ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 もうダメ!(笑)

 火曜日8レッスン、水曜日7レッスンと来て、とうとう今日は9レッスンです。正直ぐんにゃり。先週体を壊した時の分の振替レッスンも入っているのです。
 今朝最初の生徒たち、F姉妹は、妹が1年生で小さいので(姉は5年生です)ふたりで手をつないでやって来て、片方がやっている間、もう片方がフォローに回り、実にかわいらしくてほのぼのしました。
 おねえちゃんは、妹が奔放に楽譜を散らかしたり、鉛筆の束を床にばらまいたりするのが気になって仕方なく、でも口に出さないように一生懸命我慢しているのがとても微笑ましかったです。妹がどんなにぎこちなくても、一人でやるのをじっと見守っているのです。えらいなあ。
 妹は妹で、おねえちゃんの番になってからおとなしく椅子にすわり、ずっと姉の楽譜の端っこを、閉じないように押さえてました。彼女は相当練習する子ですが、分厚い楽譜はどうしてもページを開いていると閉じよう閉じようとするので、いつも片手でわたしが押さえたり、物によっては大きなクリップで止めたりするのですが、今日は妹が押さえていてくれるので、とっても快適。あまり楽だったので、「ねぇ、せんせいのうちでバイトしない?ずっと今日のレッスンの間中、楽譜を押さえてくれるお仕事をしてくれるだけでいいから」と言うと、「う〜ん」と考えて「『爽』(アイスクリームの)を2こ買ってくれるんならやってもいいよ。」と彼女。「そんなんでいいの?欲がないなあ」とおねえちゃんと顔を見合わせて吹きだしてしまいました。
 その妹は、やっと子犬のマーチを両手で弾けるようになったところなのですが、「エリーゼのために」を弾いている姉を見て明らかに尊敬のまなざし。時々はこうやって、ちょっと先を歩いている子のレッスンを見ることは、とても有意義だと思います。
 次に来たNくんは、「チクタク時計」という曲を持って来ましたが、テンポが早くなったかと思えば遅くなってジェットコースターのようです。あまりに迷奏しているので、「ちょっと待って。仮にも時計ってタイトルがついてるじゃない?!時計と言えば?」と謎をかけてみました。「いっつも同じ速さで動いてる」という答えを期待したのですが、彼の答えは「埃(ほこり)」え?なんで埃?とびっくりして聞いてみたら、彼のおうちの柱時計や置時計、みんな埃をかぶっているんですって。「時計と言えば埃だよ!」とおかしいけど笑えない発言(笑)子供って怖いです(笑)思わずレッスン後、我が家の時計の埃を確認しました。
 その後はつつがなくレッスンが進み、ラストのNちゃんまでやっと完走したところで、彼女お母様から電話があり、ご飯を食べる時間もなく、45分も話を聞きました。「音楽関係の高校に行かせたいのだけれど、どう思うか」という話です。
 「もう先生だけが頼りなんです」と切実なのは、ちょっと前にも触れた通り、彼女の素行がかなり怪しくなっているから。「学校の先生からはどうせ見放されたし、もう学校はいいんです」と返答に困るようなことをおっしゃる率直なお母様。「今はピアノだけが心の支えって感じなんですよ」とおっしゃっていましたが、わたしもそれは感じていて、だからこそ大いに悩んでしまいました。受験態勢に入ればピアノは楽しいだけじゃいかなくなります。今までより格段に厳しく指導せざるを得ません。練習だって、毎日何時間もしなければなりません。
 「とにかく、ご本人がどうしたいのか、気持ちをきちんと確認していただけますか?」と言うと、「わたしが話したって素直に聞きませんから。先生から聞いてもらえませんか?その結果どういう方向になろうが、わたしは先生が言うとおりにしますから」ってなんだそりゃ?!疲れていたのもあって、「それはちょっと違うんじゃないの?!」と心の中でキレそうになりました。
 そんな大切なこと、親を差し置いて、わたしが根掘り葉掘り聞くのはやっぱりおかしいと思うのです。多分そういうお母様の「逃げの一手」がNちゃんもに伝わっていて、余計に親子関係がぎくしゃくしているのではないでしょうか。最後の最後に来てなんだかなあと思う出来事。あぁ、別の意味で胃が痛い(笑)