ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 「虫くん、おはよう!」なんて言いたくもないはずなのに。

 4月になる時にカレンダーをふたつ(もちろんKinKi Kidsカレンダー)、どこに掛けようかと散々迷った末、寝室のベットの横に2つ並べて置くことにしました。あまり窓際にすると日が当たって焼けてもいやだし、風が少々あってもこれからの季節網戸にしたいので、吹っ飛んだりしたらそれこそ問題・・・と散々考えてオットにお願いして元々そこにあったカブトムシくんの標本たちにちょっとどいてもらって、標本の間にカレンダーを2つ置いたのです。
 そしてオットは出張に出かけ、一人目覚める朝。起きるとわたしはまず自然に目に入るカレンダーに見つめられているような気がして「おはよう」と言わずにはいられません。それだけでも十分バカですが、ついでに隣に居並ぶ黒々とした大きな熱帯雨林産の虫の標本にまで無意識に「おはよう」とひとつづつ声をかけている自分に気がついて愕然としました。なんなんだろう?うわぁ、病気の入り口だろうか??
 今朝といえば、オットに「輸入クワガタたちに一週間たったらバナナをやってくれ」と頼まれたことを思い出して、温室のビニールのカーテンを開けてバナナをあげました。こういうことは決してやりたくなかったので、結婚して17年余りノータッチを決め込んでいましたが、オットがいないとあればやるしかない、世話しないがために死んでしまっても後味が悪いし・・ということでここのところ小さくて透明なまあるい卵に霧を吹いたりということも、やむを得ずやっていたのです。
 元気かなあ?と思ってのぞいた虫くんたちは元気なようでした。一番大きい虫はすぐにバナナに張り付いておいしそうにむさぼり始めたのですが、小さめのクワガタがバナナに見向きもしないのがちょっと気にかかりました。一度温室の戸を閉めてピアノ室に入り、ピアノを弾き始めたものの、やっぱりさっきのバナナに食いつかなかったクワガタのことが気になって、ショパンを弾き始めたのに集中できません。なんということでしょう。ノクターンを弾きながらクワガタ虫のことを考えているなんて(沈)
 そしてとうとう数分後またビニールカーテンを開けてさっきのクワガタをそっとつまみあげて、バナナの上につかまらせてあげていました。やっとバナナに顔を埋め始めた虫にホッとして「ああ、よかった」と独り言を言ってから、ちょっと待てよ・・・・何がよかったんだろう??と我に返りゾッとしました。な〜に虫のことばっかり考えているんだろう。そういえば、カブトムシのあの形、あれは神様が作られた芸術だわ、特にコーカサスの大きいけれど滑らかなボディー・・・なんて酔っ払ってぼ〜っと標本を見入った夜もあったっけ。虫はこれからの季節、小バエやら匂いを生むし、主婦のわたしには永遠に天敵であるわけで、仲良くなる日なんて永遠に来ようはずもありません・・はずなのです。
 今にコーカサスカブトムシに「ツヨシ」とかって名前をつけて、酔っ払ったときなどにカゴから出してうっとり手に乗せたり、デジカメで日記に映像をアップしたりしていたらどうしましょう?!ありえない、ありえないと必死に打ち消す火曜の夜。冗談じゃないからね。
 きゃつらは元気にしてるよ!オットさま!