ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 あ〜り〜え〜な〜い!!

夕べは久々8時間寝てしまいました。ここのところ平均5時間弱くらいだったので、すっきり〜。
毎日、日記を書こうとこのページを開くのですが、眠くて眠くてダメでした。

というのは、ある生徒が毎日レッスンに来ていたからです。

その曲については言わばわたしにとっては管轄外で、というか、見てくれと言われれば全然みるんだけど、わたしじゃない人が「責任を持って指導する」ということだったのであえて触れないでいたのですが。

「もうそろそろ完成している頃よね?」「聞かせて?」と弾いてもらったら、ありえないくらいまったく弾けてなかったという…
なんとか弾けるところもテンポが半分以下でしかもつっかえてばかりです。


わたし:「これ、どうしちゃったの?先生はなんて言ってるの?」

生徒:「忙しいからって全然見てくれないの」
「先生のうちに赤ちゃんが生まれるんだって」
「だから常に携帯持ってるし、ところかまわずラインやってるの。」「指揮棒振ってても、電話が鳴ったら出ちゃうし。」


わたし:「なんですって?」
(ありえない、ありえない、ありえない。これ現実?…生徒の手前言えないけど、笑)


生徒:「ピアノはまだ1回しか合わせてない。」「最初の4小節しか合わないし、そもそもわたしが弾けないんだからしょうがない。」

!!!!!


「はあ?」「どーゆーこと?」


先生ってば、無責任にもほどがある。
このまんまほっといたら、どうかすると、うちの生徒がダメダメだ…ということになってしまう。
それで終わっちゃったら、うちの生徒は決定的にピアノにトラウマを持っちゃうじゃないの。

「責任持って」という言葉の意味は知ってるんですか?先生!!ちゃんと教えるって言ったそうなのに〜(怒)(怒)(怒)


事情を知ってしまったからにはほっとくわけにもいかなくて、それ以降毎日学校の帰りに寄ってもらったり、わたしのレッスンが詰まっている日は、8時過ぎくらいにあらためて呼んで、毎日土日もなく大特訓してました。


そもそも与えられた課題が、彼女のレベルではちょっとむずかしいんじゃないかな?と思ってました。
これは相当がんばらないと弾けないよ!と何度も言っていたのです。
おかあさんも不安になったそうで、先生に問い合わせたらさっきの「責任を持って…」というセリフが帰ってきたそうなのです。

にも関わらず彼女、先月くらいから、ピアノのレッスン日にも遅刻したり、そもそも来るのを忘れたりするようになっていて。
そんなこと、これまでまったくありませんでした。
時間はきっちりしている方だし、あんなにピアノが大好きだった彼女、忘れるなんてありえません。

でも、ものすご〜く好意的に考えれば、これは多分もうひとつの場所の方が充実している証(あかし)なんだろう…くらいに思っていたのです、わたくし。

ねえ、だったらさぁ、二足のワラジは大変だから、レッスンはしばらくお休みしてもいいんじゃない?
また環境が変わったらあらためてレッスンにおいでよ。
音楽とは毎日関われているわけなんだしさ。

来週レッスンに来た時にレッスンをしばらくやめるかどうかを決めましょう…と言っていたところでした。

そして1週間が経って、この日が最後のレッスンかもなぁ?なんてぼんやり頭の隅っこで考えつつ始まったレッスンで、冒頭のセリフとなるのです。


レッスンにも身が入らず、遅刻やドタキャンばかりだったのは、もう一つの場所が充実してたのではなくて、彼女、あまりに自分が弾けないし、ちっとも弾けるようにならないし、頼れるはずの先生が心ここにあらずでちっとも頼れなくて、ただただピアノから逃げ回っていただけだったという…

本当にびっくりです。

もうちょっとで事情を知らないままタオルを投げて、わたしまで彼女を突き放しちゃうところでした。

ああ、決断する前に話が聞けて本当によかったです。


それにしても、もっと早く言ってよ!もう6年のお付き合いなのに、そんなに困ってたなら、なんでわたしに言わないの?と聞いたら「へへへ」と笑う。
一見へらへらしてて、いつも明るいから、そんなに困っているようには全然見えないのです。
そこが彼女のいいところでもあり、自分で自分を追い詰めちゃうところでもあるわけで…

かわいそうなことしちゃったなぁ。

というわけで、おとといで10日、毎日1時間くらい夜の特訓しました。
ひたすらメトロノームを使っての反復練習。
まずはまわりの音どころか自分がどんな音を出しているかさえ聞こえてないから、聞く練習。
テンポAdagioくらいでひとつひとつ、音と指使いを確かめていく。
最初はメトロノームとも全然合ってなくて、いかにちゃんと音が聞けてないかがわかる。
聞く練習。合わせる練習。

だんだんにスピードを上げては戻る。

八分音符を一拍にとって208まで上げてゆく。

付点四分音符を一拍に大きくとって、ゆっくり弾く練習をする。

だんだんにスピードをあげては、戻る。また上げては戻る。

弾けたら上げる。弾けなくなったらまた落とす。

リズムを変えて弾く。

スタッカートで弾く。

片手練習をする。

特に何も特別なことはしていないけれども。
「弾けるよ」「もうちょっとでできる」「きのうよりずっと上手」
「ちょっと弾けなくなったと思ってるでしょ。それ、今、やっと耳が追いついてきたところなの。」「うまくなってる途中だよ!」
「ああ、間に合いそうだね」

ひたすら励ますだけ。
なんの能力もいらない、言わばほんとうに誰にでもできる簡単なお仕事なんですけどね(笑)
ちょっと声を掛けてあげるだけで、方向性を示してあげるだけで、安心して練習を始める彼女。

やっぱり不安だったんだなぁ。

「第一ステージ。メトロノーム通り、クリアー!」「明日には♪=208クリアまで持っていこう!」
3日目からは、ゲーム感覚。
目が生き生きしてきて、自分からものすご〜く練習してくるようになり、楽しくなってきました。


そして毎日毎日ちょっとずつ一喜一憂し、なんとかカタチになり。
「全然弾けない」から「まだちょっと怪しいけど、なんとかなるはず。」というところまで持っていきました。

明日から合宿に行くという彼女に、練習の仕方は十分に叩き込んだし、そもそもまったく自分の音も周りの音も聴こえてないレベルだったのを、なんとか聴けるところまで持ってったから、やれこれで一息。

と思っていたわけなのです。

そうしたら、そうしたら…

驚くことに昨日になってもう一枚楽譜が追加されたという…

おーまいごーっ!!


「先生がね、久しぶりに見てくれたんだけど、『意外と弾けるんじゃん。さすがだね!』『こんだけ弾けるならもう1枚追加しとこうか。このアルペジオのとこも練習しといて!』ってポイっともう1枚楽譜を渡してきた」だって。


はぁ?


生徒がいなければ、怒り狂う寸前でしたが…言うまい。言うまい。

もちろんがんばったのは彼女。
わたしはとなりにいただけなんですけどね。
それにしても、勝手にうまくなってると思ってるなんて、あまりにも子どものことを知らなすぎる!!


というわけで、昨日ふたたびの二人三脚での猛特訓…

その後合宿に行っちゃったのでね、野となれ山となれ…としか言いようがないわけですが。
乗り越え方は教えてあげたし、ほんとに困れば頼ってきてくれるだろうし、あとは自分でもきっとがんばれることと思います。


それにしても…

久々あまりにあまりな出来事で、ぐんにゃり。

現実にこんなことがあるんだなあとびっくりした出来事でした。