ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 BELIEVE

嵐の曲ではなくて、杉本竜一氏作詩作曲の教科書に載っていたりするあの曲の話です。
歌いやすいし素敵な歌詞なのでよくレッスンで歌ったり、生徒に伴奏の練習をさせてあげたりするのですが、先日この曲のピアノ曲としての楽譜を見つけたので、生徒の宿題にしたら大喜び。
たどたどしくこの曲を弾く生徒の音を聴いていたら、ある歌声がよみがえりました。
アネが中3の時に中学校の合唱コンクールで、複式学級の子たちが歌いました。
この年の合唱コンクールはとても白熱していて、朝練夕練をしてがんばっていた子どもたちの成果を聴こうとわたしも出かけて行きました。
年に一度の合唱コンクールでは、うちの市ではかなり有名な歌手もライブをするホールの一番大きなステージに立たせてもらえます。
ひとクラスはだいたい40名前後くらいだと思うのですが、複式学級の子たちは演目のかなり最初の方で、人数も10人くらい。
大きなステージに一列に広がって、1曲目は確かハンドベルの曲。そして2曲目がこの曲でした。
その瞬間はとっても不意打ちでやってきて…彼らが歌い始めたら突然空気が変わって、ちょっとだけざわついていたホールが隅々まで静まり返りました。

たとえば 君が傷ついて
くじけそうになった時は
かならずぼくが そばにいて
ささえてあげるよ そのかたを

ここは最初の部分の歌詞ですが、ここを聞いた瞬間に不用意にとても心打たれてしまって、思わずうるうる。多くの人がいるホールじゃなければ号泣してしまうのでは?というくらい、この時の歌は胸に迫ってきました。
障がいがある子たちが一生懸命に歌っているからとかそういうことではなくて、その表情や歌声そのものがあまりにもまっすぐで、心から「ささえてあげるよその肩を」と思って歌っているのだということがとっても伝わって、たまらなくなったのでした。
まわりを見渡すと、見に来たおかあさんたちもみんなうるうる。前の方で見ている中学生たちも、さっきまでの喧騒がうそのようにだまりこくって静かにステージを見守っていました。
歌い終わった後に拍手喝采になったのは言うまでもなく、その後にたくさんのクラスがとてもいい演奏をしたのですが、やっぱり圧倒的に心に残る歌声だったのは複式学級の子たちが歌ったBELIEVEで…
しばらく「ほんとうにいい歌声だったね〜」とその話題でもちきりだったことを思い出します。
「人間の本気」というものはちゃんと伝わるものなのだな〜と今さらながらに思います。
テクニックを磨くことも大切ですが、たくさん努力を重ねることももちろん大切ですが、今見ているもの聞いているものにちゃんと素直に心が動いたり、いろいろな気持ちを歌にのせて、精いっぱい伝えようとすることが大切なんだとあらためて。