ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 事実は小説よりも奇・・にも程がある話。その1

 体育祭など、行事の楽しみといえば、わたし自身が久しぶりの友人たちと会えることです。お互いの近況が聞けたり、子どもたちのその後話しに花が咲いたりします。ところが、今回と来たら、ピアノの生徒に関するイヤなうわさばかりが聞こえてきて、帰るころには真っさかさまに落ち込んでしまいました。
実は、あまり聞いていて楽しい話ではありません。もちろんKinKi Kidsとも一切関係がありません(笑)なので、お暇とご興味がある方のみ、続きをご覧ください。
 一つ目は、4年前、6ヶ月分のピアノの月謝を滞納した末、逃げるようにやめてしまった姉妹の話です。このお宅に妹が生まれたそうで、アネと同級生の長男が体育祭に連れてきていて仰天しました。数年前にご両親は離婚したと聞いていたのです。てっきり再婚したのかと思ったら、お母さんは不倫相手との子を未婚のまま生んだのだそうです。この家で4人目の赤ちゃんです。
 当時6年生だったおねえちゃんは、おかあさんがちゃらんぽらんで口ばっかりで、月謝が払われなくなったことを知っていながら、針のむしろのようだったであろうに、レッスンを受けたい一心で歯を食いしばって通ってきていました。わたしは彼女の気持ちが痛いほどわかったので、黙々とレッスンをしていたのです。「おかあさんは、おかあさん、あなたはあなただからね。おかあさんから月謝を回収するのはわたしの仕事。回収できなかったら?出世払いっていう手もあるよ」と、彼女が負担に思わないように冗談混じりに気をつかったつもりでしたが、やっぱりそうはうまくいかず、ある時耐えられなくなって来なくなってしまったのです。
 母親の方はというと、何度か「月謝を払って」と追いかけたものの、いつも「今度」とはぐらかされてしまいます。そのうちわたしの顔を見つけると一目散に逃げるようになり、未だに未回収のまま、もう4年も月日がたちました。お金を返してもらうことは、もうとっくにあきらめてしまいましたが、ものすごい勢いで逃げられるたびに、こっちがいけないみたいな気持ちになり、逃げ出したくなるのはこっちだよ・・なんて思うこの頃なのです。
 さて、そのおねえちゃんも中3です。生徒会の副会長になってがんばっていると聞いていました。親も離婚してあんなに過酷な毎日だったのに、グレたりせずにがんばっていて、えらいなあと思っていたのです。ところが彼女がここ数ヶ月不登校になっていると言うではありませんか。「この受験前の大事な時期にどうして?」と同じクラスのお母さんに聞いたら、昼間も夜も働いているおかあさんの替わりに、「家で子育てをしている」と言うのです。どうしたことでしょう。
 小2の妹の方は、前にMEMORIZE時代に長々書いたので覚えていらっしゃる方もいるかもしれませんが、一時は母親ではなく、わたしの事情でピアノをやめさせたと勘違いして、わたしに対して怒っていました。生徒の中に仲のよい子がいて、レッスンについて来るうちに今ではすっかり誤解が解けて、道で会えば必ず「せんせ〜い!」飛びついてくるかわいい子です。この子についても、「遅くまでひとりで出歩いてるよ」とか、「夏休みは、朝から晩まで同級生の家を渡り歩いて、ご飯になっても帰らないらしいよ」などと、みんなが口々にうわさしているのを聞き、哀しい気持ちになりました。赤ちゃんも生まれ、お母さんもいないし、家に帰っても居場所がなかったのかな?ちっとも知りませんでした。こんなことになっていようとは。
 長男でアネと同い年の子は、早々に高校をやめてしまい、今では母と共に家計を支えているのだとか。
 全く親の勝手さに怒りを禁じられない出来事です。何度も何度もいろいろ痛い目にあっている子どもたちが不憫でたまりません。とても賢くてしっかりしている姉妹なのに。ピアノだって、続けることさえできていれば、ふたりともきっととても上手になっていたことでしょう。親のせいで、あんなに言いたい放題みんなにうわさの種にされて、悔しくて哀しくて、どんどん無口になってしまいました。