ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

ピアノのこと。配信見て良かった!なこと。「でもさ♪」(はるかちゃん風)の成仏。

今月の最初の日曜日。6日は、夕方6時から中2の生徒、Sちゃんの振替レッスンでした。

彼女はうちの教室で自他共に認める、最もピアノが好きな子です。

毎年当然のように合唱コンクールの伴奏者に選ばれてきたし、ベストピアニスト賞を取ったり、部活の吹奏楽部でもフルートの要でもあるのに、先生から他の子ではムリだからピアノパートを任されたりしてきました。

そんなSちゃんが、どうも様子がおかしくなって遅刻がちになったのは夏休み、8月頃からでした。

お母さんに、今の塾は頼りないから塾を替わるようにと言われたそうで

「8月は切り替わりの時期で、もったいないから二つの塾の両方に行かなくてはならないの」

とSちゃん。

それじゃなくても吹奏楽部は朝練もあるし、毎日遅くまで部活があります。

大変だろうけど、夏休みだけのことだろうし、大目に見るしかないかなぁと思い、見守ってきました。

それが2学期になってもちっとも彼女の忙しさは改善せず。

聞けば、ふたつの塾と、小学校以来の公文も結局全部やめることはできなかったそう。

部活の後、月曜日から土曜日の放課後は10時頃まで全部埋まってしまったというのです。

でも、どうしてもピアノはやめたくないということで。

これらを全部やれるならピアノも行っていいといわれたそうで。

ある週は週末の部活の前、早朝8時半や9時から。

ある時は、日曜日の午後6時とか7時から。

隙間が空いたと土曜日の午後8時に突然来たり。

それはそれはムリを重ねてやってきました。

それでもどうしても来たいということで、大変な思いをしながらピアノに通ってきてくれていました。

でも所詮ムリなものはムリなわけで、ほんの隙間に寝過ごしたり、うっかり忘れたりということも起こり始め。

すっぽかすことはないものの、遅刻が増えたのも事実。

お休みの日に時間が大幅にずれるので、うちの家族からもブーイングが聞こえたりして、困ったなぁと思っていました。

さらに困ったことに、2学期に入ってから、お母さんとなかなか連絡が取れなくなり、レッスン日の確認がとてもむずかしくなりました。

何度確認メールをしても半分くらいしか返信をもらえないのです。

早めに聞いてあげればお返事も早いかしら?と1週間前にメールしても返事は当日の朝突然だったり。

こちらからのお返事を催促するメールを無視されたり。

そもそも家の電話番号は学校にも教えない方針なのでということで、教えていただいておらず、メールだけが頼りで、こんなに時間がバラバラなのに、連絡が取れないというのは本当に困ったことだと思っていました。

お月謝はきちんといただくのですが、親御さんと連絡が取れないストレスと、あまりにもぐちゃぐちゃなタイミングで突然入るレッスン。

おかしいな、おかしいなと思っていたものの・・・生徒のピアノのモチベーションはまったく下がらないし、ピアノもがんばった甲斐あって、どんどん上手くなるので、大目に見ておりました。

さて。

最初に戻って・・・

12月6日、午後6時からと思っていたレッスンは、彼女がうっかり寝てしまい、かなり時間が経ってから本人が大慌てて電話してきて、午後8時からに変更になりました。

その間、わたしも黙ってただただ待っていたわけではなくて。

もしや寝ちゃった?と思い、10分過ぎ、20分過ぎ・・・と、何度もおかあさんに「来てませんがどうしましたか?」とメールをしました。

以前ならすぐに気がついて起こして連絡をくださったりしていたのに。

ここのところのパターン通り、今回もまったくなしのつぶて。返信なし。

せっかくの日曜日、食事を待たされているうちの家族も怒り出すし、それはそれは険悪ムードの中。

例によって彼女は平謝りしながら飛んできました。

そしてうっかり寝てしまったことが不本意だった証拠に、寒い中、部活のジャージだけ、上着も着ずに靴下も履かずに飛び出してきて、しかもショパンは完璧な出来栄えで、ピアノから少し気持ちが離れてるなあともちっとも思えずで。

忙しいのはわかるけど、今後はこれじゃ困るわよ?と少し厳しく言った後は、いつも通りとても楽しくレッスンをしました。

なぜお母さんがメールを返してくださらなかったのかは藪の中。

寝ていることに気づいたのに、なぜ見て見ぬふりだったのか?

さらに、あれだけメールをして、2時間も遅れたのだから、一言くらいおかあさんから何かあってもよくない?とも思ったのですが、何もなく・・・

不審に思ったものの、バタバタになってしまい、その後はすっかりそのことごと忘れてました。

そして、翌月曜日。

次のレッスン予定日の前日、突然連絡が途絶えがちだったおかあさんから、電話がかかってきました。

震えるような声で、かなり思いつめた風で。

「突然ですが、ピアノをやめさせてください。」というのです。

「生徒本人は納得しているのですか?」と聞くと「いいえしていません。わたしの一存で電話をしています。」とおっしゃるので二度びっくり。

そりゃそうでしょう。

「次はこの曲をやりたい!ちょっと見せて?」とうちの楽譜を持って行ったばかりだったし、火曜日ね!と言って、笑顔で手を振って、いつも通り別れたのですから。

お母さんがおっしゃるに、中2の彼女が勉強に身が入らないのはピアノのせいで、一度彼女からピアノを取り上げなければ取り返しのつかないことになると思い込んでいらっしゃるようでした。

「ピアノがSの隠れ蓑になっていて。現実逃避の道具になってるんです。」

とお母さん。

彼女は常に学年でトップグループに入っているそうだし(同級生から聞くところによれば)学力において、まったく心配するような状況とも思えないのですが、とにもかくにもお母さんはそう思い込んでしまっていて。

焦るあまり、塾も増やし公文も行かせ、追い込めばピアノをやめたくなると思ったのに、どんなに忙しくしてもやめたくないと言うんです。

それなら、先生の方からやめさせたいと思ってもらえればと思い、ずっとこちらからの連絡をあえて絶っていたのですよ?

先生が呆れて「もうこのコはダメ」って「先生から」言っていただきたかったのに・・・そんなサインはいっぱい出していたでしょう?とおっしゃるではありませんか。

ええええーーーっ!?そうだったの?

それならそうだと言ってくださればよかったのに(涙)

そんなまどろっこしいことしなくても「やめるようにもっていってください」って直球で言ってもらえれば、協力もした・・・かも??(いや、どうかなぁ、笑)

要はわたしもまた鈍感で、KYで・・・おかあさんの思惑通りにはならなかったというわけです。

そんなこんなで鈍感なわたしに耐えかねたお母さんは、わたしへと直訴してきたというわけでした。

なんでこんなことになっちゃったのだろう??

みんなが疲れだだけで、誰一人しあわせになれないよ。

動揺を隠しつつ・・・

「何のお別れもしてないし、彼女もやる気満々で別れたところだし、せめて明日のレッスンで終わりではダメなのですか?」

とお聞きしたところ。

「もう会わない方がいいと思うのです。先生と会うと、またピアノが弾きたくなっちゃうから・・・」

「実際レッスンから帰ると憑りつかれたように弾くんです!それが一番困るんです!!」

って。

いやいやいや。

ピアノの先生としては、それこそが理想形なわけで。

どんなに練習しない子も、うちでレッスンを受けて、やる気を出して帰ってもらうというのは、わたしがこれまで時間をかけて仕向け、辛抱強く育ててきたことで。

そこを全否定されてしまっては、どうにもこうにも今後の展望がありません(涙)

そして、彼女は決して練習好きではないから、きっとこれからも「練習しなさい。」と言わないわけにはいかないと思われるし。

これはダメだ。どうにもできない・・・

ということで、わたしも納得して・・・鈍感ですみませんでした・・・という感じになって、突然にレッスンは終わりとなりました。

「お借りしていた楽譜も、残っていたお月謝も(まだレッスンに来ている)妹に預けます。」

「受験が終わるまでピアノは弾かせるつもりはないし、本人にはももう、道で会っても声は掛けないでください」

とまで言われてしまいました。

がーーーん。

いろんな意味でショック過ぎて、立ち上がれず。

楽しいことがいっぱいあるというのに、イマイチ乗りきれず。

とはいうものの、日々、他の生徒たちは来ていて、そこそこ忙しいので。

だらだらと心に蓋をしたまま、気がつけば今月も25日!!

そろそろ浮上せねばと思ったので、出てきました。

そもそもピアノがワルモノになってますが、彼女は決して練習が好きではなくて(笑)

一番練習しない方から数えた方が早いと思われ。

ピアノばっかり弾いていて、勉強に身が入らないは当たらないと思うわけですが、そんなことは今更言っても仕方ないので黙ってました(笑)

彼女は集中力がものすごいので、直前までぐうたらしていても、やるぞ!とねじを巻いてからの数十分はほかの子の2時間にも値するほどで。

なので、わたしも「もっと弾きなさい」とはあまり言わずに来ました。

自分もそういう子どもだったので、いたずらにたくさん弾かせることはあまり意味がないと思っていたし。

その一見「ぐうたら」な時間は彼女にとってはとても大切なリセットの時間のように見えていて。

多分勉強でもそうなんだろうと思うのです。

事実、成績だって同級生に羨まれるレベルだし・・・お母さん的には物足りなかったのかもしれないけど、本人はいたってhappyそうだったけどなぁ。

そこも含め、大事に育て、見守っていたつもりだったのですが、おかあさんには違う風に見えていたのだなあと思いました。

誰よりも練習する子は、多分どこの教室に行っても上手になると思うのですが、彼女のようなタイプは、わりとうちのようなのんびり教室が合っていると感じていて。

締め付けられれば締め付けられるほど窮屈になって、それこそ逃げ出したくなってしまうので、とても注意深く、短時間で簡潔に伝える方法で、育てて来たつもりでした。

そんな彼女とのレッスンは、テキストの順番、難易度に捉われず、彼女がどうしてもやりたい曲たちと、わたしがどうしてもやらせたい曲たちをお互いに提案しあって、一冊終わると次にやるもの、だいたいの方向性も話し合って決めるというスタイル。

どんなにやった方がいいと説得しても、いやだと思うと、てこでも動かない。

でも、頭のいいコなので、じっくり考えていて。

「これ、必要だと思うけどな。ちょっと弾いてみるから聴いて?」と言って弾いてあげるとまずは黙って聴いていて。

その時はまったく色よい返事はなかったのに、次の週に会うと「先生、考えたんだけどさ、あれ、やっぱりやりたい!やるわ!」と言って来たり。

だいぶ経ってから、あの時先生が聞かせてくれたあの曲、あれはどの本に載ってるんだっけ?あれ、嫌いだと思ったけど、やっぱり好きかも?と思えてきた・・・とか言ってきたりもして。

わたしも常に彼女にとって魅力的だろうな?という曲を見つけたり、新しく発掘したり。

彼女の心に響くようにお手本を弾くために練習したり。

それはそれでわたしが大変だったけれど(笑)一方でやりがいも感じていて。

多分、ほどなくテクニック的にはわたしを越えて行きそうだなと楽しみに思いつつ、大切に大切に育ててきました。

そんな子でもあるので、突然の「もう会わないでください」のショックたるや・・・

さらに、ピアノの先生として、わたしが心がけてきたこと。

たとえばやめていく子にも、最後までちゃんと伝えるべきことは伝えるとか。

納得がいくまで話をするとか。

今後もがんばれのエールとして、ラストは手紙を渡すとか・・・

(わたしがそういうタイプなので、生徒たちもよく手紙をくれます。すごくうれしいです。)

今までやっていたことすべて、全否定された気持ちになってしまいました。

そんなこんなで、もやもやしていたし。

限界を感じたし、わたしのやり方はもう流行遅れないのかもしれない・・・とか超弱気になっていたのが…

その気持ちが一気に晴れるきっかけは昨日、突然にやってきました。

KinKi Kidsの配信ライブ、ラストのフラワーです!!

KinKiさんが花咲徳栄高校の吹奏楽部の子たちにあんなに真摯に向き合っているのを見て、とてもとても勇気をもらった気がしたのです。

昨夜興奮冷めやらぬ心で、こんな風につぶやきました。

ブンブブーンの出演は、生徒さん達にしたら今年一番の思い出だったと思うけれど。

テレビの向こう側のアイドルという属性の大人たちが、画面の中から言った「いつか一緒にやりましょう」が口だけじゃなくて。

ほんとうにその言葉を実現させてくれる信頼できる大人だったこと。
夢も見せてくれるけど、夢を現実にしてくれる人達でもあったことが、彼女たちのこれからの人生の中でどれだけ支えになることか・・・

そして、彼女たちのあの幸せそうに楽器を持って弾いたり踊ったりしている姿に、明らかにパワーをもらい、本当に幸せそうなKinKi Kidsを見ていたら・・・

やっぱり「わかり合おうとすること」をあきらめちゃいけないなとつくづくしみじみと思ったのでありました。

それがアイドルと高校生であっても。

しがない町のピアノの先生とそこの生徒たちであっても。

お互いにパワーを送り合い、支え合うことができる道はきっとあるはず。

わたしにもまだ少しはやれることがあるかもだ。

さて。

Sちゃんの後日談は、やっぱりうちの生徒で彼女の親友でもあるTちゃんや、Sちゃんの妹のCちゃんからもたらされました。

「ピアノに行こうと準備してたら、おかあさんからあなたはもうやめたのよ」と言われ、大ショックだったらしいSちゃん。

「でも、うちのおかあさんはもう言い出したら、絶対にきいてくれないから仕方ない」と、がっかりしながらも、すでにあきらめムードだったそう。

妹によれば、それから数日さらにぐうたらに拍車がかかっていたそうですが(笑)

わたしも「こっそり弾いちゃえばいいじゃん!」って言っといたと妹(笑)

「お母さんの希望する高校に入れたら、またピアノに行かせてもらえるように頼んでみる」とも言っていたそうです。

「ラストのレッスン日、あんなことやったなぁ、こんなことやったなぁって何度も反芻してるの。先生とのレッスンはいつだって楽しかったなぁ♡とも言っていたそう。

わたしも彼女とのラストのレッスンのことは何度も反芻していて。

Tempo Rubatoの話をしました。

用語としてのTempo Rubatoは「自由な速度で」という意味ですが、語源は「盗まれた時間」という意味なのよ~という話。

「盗んだ時間は返さなくてはならない」ということを忘れてはダメ。

自由自在にテンポを揺らして全然いいけど、遅らせたらちゃんと取り戻す。

速めたら、どこかで緩める。

緩急ってそういうこと・・・という話で大いに盛り上がったのでした。

あなたはコアラ体質だから、わりとだ~らだ~らしていて。それが大事そうだから、ダメだとは思わないけど、緩めたらまた頃合いをみて集中する!

たとえば一日とかさ、一週間とかの中で、上手に帳尻合わせをすることがとても大事。

盗んだ時間は返さないとね!な~んて笑ったのでした。

痛いところを突かれたとげらげら笑いつつ、覚えとくよ!と言ってくれたSちゃん。

そんな風にいい思い出だけでお別れができたのは、よかったかも。

そしてまた、逆も然り。

いま、親御さんにより、とことん走らされている彼女だから、ちゃんと帳尻を合わせて、こっそり気を抜くんだよ?というエールにもなってたらいいなぁと思いつつ。

とはいえです。

以前にも姉妹がゲームばかりするというので、半年以上ゲーム機を隠されてしまったり、さまざまなことがありながらも。

隠し場所を早々に発見して、こっそりそこから出して姉妹でやっては、わからないように元の隠し場所しまっていたという話も聞いていたし(やるなぁ~笑)

ピアノの楽譜は全部隠されちゃったけど、友だちにボーカロイドの曲集を借りたからそれをこっそり弾いてるんだ~とも言っていたそうで(笑)

ちょっとお母さんはメンタルが弱っている風だったけど、ご本人はそこそこ適当にやってて(笑)まあ、大丈夫そうかなと思ったところです。

そしてそして。

今回の一連の大騒動を隣で見て来た妹のCちゃんや親友のSちゃんはまだうちの生徒なわけで。

彼女たちに「こういう場合、大人はどういう風に感じ、どんな風に行動するのか?」というのを、実は今回の件でこっそりみられている気がするのです。

まずは彼女たちに「先生、がっかりだよ!」と思われないようにしないとね。

KinKi Kidsがそうであるように、周りにいる大人として若い子たちに恥ずかしくない自分でいたいなぁとしみじみと。

それにしても、今までのやり方全否定!!!

「わたしの気持ちをちっとも先生はわかってくださらなかった!」とお母さんに訴えられたことは本当にショックでした。

わりと人の気持ちに寄り添える方だと思い込んでいたのですが、ぜ~んぜん違ったよ(笑)

この年になってもそういうことがあるんだなぁと、いろいろと勉強したのでありました。

精進します(笑)(笑)(笑)

出でよ!鋼(はがね)のメンタル!!!

どさくさに紛れて変な触れ方をしてしまったけれど、「シャキーン!」についても、「O Album」についても・・・ちゃんと触れたいです。