろな思惑があって始めた講座だったのです。

ところが…

ご存じの通り5月の連休からこっち、かつてないほどに体調を壊してしまいました。

それこそ息をするのもやっとという状況だったので。

家に居ながらにしてパソコンで勉強できる「配信」なのに、それさえも見る心の余裕がまったくなくなってしまいました。

この配信講座は毎月一回更新されて、次の月の内容が公開されるまで何回でも観ることができるというルールです。

一回分だいたい2時間弱というボリュームで、一回見たくらいではとても理解できないので何回かに分けて何度も見ます。

また自分で弾いたり考えたりしないと身につかない宿題もあるので

ピアノの前に座って転調したり展開したり、ひたすらにコードと格闘する時間も必要です。

それでも5月は半分くらいまでなんとか動画を見るだけでもとがんばったものの。

6月に至っては一度も見ることができないままに時間が過ぎてしまい、動画を見る期限までに全部見るなんてとても無理!

生徒と向き合うことだけでも必死な毎日の中で。

さらに自分の勉強なんてできるもんですか!!…という悲しい状況となりました。

さらに教材もこの時期になると一回飛ばして次から見ればついていける…ようなものではなくなっていて。

このままでついていくのはきっと無理。

ということで、泣く泣く中途脱落のおわびメールを送りました。

講座受講は3か月ごとに更新なので。

「7月の更新はあきらめます。本当に申し訳ありません。」

と書いて送ったのが6月末のことでした。

ところが…

そのメールを送ってほどなく、なんとわたしからしたら雲の上のお方、先生ご本人から突然お電話をいただいたのです。

お逢いしたことはないけれど、いつも配信で何度も何度も拝見しているので、先生の声のトーンとか調子は知り尽くしていて。

すぐに「あっ!樹原先生ご本人だ!」とわかりました。
先生はいつもの調子で

「肺炎になられたんですって?大変でしたね~

でもレッスンは続けられていたのですって?

気持ちは本当によくわかります。よくがんばりましたね~」

とねぎらってくださり。

そしてなんと

「そんな理由でお勉強をあきらめるなんてもったいないです。

いい機会だし、ルールの方を変えましょう!!」

とそんな風におっしゃってくださったのです。

その月の動画を見る期限を「ひと月」と決めたのは、期限を切らなければきっとみんなもっと勉強や宿題を溜めてしまうだろうと思ったからで。

誰かを振り落とすためではないのですから。

そのルールに縛られることはないのだし。

わたしがルールを変えればいいだけのこと。

そんな風におっしゃってくださいました。

そしてそして。

そう決めたので、善は急げということでわざわざ受講者の一人にすぎないわたしに早急にお電話で伝えてくださったとのことでした。

「これからは復習もできるように全部の動画のURLを受講者のみなさんに解放します。」

「レインさんの場合、具合が悪くなって見られなくなったところから見てもいいし。

わからないところが出てきたら遠慮なく最初の方にも戻って見てくださいね。」

そうおっしゃってくださるではないですか!!!

なんてなんてなんて…ありがたいことでしょう。

ご自分で信念をもって決められたルールをいとも簡単に変えることができる先生の潔さと覚悟。

ああ、わたしも「ひとり」のためにこんな風に尽力できる先生になれるだろうか?

講師としても人間としてもなんてすばらしい方なんだ!!

わたしもかくありたいものだ…と心底そう思いました。

しかも配信講座ですから、モニターの向こうには生徒さんたちが常に数多くいて。

全員の顔が見渡せるような環境ではないのです。

そんな中、たった一人のメールを捨て置かずちゃんと拾ってくださり。

雲の上のような方が一介の受講者に直接お電話をくださるありがたさ。

「これはがんばるしかない」とこの出来事で決意を新たにしました。

ほんの少し前までは、具合が悪くてとても弱気になっていて。

もう年も年だしピアノの先生もそろそろ引退の時期かもね。

となるとこの年になってコードの勉強なんて所詮無理だし無駄だったよね?…

くらいの超いじけた心持ちでいたのが…

晴れ晴れとまた「RE START!」そんな気持になりました。

本当にありがたいできごとでした。

しばらくは病後であまり外へも出られないし、夏休みの間は自分の仕事としてのレッスンと、コードの勉強と、そしてさぼりがちだったピアノの練習とで過ごそうと決めました。

さらにさらに。

「よ~し心機一転、勉強もレッスンもがんばるぞーっ!!」

と決めたタイミングで、今週はもう一人、わたしのスイッチを押してくれた方がいたのです、笑。

それはわたしの「推し」.ENDRECHERI.その人によってもたらされました。

ファンミーティングという名のその催しは、当日まで一切内容が明かされておらず。

ライブと比べると参加費用もとても安価だったので。

申し込んだ頃は正直体調が怪し過ぎて「ダメ元で」という気持ちの方が強かったです。

実際、時期がもう2週間前にずれていたら、まだ無理とあきらめたかもしれません。

たまたま体調もよくなって、かなり怖々、リハビリのつもりで出かけた3月以来の都内でしたし。

「なんとか元気に彼に一目逢えるだけでしあわせ♡」

くらいの気持ちで出かけていったのに。それなのに。

この日行われたファンミーティングは、想像していたのと全然違っていて。

超刺激的なFUNKの歴史を辿る旅の座学&デモンストレーションで。

まさにわたしにとってこんな興味深い内容があろうか!!

ど真ん中の内容だったのでありました!!!

「ファンのレイン」が無条件に楽しくてしあわせで大喜びだったのはもちろんのこと。

「ピアノの先生としてのわたし」にとっても同じくらい刺激的で。

いい意味でここのところの自分のピアノの先生としての在り方に「喝」を入れられた気さえしました(笑)

前半は「剛さんがFUNKの歴史を辿る旅」というテーマで長いスピーチをされたのですけれど。

それをクラシックに置き換えてわたしが今「西洋音楽史」について、あんなに情熱をもって人を惹きつけるようなレクチャーができるだろうか?

そもそもそんなテーマで長々熱弁をふるったとて。

生徒が飽きちゃうだろうな?なんて理由で、そもそも挑戦すらせずに最初からあきらめたりはしてないだろうか?…なんて思ったり。

最近剛さんほど情熱をもって日々音楽と接したり、生徒に向き合ったりしているかな?とか。

おぉ!!わたしの推し、なんてすばらしい!!という気持ちと。

「わたしまけましたわ」(回文)

完敗にもほどがある!!(まっあたりまえなんですけど、笑)というちょっと悔しい気持ちと(笑)

打ちのめされて幸せ~だから大好き~♡という気持ちと(笑)(笑)

いろいろがせめぎ合って俄然やる気が出ました。

剛先生の講義を受けていたら、あまりに日ごろ受けている配信講義とも共通点があって(笑)

思わず二日目はノートを取り始めてしまったわたしですが(笑)

この話も別途ちゃんと書きたいです。

ほんの2週間前には体調不良で参加さえ危ぶまれた場所になんとかたどり着けた奇跡。

そしてど真ん中の内容に刺激を受け過ぎて打ちのめされたしあわせ。

こうやって自分という存在の「底」を見たような気持ちになった直後でも、何かがきっかけになってまた道は転がっていくのかも?と思わされました。

FUNKも超面白くて、また勉強する気満々になったのですが、一方でクラシックもまたとてもとてもおもしろいんですよ~

そしてかじりかけのコードのお勉強もやっぱりあきらめきれず…

せめてちゃんとわかって自分で楽しめて。

教えて?と言われれば生徒にも伝授できるくらいにはなれたらいいな。

健康な身体でいることの大切さも重々にわかったところだし。

どんなに気をつけていても病気になることもあるし、人の時間には限りがあることも徹底的に思い知らされたこともあって。

これからどうしたらいいのかしら?

と本格的に迷い悩み始めたところでタイミングよくふたつの邂逅がありました。

道の向こうに何が待っているのか楽しみにしつつ、マイペースでゆるゆるといきたいです。