ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 義母の家で

 オットの会社がたまたまお休みだったので、義母の家を訪ねました。義母はひとり暮らしですが、スープの冷めない距離に義兄夫婦が住んでいます。我が家からはほぼ1時間の距離にあるのですが、この間の義父の法事の時は前日にアネが入院したため行けなかったし、わたしにとっては久しぶりの義母の家でした。
 行くや否や義母が、ちょっとちょっとと手招きをするのでそばに行ったら、「ちょっとこのおなかを触ってみてくれへんか!?」と。触らせてもらったら、か〜な〜りご立派に(笑)
 「ついでにおっぱいも大きくなったで!」というのでこれまた触らせてもらったら!!!なんてうらやましい(笑)「いいなぁ」とあからさまに尊敬の目で見たら、わたしのもどれどれと触って「アンタは相変わらずナイねえ。」といつもの大阪弁のアクセントでシレっと言う義母。やっぱりですか?おかあさん(笑)この方のこういうところが、大好きな次男の嫁レインです(笑)
 そういえば、顔の輪郭もなんとなくちょっとぽっちゃりして艶々しているので、聞いたらなんとお義母さん、70代後半にして禁煙に成功されたのだそうです!パチパチパチ!!それで、ご飯がおいしくて、太ってしまったんですって。
 そんな類のおもしろい会話を何度も繰り返しながら、昨日はお義母さんの衣替えのお手伝いをして来ました。
 オットはというと居間で爆睡しているし、連れてきたバロンはなぜかおもらしをするし、ちっとも落ち着かずバタバタしっぱなしだったのですが、それでもにぎやかでうれしそうな義母を見ていたら、来てよかったなあと思いました。
 それにしても関西人の夫と義母の会話はいつだっておもしろくて、漫才を見ているようで楽しいです。何度か言ったことがありますが、この家の皆さんとのファーストコンタクトの時、オットと義母がジョークを言って履いていた靴下を投げ合っているのを見て仰天したわたしですが(笑)最近はすっかりこの一家の「しゃべくり」のファンと化しています。
 今回もまた、大きな布を広げて「ここに布団を置いてくれんかね」という義母に、「ちょっとアンタが乗ってごらん」とオット。何を言うのかと思ったら、「この布をたたんでな、頭のところでぎゅっとくくって、ゴミステーションに持っていったるわ。粗大ゴミって書いといたら持っていってくれるで!」とオット(笑)それを聞いて「あはあはあは」と笑う義母。字面にしたら凍りつきそうな会話に見えるかもですが、和やかにくすくすと展開される会話なのです。
 そういえば義父のお葬式ときも、オットのいとこの50代の方が、「ついでにおばちゃんも棺おけに入れてもらったらドヤ!」とか言ってゲラゲラ笑っていましたっけ(笑)
 こういうことがジョークになるっていうのがそもそもすごいのですが、愛情がこもっていてイヤミがなくて、関東の恐ろしくも陰険な旧家の友人宅の事情なんかを知っている身としては、とっても安心する光景だったりするのです。
 さて、あれやこれやとちょこちょこ動いて家に帰ってレッスンを終えた頃に義母からの電話が鳴って、開口一番「オットだけしか来ないと思ってあきらめとったらアンタが来てくれて、楽しく衣替えができて、おかあさん、ホントにうれしかったわ〜!ちょうどさむなったとこやったし、ありがとね!」と一言。
 オットに言う前に、こうやっていつも嫁からと、とってもやさしい言葉を投げてくれる義母なのでした。
 もちろん義母にとっては本音は息子に会えたことが何よりうれしいのでしょうけれど、嫁にこういう気遣いができるところが、最も尊敬するところで、やさしい言葉をもらった嫁としては素直にうれしいと思います。
 たとえば孫たちにお年玉をくださるときに、かならず息子にじゃなく嫁ふたりにあてて「特別にね」とお小遣いをくださったり…そういう気遣いができる人で、わたしも年をとったらかくありたいものだと思います。
 結婚する前には、オットのことを、いわゆるありていに言えば「マザコンかも」と思うくらい、この人はおかあさんが好きだなあと思ったのですが(笑)最近は、おかあさんが好きな人でよかったなあと思います。
 どこかで、「自分の親を大切にできないヤツが嫁を大切にできるはずがない」というのを読んだことがあるのですが、確かにそうだと思います。
 1年ちょっと前にわたしが急な腹痛で、朝から点滴を受けに行ったとき、オットのそのあわてっぷりが以前義母が倒れてあわてふためいていたオットのそれと重なって、不謹慎ながら「そっくり〜!」とこっそり笑いました。
 マザコンというのは正しくは、「おかあさんがいないと何一つ決められない人」のことで、単におかあさんが好きな人のことを指すものではないと思うし、最近はそこのところが混同されている気がしているのですが、誰にせよ家族を大切にする人はやっぱり素敵だと思うし、わたしも義母を見習って、まずは身内にちゃんと心遣いができる人でありたいです。