ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

ギターマガジン

「こういうのが読みたかったのよ〜」というテキストが載っていたり、西川進さんがドウモトツヨシを語るコラムがあったりして、とても読み応えがある1冊でした。(雑誌の値段としてはとても高かったですが。)ギター雑誌を買ったのは大学生の頃以来です。当時オフコースが大好きで、彼らの載っている雑誌はくまなく目を通していましたが、オフコースはアイドルでもなくテレビも大っきらいな人たちだったので、ギター雑誌などにほんの少し載っているコラムでも何十回も読んだものでした。
そして時がこんなに過ぎてまた、この類の雑誌を買っているわたしがなんだか不思議です。わたしはギターのことはちっともわからないのですが、もちろん音楽に関してはものすごく興味関心もあるし、端から読んでいくとわからないなりにも結構興味深い雑誌です。しばらくはきっとくまなく読みふけることでしょう。
さて本題、西川氏とつよしくんの対談本編のことについては専門用語も多いしもう少しよく読みこんでからもう一度触れたい感じがしていますが、もっと後にあった西川氏のコラムの中で、西川さんが落ち込んだ時につよしくんが楽屋でアコギ一本で耳元で歌ってくれたという話が書いてありました。ファンとしては、あのいい声で先生のためだけに歌ったなんて、なんてうらやましいんだろうとため息ものですが、「歌を聞かせて落ち込んだ先生をなぐさめてあげたい」という気持ち、それを実行に移したつよしくん、あまりにも彼らしいエピソードできゅんとしました。いいなあ。西川さんはその耳元の歌声を聞いて久しぶりに純粋に音楽というもので心が癒されたと感じ、涙したそうです。楽屋でまでメンバー同士が深く音楽的に交流していたコンサートだからこそ、あんなにも聞き手の心に響いたのだろうと思うと、その場に観客のひとりとして参加できて本当に幸せだったと思いました。
先生は対談本編の中でもつよしくんの書いた詩を読んでボロボロ泣いたとおっしゃっていて、つよしくんの「音楽」に本当に共感したうえでレコーディングやコンサートに参加してくださったのがわかります。埼玉アリーナの最後の二日間は、先生とつよしくんは、表立ってあまり会話を交わしてはいませんでしたが、ギターソロと歌声で煽り合い、気持ちを高めあいながらどんどん深いセッションしていたシーンがたくさんありましたし、他のバンドのメンバーたちとも音楽ででたくさん会話していたなあなんて思い出したりしました。
対談を通して見ているとこの道一筋でプロ中のプロのスタジオミュージシャンと、トップアイドルという年齢も経歴も全く違うふたりなのに、とても似通った感性を持っているように見えます。どんなに似た感性でも音楽という共通のものがなければ、決して出会うことがなかった二人、そんなふたりでも肩書きも年齢も一気に飛び越え、一瞬にして心を通い合わせることができるのが音楽だと思うと本当にうれしいです。
彼らとはまったく次元の違うところにいるわたしなので、一緒に語るのは失礼ですが、彼らのように頂上の方で音楽を相手にがんばる方々もいて、わたしのように地面の近くで同じように音楽を伝えることを仕事にして、毎日一生懸命音楽を通じてなんとか心を伝えようと思っている者もいます。こういう話を読むとちっぽけな自分の仕事にも誇りが持てる気がしてきます。ギターマガジンの中には当然ですがギターに対する愛情、音楽に対する愛情が詰まっていて、この雑誌に書かれていたことのひとつひとつが、わたしの心にもまっすぐに届いてきました。わたしにとっての音楽は、仕事でもあるが故に楽しいだけでは済まないとこもたくさんあるのですが、何度くじけかけても音楽っていいなあと、最後にはそこに帰って行けることを幸せに思います。