ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

[仕事][音楽] のだめ効果は抜群です!

 今日はわたしたちの県では県民の日ということで、公立の小中高校は全部お休みでした。子どもたちが休みということは、わたしの仕事が忙しいということで、昨日は9時半から今朝は9時15分からレッスンが始まり、どんどん開始時間がエスカレートしています。午前6人、午後4人というすごいスケジュールを久しぶりにこなしました。さすがにぐったりです。
 もちろん、今日に集中したり、朝が早くなっているのは、わたしの方の都合ではなくて、子どもたちの都合です。映画に行きたいから、家族で遊びに行きたいから、約束があるから、模試があって・・・ということでその前にレッスンを済ませたいという希望が多いし、忙しい平日を避け、ゆとりがある休みの日にゆっくりレッスンをという声も多いです。
 小学校は昨日も休みだったし、こんなんじゃ練習もしていないかな?!と思ったらこれが大きな間違いで、みんなとってもよく練習してあり、レッスン室は活気に溢れていました。以前だったら連休中や連休後のレッスンと言えば、復習中心だったことを考えると、信じられない事態です。
 どうしてだろうと考えるに、現代っ子は日常的に圧倒的に時間に追われ、時間が足りないんだということに思い当たります。ピアノを弾くのがめんどくさくて練習量が少ないのではなくて、習い事や学校行事に時間を取られすぎて、子どもたちの帰りが遅くて、ピアノが弾けないのです。塾から帰ったらすでに9時過ぎとか、夕方は毎日習い事で、夜間は夜間で親子で剣道や空手に通っているとか、考えられないくらい、忙しくしている子どもたち。よくパンクしないでがんばっているな、と時々痛々しく思いますが、超パワフルで、すべての習い事が楽しくて楽しくて全力投球という子もいるし、一概にひとくくりにはできません。
 というわけで、この3連休で昼間から家にいる時間があったとみえて、どの子も大量に○をもらって上機嫌で帰って行きました。わたしだって、うれしいです。後味が全然違うのですから。
 さて、グランドピアノの上に卓上カレンダーが置いてあって、それが「のだめカンタービレ」のものなのですが、子ども達の間でにわかに大人気です。ちょっと前までは、誰も気がつかなかったのに、恐るべし・・・ドラマ効果!
 特に人気者はのだめを除くと真澄ちゃんで、真澄ちゃんの載っているページを探して大喜び。もちろんピアノをやっている子達なので、BGMになったり、本編で千秋やのだめが弾いた曲たちに興味津々で、今日は夕べのラフマニノフやラプソディインブルーが大人気です。
 わたしは、実を言うとラフマニノフのコンチェルト2番が3本の指に入るくらい好きなものですから、とっても熱く語ってしまいました。わたしが持っているアシュケナージのCDを出して来ようとしたのですが、こういう時に限って整理が悪くて出てきません。どうしても聞きたくなったので、もう1回ドラマを見たのですが、細切れで物足りなくて余計に欲求不満がたまりました。
 最初にこのコンチェルトを聴いたのは高校生の頃だったと思うのですが、コンチェルトと言えば、ショパンチャイコフスキーのわかりやすくスイートな音しか知らなかったので、ものすごい衝撃を受けました。気持ちがとっても揺れたのです。甘かったり、苦かったり、重厚だったり、天使の羽のように夢見心地だったり、とにかくいろんな感情がいっぺんに渦巻きみたいに呼び起こされる曲でした。激流のような重低音に心が翻弄されてぐったりしたり、かと思うと夢見心地に天国をさまようような気持ちになったり。今はどんな曲でも、それぞれ違った美しさがあることがわかったし、冷静に判断できるようになったので、そんなことは思いませんが、当時のわたしはこと音楽に関しては大真面目に一直線だったので、今までずっと聞いていたショパンやチャイコのそれが急に薄っぺらに聞こえてしまって、ラフマニノフばかり聞いていた頃がありました。
 そんなこんなで生徒たちが、「このいい曲は何?」と始めて聞いて心を動かされている様子は以前のわたしで、そんな名曲との出会いの場に立ち会えたことがうれしかったです。
 余談ですが、クラシック音楽については、どんな場所でも誰にでも話ができる話題ではありません。どちらのファンにも袋叩きに合うことを覚悟の上で言わせてもらえば、「ジャニーズのそのグループのこの歌良いわよ」と言って「え?!ジャニーズ?問題外!」なんて即答で拒否されてしまう感じと、「クラシックの曲について、あの曲知ってる?」と言いかけただけで、「あ〜クラシックはわからないから。その話は他でして」と言われる感じが似ているような気がします。どちらも聞く前に頭ごなしに拒否されてしまうのです。そういう人たちにとっては、シャットアウトされた音楽たちは心はおろか耳にすら届かず、聞かなかったことになっているらしいです。こちらも何度かそういう場面に出会うと、拒否の気配は敏感にキャッチしてしまうので、相手に偏見がないとわからなければ、おいそれと話題には出せません。 
 話がちょっと逸れましたが、そうそう、今はクラシックの話でした。ギャグ満載でとにかく楽しいのだめカンタービレが、クラシック音楽に対する偏見を取っ払ってくれたらうれしいなあと思います。話の筋の面白さにひかれてドラマを毎回見てくれた人たちが、BGMになった曲やのだめや千秋たちが弾いた曲を聞いて、これなんだろう?と興味を持ってくれたらうれしいです。
 クラシック音楽というものは、長い長い歴史をくぐり抜けて、どんな時代の人にも愛され、残ってきたものだから、元来そんなにむずかしくわかりにくいものであるはずがないし、流行歌には流行するだけのちゃんとした優れたところがあり、流行する理由もあるはず。
 たとえどんなジャンルの音楽であれ、まっさらな気持ちで、とりあえず聞いてみようと耳や心を開放してくれる人が増えるといいなあなんて、そんなことを考えた火曜日でした。