ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 [仕事] ああ、ちっちゃい!

 これは昨日の話ですが、あまりにバカバカしい話なので、お暇な方のみどうぞ。
 実は昨日うれしそうにKinKi Kids出演のMステの感想なんかを書いていましたが、もう少しで番組全部棒に振って、見ないで布団をかぶって寝てしまうところでした。
 ことの起こりはバロンの散歩から帰ってきた6時半過ぎ。戻ってきてみたら、血相を変えたオトートが「おかあさん、どうしたの?」と制服のままあわてていました。何が?と聞いてみたら「あの書き置き、どうしたの?」とのこと。???と思ってよく聞いてみたら、わかりました。机の上のポケモンのメモ帳にたくさん走り書きをしていたのでした。
 「あたし、大切じゃないものって、本当はどうでもいいの。」「何もこわくなんかない。あたしの大事なものはない。こんなところにあたしの大事なものはない」とかそういう類のメモがたくさん並べられていたのでした。オトートはこれを書き置きで、わたしが家出したと思ったらしいのです。よく見ればバロンもいないのですから、散歩だってわかりそうなものですが、彼なりに動揺していたらしいです。種明かししてしまうと、これは直木賞作品「対岸の彼女」の感想を書くために、メモ書きしていた本からの抜粋文です。うまく感想が書けなくて、でもなんとか形にしたくて下書きをしていたというわけです。
 ところがオトートはこれをわたしの本気の「書き置き」と思ったらしいのです。んなわけないじゃん!本当なら、こういう勘違いはものすごく笑える話です。笑える話が大好きなわたしなら、真っ先に食いついているはずなのですが、日が悪すぎです。思わずムッとして「バカじゃないの?」・・・と言ったきり黙った私を見て、オトートがひとこと。おかあさん、もしかしてナンかあった?機嫌悪い?どうしたの?と。鋭い奴です。「何もあるわけないでしょ!」言い捨てるように言ってからものすごく後悔しました。だって心当たりがあるんですもん。
 午後2番目にレッスンに来たFちゃんとのできごとです。突然飽きてしまった彼女は、「つまんな〜い」とずるずるとピアノの椅子から曲芸師のように手を使って降りていってレッスン室の床に寝そべって、足をわたしの腰のあたりで大きく開いてゆらゆらしています。「起きなよ。」と何度言っても、ちょっとすごんでみても全然効果がありません。レッスン時間はどんどん過ぎていきます。次の子は外で待っています。寝そべったままで、歌を歌わせたりもしてみましたが、だんだんイラついてきて、「あのね、Fちゃんさぁ、まだピアノ1曲しか弾いてないよ」と言って次の言葉を待っていたら「せんせ、あたしねえ、屁こきたくなってきた」と思いがけないひとことです。しかも極上のかわいい顔で。彼女はアーモンドのような瞳、陰を落とす長いカールしたまつ毛、小さい整った赤いくちびる、将来は女優かな?とおもうくらいの顔立ちなのです。その口がこんなことを言うのです。
 まさか本当にはしないだろう?と思いつつ「いいよ。」と言ったら直後に本当に「ぶ〜っ」とものすごく大きな音。少し遅れて鼻が曲がるような匂い。これも機嫌がいい時ならものすごい笑い話ですが、その時は笑えませんでした。カチンときました。わたしのレッスン室は防音室でものすごく狭いのです。機密性が命なので、空気は循環しません。っということは・・・。その絶妙なタイミングでお母様が迎えに来られたので、この話はおしまい。でもなんだかもやもやしていたわけなのでした(もちろんレッスン室がではなく、わたしが、笑)
 ちなみに彼女は小学校2年生です。抜群に才能があると思ってます。とにかく勘がいいし、指もよく動き、リズム感も抜群なのです。一度聞けばほぼ曲を覚えてしまうし、読譜力も群を抜いています。
 ところが、とてもむずかしい子でもあるのです。感情の起伏が激しくて、どうかするとご機嫌を損ねて、話をしてくれない。ピアノに触ろうとしない。歌のイントロを弾いても知らん顔。時々途方に暮れてしまいます。おかあさまも当然彼女には手を焼いていて、いつも申し訳なさそうにしています。わたしはおかあさまに相談されるたびに、「たいがい、才能あふれるお子さんほど、扱いづらい感じですよ。Fちゃんも大丈夫。感情の起伏が激しいということは才能があるということと同義語かもしれません。今は音楽の楽しさを体感してもらうことを最優先にしましょう」と余裕で返していたのです。
 なのに、今回ただ彼女が「おなら」をしたというだけで、この落ち込みようはなんでしょう?!
 そのあと4人のレッスンを終えたら、この世の終わりのようなくたびれようでした。それからイライラしながらオトートの帰宅を待ち、ちっとも帰ってこないので、しびれを切らしてわたしが散歩出かけたわけなのでした。
 さあ、そうしてやっとのこと最初のくだりに続きます。オトートは帰ってきて私の書き置き(ではなかったのですが。)を見つけ大慌て。危うく大騒ぎになるところでした。
 一連の顛末を話したら、オトートが大真面目な顔で、「結局、おかあさんはさ。生徒がむずかしいのなんのは言い訳で、自分の顔の前で屁をこかれたことに怒ってるんだ。」と冷静に言われたとき、すべてのイライラがしゅるるる〜としぼんでいきました。まさしくその通りです。思わず自分の小ささに気がついて恥ずかしくなったというわけです。たかがそれだけのことで、なんでそんなにカチンときたのでしょう。
 でも顔の前で「おなら」しかも大また開きです。我ながら自分の怒りっぷりが恥ずかしかったのですが、これでMステがなかったらしばらくずっと怒っていたかも。後の展開は昨日の日記に書いたとおりですが、布団をかぶって寝てしまわなくてよかったです。ただ笑い事ではなくて、Fちゃんが「おなら」でもしてにぎやかして目をくらまそう・・・と思うくらいイライラしたわたしのレッスンが退屈だったのかも。
 ああちっちゃい。とにかくちっちゃい。もうちょっと泰然自若としていなければ。ちょっとぐらい臭くたってなんだって・・・・ね。