ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 図星!

 「1週間、毎日練習シールが貼ってあったら(要は毎日練習したらということ)ダブルシールね。そして更に、今日の宿題の5曲が全部あがりになったらトリプルシールね!」と言ったら、「せんせーまるで、『Sヤク』じゃん」(S薬局のことを近所ではみんな、こう呼びます)と生徒。図星すぎて笑ってしまいました。
 薬局に行って、「本日ダブルポイント!」といううるさいくらいのアナウンスを聞きながら買い物をしていて、この方法を思いついたのです(笑)練習をいっぱいして、シールを2枚もらおう!と、ちょっとでも奮起してくれたらいいなあと思って。
 というわけで、「ダブルシール」制度を始めて約2週間が過ぎ、今のところ順調に、わたしのシールがじゃんじゃん減っています。多分しばらくしたらこの手は効かなくなるかもしれないけれど、それまでに何人かでも、毎日練習をしたら・・・あら不思議。ダブルシールだけじゃなく、3枚目も自然とおまけに付いて来る・・・という結果を体感してくれたらいいなあと思います。先日の話とは矛盾するようではありますが、結局のところ突き詰めていくと、「練習」にまさる「上達の秘訣」というものはいまだかつて発明されてないというわけです(笑)
 さて、練習嫌いと言えばFちゃん。彼女については何度も話題にしていますが、アイドル顔負けのかわいらしいお顔。まつげがびっくりするほど長くて、芸能人に例えるなら、ゆうこりん?!という9歳の女の子です。
 彼女は練習は週に1度だけ、気が向けばまあ2回という少女です。練習ってなあに?という状況にもかかわらず、今週とうとうバイエル92番まで終わりました。ものすごく集中力があって、思い通りに指が動く女の子。感情をこめるのも上手だし、この年にしてはタッチがしっかりしていて、fもPPも自由自在・・・ところがそれなのに、どうしてもやっぱり練習だけはきらいらしくて、しょっちゅうお母さまと喧嘩をしているらしいです。性格的にも結構むずかしいところがあって、なかなか一筋縄ではいきません。繊細なので自分に向けられたネガティブな感情の動きにとても敏感で、すぐにへそを曲げてしまうし、お迎えに来られたお母さまとも、うっかりした話はできません。敏感に感じ取ってしまうので。
 ただ、この子のおかあさまがとっても辛抱強いのと、まだ20代なのにとても賢母でいらっしゃるので、最近だんだん心が安定してきました。
 昨日のレッスンでは、そうやって週1の練習で先月仕上げたバッハとモーツァルトメヌエットを両方とも「あんぷ」(楽譜を見ずに弾くこと)で弾いていて、わたしの方がびっくり。この子がいっぱい練習するようになったら、どんなことになるのか、想像してみただけでも楽しいです。今はまだまだ欲がなさすぎなのですが、いつかこの子がその気になるまで、ピアノを好きなままでいさせてあげるのがわたしの一番のお仕事かもなんて思ったりしています。自分さえやる気になれば、人はいくらでもがんばれますからね!!
 そのFちゃんが、レッスンの終わりに「先生、わたしね。おかあさんが大好きすぎて、お嫁に行けないかも。」というのでへぇ〜っとわたし。次の子が来て、「そういうの、マザコンって言うんだよ」とませたことを言ったら、「おかあさんが言ってた。マザコンっていうのは、おかあさんが大好きな人のことじゃないよ。おかあさんの言うとおりにしか動けない人のことなんだって。だからFはマザコンなんかじゃないから。」と。
 な〜んて深いことをおっしゃるんだ!まだ20代のお母さまなのに・・・でもそれはそうだなあと感心してしまいました。時々巷ではこれを混同しているかも。
 なんて暢気に思っていたら、その後の言葉にもうびっくり。「でもね、わたしこの間までは彼氏、いたんだよ」って。9歳児の言葉とは思えません。更に、「でもね、ちょっと前に別れたの。だから今は『空き家』だよ!」ですって!!!
 「ちょいまち、その言葉どこで覚えたの?!空き家〜っ?!」と驚いて聞き返したら、「うちに遊びに来た、おばあちゃんのお友達が言ってた!」ですって。おいおいおい(笑)
 考えてみたら、彼女の家は代々早婚なので、おばあちゃんもまだ40代の始めの方なのでした。とはいえ、恐るべし、9歳児の学習能力!こどもたちの前で、不用意に途方もないことを言わないように、わたしも気をつけようとつくづく思いました(笑)「ピアノの先生があ〜んなことやこ〜んなことを言ってたよ〜♪」なんて言われたら大変大変!! 
 そういえばこの間からたまたま、あまり練習しない生徒の話ばかりしていますが、うちの生徒たちの名誉のために言っておきますと、毎日毎日、絶対に休まず練習している子も何人かはいるし、そこまでじゃなくても、そこそこ練習している子がほとんどです。
 ただ、ここのところ、新学年がやっと落ち着いてきて、リズムにも乗って来た頃だと思っているので、少なくとも時間がある小学生以下の子どもたちには、なんとかピアノの練習の方もリズムに乗せたいなあと、そのことが頭の中を支配しているわけなのでした。