ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 大きく挫折!

 夏休みの特訓により、ものすごく上手になったうぜーよちゃんですが、彼女の「さかあがりがいい」の一言により、元通り週に1度、30分のレッスンに戻りました。あんなに頼み込まれてがんばって、成果が出たと思った途端に「もういいです。」と来たもんだ。1時間レッスンしていた子が、急に30分になったということは、全く時間が足りないという事態です。今日から半分なんだからね、と何回言ったって本人のペースはそうそう変えられるものではないし、わたしだってペース配分が大変なのです。
 うぜーよちゃん本人はどうして急にレッスン時間が増えたり減ったりするのかちっとも合点が行きません。なので「なんで、時間がころころ変わるの?」と怒っています。「歌もひとつも歌ってないじゃん、宿題の曲も半分しかやってないよ」むくれています。でも・・・急に今日から「30分でいいです。」と言われたのだから仕方ないのです。「誰が決めたの?なんでママはそんなことを言うの?」事前に何も知らされていなかった彼女はわたしに質問攻めです。
 そんなこんなで、かみ合わないぐったりの30分を終えたのですが、どうしたことか、レッスンが終わってもお母様が迎えに来ていません。おしゃべりをしながら、とうとう家の前まで送ってしまいました。出て来られたお母様が、「どうでした?」と聞くので、「時間が足りなくてなんだかあせって30分が終わりました。本人も不満が残ったようです」と正直に答えました。うぜーよちゃん本人はというと、お母様が迎えに来ていなかったことを怒っていて、話をする雰囲気ではありません。
 ムードを察したお母様が、「回数はともかく、時間だけでも1時間に戻していただくこともできますか?」と言うので、「わたしはどちらでも。」と答えました。
 お母様は彼女に、「先生は、どっちでもいいって。もっとやりたい?今のままでいい?アナタがお客さんなんだからあなたがしたいように決めなさい」と言いました。「うぜーよちゃんはわたしのお客だったんだ」これからのレッスン時間がどうなるかよりも、この一言のほうにひっかかり、ほっぺたを殴られたかのような思いを抱えて行き場のないわたし。
 結局彼女は、「ピアノは30分だけでいい。お勉強教室もつかれた。もっとママと遊びたい」と最もなことを言い、レッスン時間は他の子と同じ30分でいいという結論になり、この話はおしまいになりました。お店の手伝いをしているママと、受験騒動により、益々遊ぶ時間がなくなったことが、なによりうぜーよちゃんを怒らせているのです。そのことに、お母様は本当の意味で気がついているのでしょうか?
 わたしにとっては、後味が悪いことこの上ない結果です。ついでに月曜日にレッスン日を変えてほしいと言われたのですが、断りました。月曜日は2学期からなんとか確保したお休みなのです。前だったら絶対に断らずに、彼女たちの希望どおり月曜日もレッスンを入れたでしょう。でも「わたしたちは客よ」という宣言で、なんだか寒々しい気持ちになって、思考がストップしてしまったのです。確かにわたしの仕事は客商売とも言えなくはないけれど、こんなにはっきり生徒のお母様に当然のように「自分たちが客だ」と宣言されたのは初めてです。単なる言葉のアヤなのかもしれないけれど、とてもとても落ち込みました。わたしの手元には、7月、8月で急に増えた分の追加お月謝1万5千円が残りました。「わあい、臨時収入だ〜」と素直に喜べません。
 いろいろ考えてみて、結論を言えばレッスンのイニシアチブはやっぱりわたしが取るべきでした。信念に基づいて動かないから、こういうことになるんだとがっかりです。一人ひとりのニーズに合わせたレッスンということと、「生徒と保護者の言いなりになる」ということは本来同じではないはずです。1万5千円という欲に目がくらんで不当に境界を越えてしまったのかしらん?わたし。(怒、怒、怒!)