昨年の秋にまとめて預かった生徒たちが、少しずつレッスンに慣れてきました。
わたしが新しい(小さな)生徒たちと絆が出来て来たかな?という頃によくやってみることがあって。
それは不意うちでレッスンでやっている曲や一緒によく歌う曲、リズムゲームで使う曲を鼻歌を歌ってみる…というものです。
ほとんどの生徒が「虹が虹が~♪」と小声で歌うと「空にかかって♪」と続きから一緒に歌ってくれたり。
「ミドミド ミソソ♪」と歌えば「ファレレ ミドド」と返してくれることに気づきました。
これはとてもいい兆候です。
学校や家では知らないはずの、でもうちのピアノ教室では必ず初期に歌う曲たち。
「ピアノランド」の中の曲を鼻歌しても、ちゃんとついてきてくれたらもう大丈夫。
仲良くなってレッスンがうまく回り始めた目安にしてます。
たまたま昨年秋に預かった子たちのほとんどが、前の教室で挫折した子たちだったので。
すでになんらかの問題を抱えていて。
「ここでダメならピアノはやめます!」とおっしゃったお母さまもいて。
最初とても身構えたりもしましたが。
拍子抜けするくらいすんなりと相性が合ってすくすく育っている子もいれば。
最初から崖っぷち。ず~っと崖っぷち。
「週に一度くらい、ここに来て遊んでやってもいいよ?」
くらいのテンションで通って来てたコもいて。
やりたいことには食いつくけど、それ以外にはまったく興味を見せない子もいて(笑)
あの手この手でまずはピアノの前に座らせるところからスタートして。
思いつく限りの楽しい音楽遊びをやってみて。
その中にちょっとだけ大事なエッセンスを入れて。
時間を細かく区切って飽きないレッスンを心がけてはいましたが…
やはり近道はないわけで。
さまざまに難儀してました(笑)
唯一の救いは、やめたいとか、もう来たくないとか言う子はいなかったこと。
楽しんでくれてるのはうれしいけど、もうちょっとこっちの話も聞こうよ?とか。
「一歩進んで二歩下がる~♪(古っ!!)の繰り返し(笑)
でも、残念ながら近道なんてないのだよ!!!(笑)
とはいえ時間はあっという間に過ぎてゆき。
やっと向こうから繋いでくれた手を、さりげなく少しだけ手繰り寄せ。
次回はまたもう少し…と根気よく手繰り寄せているうちに…
幼稚園児たちは無事小学生になり。
あたりまえですが、一年生は二年生に、二年生は三年生になり…
たいていのことは時間が解決して(笑)
クラス替えや環境の変化に弱い子たちも、6月になってやっと落ち着いて来た感があって、ほっと一息です。
やっとどのレッスンも「ピアノのレッスン」らしくなってきたところなので(笑)
わたしも俄然やる気が出て、レッスン動画を見てみたり。
教本についてコーチングについて、毎晩のように勉強をしています。
さて。
夕べもあちこち動画を見ていたら「かてぃんさん」こと、角野隼斗さんの動画に行き当たりました。
この方については昨年のショパンコンクールでさらに有名になられたので、ご存じの方も多いことと思いますが、一応Wikiを貼っておきます。
本当に多才な方だなぁと読んでいるだけでため息が出てしまいますが…
一方で個人的に現代のショパンっぽいイメージも持っていて。
ふわっとした髪型やビジュアル全体が醸す雰囲気。
どこか都会的で洗練された印象は、肖像画のショパンともどこか似ているし。
演奏そのものが、とても繊細でノーブルなイメージ。
芯の強さと脆さや儚さの両面を持っていそうだし。
いろいろ総合すると、コンクール出場者の中でも、かなりショパンの魂に近そう?と思っていたのです。
普段どんな活動をされているかはあまり知らなくて。
もしかしたら、イメージだけかも?とも思っていたら。
共にショパンコンクールを闘った(ご本人たちが親友と公言されている)反田さんが、角野さんと初対面の時の印象についてこう語ってらっしゃいました。
「初対面の時の角野くんは、段ボールに入った(捨てられた)子猫みたいだった」
妙に納得がいくたとえでした(笑)
ナイーヴで人見知りな印象だったのかな?
そんなところもショパンその人と、とても印象が近いかも!!
それからは、ショパンをイメージしようとするとあの音楽室に貼ってあった肖像画のショパンではなくて、角野氏が浮かぶようになってしまいました。
いやいやいや(笑)
彼の音楽についてとか、ショパンコンクールや、出場者のみなさま方について書き出したら止まらなくなりそうなので(笑)
今日はそこにはあえて触れずにおきますが…
(日本人の出場者だけをとっても、みなさまあまりに魅力的なピアノを弾く方々だし、人となりもとても魅力的だったので、角野さんが特別というわけではないです。)
たまたま昨夜見つけたのが「千と千尋の神隠し」の劇中音楽全編バージョンで。
わたしは元々この「千と千尋の神隠し」の音楽が大好きで。
楽譜もレベルを違えて何種類も持ってます。
夜中レッスン室で、自分でしんみりと演奏するのも大好きだし。
いろいろな演奏を聴き比べたりするのも好きです。
そういえば、最近こんなのもありましたよね。
この演奏も本当に素敵!ワクワクしながら聴いたものだし。
少し大人の階段を昇りつつある生徒に紹介して、曲として仕上がっていくのを隣で見ているのも大好きなのですが…
この昨夜見つけた角野氏の演奏の素晴らしさと言ったら!!!
特に、スローテンポで音の数が少ないところの、ひとつひとつの音色や表現が素晴らしく好みでした。
昨今は、ストリート系のピアニストがたくさん脚光を浴びていて。
少し動画サイトで検索したら、山ほどそんな方々の名演奏が出てくるので。
生徒たちの中にもそういう動画を好んで見ている子たちが多いです。
「速弾きしてナンボ!」
「バーン!どうだーっ!!」
「全力ピアノ!行くぞ!」
どうも、そんなスタイルがもてはやされ、動画も山ほど上がってますけれど。
そういう動画に中途半端に影響を受けてしまうと、弾けてないのにやたらガチャガチャと早いテンポで挑んできたり(笑)
音を投げつけられているように感じて「まるで戦車???」「怖いよ!!」と思ったり(笑)
「それじゃ、聴き手置いてきぼり…」と思うことが意外に多い気がして。
まずは暴走列車かジェットコースターか?という勢い任せは置いといて。
音数が少ないところで、隅々まで一音一音大切に響かせて。
じっくりと聴かせることができるようになってからでよくない?
その音がレガートで繋がり、自然とテンポが上ってきて。
音楽としてまとまった時に最大限の威力を発揮して、美しくて感動を与える…
そういう順番ってあると思うよ?
な~んてことをくどくど言わなくても。
見てごらん?
聴いてごらん?
で、ちゃんと通じるような気がした、角野さんの演奏でした。
かといって、角野氏は決して情緒過多でもなくて、すべてがちょうどいい塩梅で。
隅々まで冷静に神経が行き届いている感じ。
ああ好きだなぁ。
いろいろと感じ入ってしまいました。
ひとつひとつ零れ落ちた音の粒から、溢れだす情緒。
いとをかし♡♡♡
というわけで、あまりにも素敵だったので、共有します。