ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 事実は小説よりも奇・・にも程がある話。その2

 その1だけでも、ハンマーで殴られたようだったのに、体育祭後のレッスンで、更に恐ろしいことが判明しました。うぜーよちゃんのおねえちゃんのIちゃんの話です。もちろん、この話もくどいようですが、あまり愉快ではありませんので、覚悟のある方のみどうぞ。
 2日前に、うぜーよちゃんのお母様が彼女を迎えに来たとき、おねえちゃんのことで相談を受けました。おねえちゃんがイジメを受けているというのです。ご主人の職場を担任の先生が訪ねて来て、ただ事ではないとはじめて気がついたそうです。
 「(お受験をする)下の子にかまけていたわたしが悪いんです。」とシュンとするお母様の話を聞きながら暗澹たる気持ちになりました。8月30日の日記でも触れたのですが、あのときにあんな彼女が投げやりで不安定だったのは、いじめられていたせいもあったのです。ちっとも気がつかず、叱ってしまった自分を思い出して、余計にへこみました。
 イジメの内容というのがまたえげつないのです。メールで彼女になりすまして他人の悪口をいろいろな人に言いまわる。嘘をつく。第3者の靴や持ち物をかき回し、隠して彼女のせいにする。その癖、本人には「わたしたち、親友でしょ」と言い続け、いつもべったりくっついて離れない。誰がいじめているのか、本人は言わないのだそうです。「親に言えない事でも先生になら言うかもしれないので、なにか聞いたらよろしく。」と言われて迎えた昨日のレッスン。恐ろしいことがわかりました。
 イジメをしていたのが、実はやっぱりわたしの生徒の一人で、彼女の親友だと思っていたNちゃんだと言うのです。まさか彼女の名前が出るとは、本当に予想だにしていませんでした。この子はもう5年以上もうちに来ている生徒で、わたしの言いたいことや音楽を的確にわかってくれると信頼もしていたし、やる気も実力もある子です。大人しいながらも、がんばってちょっとずつその心に近づいて、やっと最近たくさん話ができるようになったと感じていた矢先でした。
 でも、そういえば思い当たることがあって、何ヶ月か前に、習い始めたばかりのIちゃんが、「Nちゃん(イジメた方の子)が、宿題の曲に指番号と階名を振ってくれたの」と大喜びで現れたことがありました。ところが、Nちゃんの手にて書かれた音も指番号もあきれるほどでたらめで、ちょっとびっくりしたのです。Nちゃんは、初心者用の楽譜を読むなんてお茶の子サイサイのはずなのに、なんでこんなにでたらめなの?と。もしかして、楽譜を反対から見ながら教えたのかしら?なんてそのときは好意的に解釈して、さりげなく書き換えてしまったのですが、今にして思えばあれも故意だったのかも。わたしが見ることがわかっている楽譜なのに、どうしてそんな見え透いたことをしたのか謎ですが、Iちゃんが言っていることがすべて本当だとすれば、多分故意にやったのかもしれません。そこまで考えて、待て待て、片方の話だけ聞いて、そんな先入観を持ってはいけないとあわてて打ち消しました。
 また、こんなこともありました。Nちゃんのおかあさんから、「三者面談に言ったら、担任が開口一番『お宅のお子さんがサイテーだってこと、お母さんは知ってるんですか?』って言うんです。先生、なにか思い当たることがありますか?」と聞かれたのでした。この時は本当に何も心当たりがなかったので、わたしはNちゃんが最低だなんて思ったことはないし、「そんなことを言う先生こそ、最低ですよねえ。」と憤慨し、お母様をなぐさめたのです。思えば先生はいろいろなイジメの事実を少しはつかんでいて、遠まわしにお母さんにカマをかけたというのでしょうか?
 Iちゃん本人にこの話を切々と聞かされながら、とんでもないことを聞いてしまったかも、と後悔しましたが、後の祭りです。悪いことに、オトートとも、Iちゃん、Nちゃんは同じクラスです。その上、この2軒はお母様同士もものすごく仲良しで、家族ぐるみのつきあいです。間に入ろうって言ったって簡単なことではありません。
 もちろんNちゃん側の話も聞かずに片方につくようなことはできないし、ただのピアノ教師の分際でNちゃんに「アンタ、Iちゃんを苛めてるの?」なんて聞けるわけもありません。泣きながら語るIちゃんに同情する一方で、別のわたしはNちゃんが悪者だとも思えないところもあるのです。もし両者の話を聞いたところでわたしに何が出来ると言うのでしょう。
 日頃から、生徒たちの信頼を裏切るようなことだけはしたくないと思っているのですが、今度ばかりはどう対処したらいいものやら、本当に途方に暮れています。双方の子どもたちの力になりたいと思いますが、どうかするとどちらの信用も失ってしまうかもしれません。
 Iちゃんには、わたしからお母様に報告するのではなく、自分でわたしに言ったことをきちんとお母さんと先生に話すべきだと言いました。わたしにこれだけちゃんと話ができたんだから、きっと大丈夫と背中を押して帰しましたが、大丈夫だったでしょうか?一日置いても、頭の中は昨日の出来事でいっぱいだったので、整理するためにも・・・と長々書いてしまいました。