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- 作者: 村山由佳,村上龍
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1996/06/20
- メディア: 文庫
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- 作者: 村山由佳,小瀧達郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/10/26
- メディア: 単行本
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いろいろな場所で書評を読むと、「天使の卵」の方がよかったという人の方が圧倒的でしたが、わたしは断然2作目の「天使の梯子」の方が好きです。「卵」だけでは、愛する人を突然に亡くした人の悲しみや後悔が現実っぽく見えなくて、泣かそうとして作られたお話のように感じられて、心に響かず感情移入ができなかったのです。わたしがひねくれているせいかもしれませんが・・・。
ところがその後で読み始めた「天使の梯子」がとっても良くて、これを読んだことにより(わたしの中では)前作でぼやけてよく見えなかった苦しみや哀しみまでもが身近に感じられ、読み終わってみれば主人公たちにとても親近感を覚え、どこかで探してきて手元に置いておきたいとすら思っています(卵は古本屋で買いましたが、梯子の方は例によって、アネの高校の図書館の本なのです)。
前作では主人公たちの恋路を邪魔する脇役に過ぎなかった妹が時を経て心身ともに成長して、今度は魅力的なヒロインになっていて、そんな設定がそもそもとても好ましかったです。昔の自分たちのようなまっすぐな若い男の子と出会ったことによって、10年前に姉が、そして恋人が亡くなった時で止まってしまっていたふたりの心がゆっくりと解き放たれ、ほどけていくのです。3人が同じ部屋に揃った一夜の場面は、さっさと読んでしまうのがもったいなくなってしまったほどです。
いい本でした。しばらくはいろいろな場面のひとつひとつの言葉を噛みしめるように、いろいろ反芻するんだろうなと思います。