ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 反省と約束!!

 ここのところ、どういうわけか「ピアノをあまり練習してこない子」が増えていました。
 いつからだったか、「部活が忙しいから全く練習できませんでした」とか「習い事が忙しくて」というのを「仕方ないね」で済ませているわたしがいたのです。
 もちろん時々なら全然いいのですが、毎回となると話は別。
 この夏、モンスター親子とちょっとしたトラブルになったのも、最初にこの「練習をまったくして来ない」ありきでした。そこからさまざまなトラブルが始まった気がします。
 練習しないから来たくない。来ても反復練習ばかりでつまらない。つまらないからすっぽかす。すっぽかすから追いかけられる。追いかけられるからうんざりする。そのうちにどうせ振替てもらえるんだから遊びに行っちゃえ!さぼっちゃえ!となってしまったというわけです。
 夏休みに入り、3回連続ですっぽかされたところで、とうとうおかあさんに電話したところ、「月謝払ってるんだから、ちゃんと来るように躾けるのも先生の仕事でしょ!わたしに言われても知りません」とにべもないひとこと。
 こうなりゃ意地でも彼女をピアノに向かわせたい…なんてメールでとことん追いかけて呼びつけたら「そもそもこっちが何回すっぽかしても振替するっていうのは、単に先生、お金がほしいからなんでしょ!月謝がそんなにほしいの!?」って…
 さすがに最後の言葉は滅茶苦茶に堪えました(笑)
 そもそも月に何度でも振替えします!は病気が多い冬場なんかのことを考えた良心的なサービスのはずだったのに…以前はお互いに節度を持って、お互いを思いやりながら上手にレッスンが回っていたのに…いつから「お子さんにちゃんと来るように言ってもらえませんか?」「それはそっちの仕事だ」なんて押し付けあう事態になってしまっていたのでしょう。
 そもそも話題の彼女とは、つい最近まで読んでいる本を貸しあって「趣味が似てるよね〜」と感想を言い合ったり、連弾でぴったり息があって「すごい」と笑いあったり、いい思い出もいっぱいあったのになぁ…
 部活の先生が転勤になり、新しい先生がいらして、部活の拘束時間が10倍くらになったことから、わたしとは決定的に溝が生まれてしまいました。
 結果彼女の信頼はついに戻らず、やめてしまいましたが、こんな風にとことん後味が悪いやめ方をしたのは、彼女が初めてで本当にショックでした。それがこの夏の顛末です。
 よく考えてみたら、モンスターな部分を別にしても(笑)反復練習ばかりのレッスンの上に、更に「どうして来ないの?」「どうして練習しないの?」というお説教が加わったら…30分なんてあっという間。ほとんど音楽的な楽しさを味わうことなく過ぎてしまうし、やめたくなるのは明らかでした。問題があったのは、わたしのやり方のせいもあったのです。明らかにご両親の無関心に腹を立てるあまり、まずいやり方をしていたなあと猛反省したというわけです。
 そんなわけで、今月に入ってから、心機一転、新しい作戦を実行中です。
 考えてみると、どんなに忙しかろうが練習する子はちゃんとしているのです。
 たとえば、中3で吹奏楽部のYちゃん。全国大会目前で、金賞を取ったのに選には漏れてしまいましたが、この子たちの部活は名門なので、ほぼ365日部活は休みなしです。おまけに受験生ですが、この子が十分練習を積んで来なかったことは一度もありません。いつだってどの曲もほぼ譜読みは完璧に終わっているので、レッスンはその先からスタート!こういう状況ならどんどん高度な話ができるし、音楽的にちょっと脱線しても全然大丈夫。実のある楽しいレッスンができる状況が最初から整っています。
 たとえば、小学校2年生のSちゃん。彼女は毎日お習字だ、英語だピアノだと忙しい日々を送っていますが、この子の家では、ごはんの前は10分でもいいから必ずピアノを弾くというお約束ができているのだそうで、教材がすい〜っ!すい〜っ!と進んでいって、とても楽しそうです。
 一方で、つい最近やめてしまった彼女は、忙しいを楯に取って練習時間はほとんどゼロで、レッスンに来ても絶対に楽しくなかったのだろうなあと思うのです。
 まあ、彼女ほどではなくても、練習嫌い予備軍が数名いることもあって、今月から練習に対する意識向上のために、ある約束をすることにしました。
 レッスンノートの最初のページに、「必ず毎日、ちょっとずつでも練習します。レイン」と書いて、その下の段に生徒の直筆で「わたしも必ず練習するように努力します。○○」とちゃんと名前を入れて書いてもらいます。それから、ゆびきりをして、これは「あなたとわたしの約束よ!」と。ここまではとっても神妙に、一種の契約のようにことを進めます。
 たったこれだけのことなのに、先週はほぼ全員が、ちゃんとレッスンノートの練習欄にずら〜っと練習しましたシールを貼ってきたではありませんか!!びっくりです。
 生徒たちに言ったからには、わたしもやらないわけにはいかないということで、ここのところわたしもなんやかんやで休まず1時間程度の時間をピアノに充てているのですが、これまたその気になれば時間が取れることが判明して、わたしもびっくり。
 ここのところ夜にパソコンを開く時間は圧倒的に減りましたが、効率よく時間を作るすべはだんだんにわかってきた気がします。
 要はやる気なんだなあということを自分でも痛感したというわけです。
 やっている間に自分でも自信がついたので、「先生だって、家事や子育てやレッスンをしながらでも毎日練習できるんだから、アナタたちだってできるはず!!」と大いばりで言えるようになりました(今までは言えなかったことが問題ですが、笑)
 生徒たちには、「5分でもいいから。とにかくピアノに触らない日を作らないで!」と言っています。小さい子にはおかあさまに協力をお願いして、練習シールは親子で貼ってもらうことにしました。
 それだけでレッスンのスムーズなこと。成果を見せたくてうずうずしているので、誰もレッスンを忘れないし、シールをたくさんもらいたいのでわくわくしながらやってきます。
 こうなるとレッスンも楽しくなるし、もっとむずかしいものにどんどんチャレンジしたくなって、よい循環で回り始めます。
 すごく後悔したのですが、どうやら「できっこない」とあきらめていたのはわたしだったのかも。
 まあ、この作戦は今は目新しいからうまく行っているのであって、そう長続きはしないと思いますが(笑)次なる手を次々考えて飽きないレッスンを心がけたいと思います。
 ああ、つくづく正念場だなあと思います。子供に本気を求めるなら、自分だって本気にならなきゃね!!がんばれ〜っ!!と最後は自分に言い聞かせる毎日なのですが…(笑)