ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 四十九日のレシピ

四十九日のレシピ

四十九日のレシピ

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内容紹介
母・乙美が、ある「レシピ」を残して亡くなった。それは、離れてしまった家族を再び呼び集め、奇跡のような時間をもたらす処方箋。感動の物語。
内容(「BOOK」データベースより)
熱田家の母・乙美が亡くなった。気力を失った父・良平のもとを訪れたのは、真っ黒に日焼けした金髪の女の子・井本。乙美の教え子だったという彼女は、生前の母に頼まれて、四十九日までのあいだ家事などを請け負うと言う。彼女は、乙美が作っていた、ある「レシピ」の存在を、良平に伝えにきたのだった。家族を包むあたたかな奇跡に、涙があふれる感動の物語。

と書いてあります。
実は今日オリスタを買いに行ったところ、ふと目について思わず買ってしまった本。
午後、ちょっとだけお昼寝をしようかなぁと思いながら横になったら一気読みしてしまいました(笑)
母が亡くなったことによってスタートする物語だし、死があまりにも突然で、最初の方で語られる家族それぞれの母とのエピソードが、あまりにも「後悔先にたたず」な話ばかりなので、どうなることかと思ったのですが、物語の芯がとても暖かい物語で、読後感はさわやかです。
まるで良質なスペシャルドラマを見終わったような気持ちになりました。
多分この物語は、家族との永遠の別れから立ち直っていく家族を主眼に置いた作品なのですが、わたしは自分が主婦であるせいか、どうしても亡くなった乙美目線で読んでしまい、自分が死んだ後に残された家族のために何ができるのだろう?!こんな風にうまくやれるかな?というようなことをひたすらに考えてしまいました。
だからと言ってとてもネガティブな気持ちでそう思ったのではなくて、この乙美さんみたいに家族が思わず笑顔になれるようなもの、明日への希望やパワーをもらえるような何か、そういうものを残せたら…そういうのが理想だなあと思ったのです。
それから「四十九日の法要の代わりに大宴会をやってほしい」という彼女の願いにもとっても共感。どうせなら明るく送ってもらいたいなぁ。なんて思いながら読みました。
あまり詳しく内容に触れると読む楽しみがなくなってしまうので触れませんが、乙美おかあさんが残したもの、形のあるものも形のないものも含めて…が本当に素敵で心を打たれました。
タイトルにもなっている「レシピ」というのが重要なヒントですが、このレシピという言葉には「処方箋」という意味もあるそうです。
この本の中に描かれている登場人物たちは、一方でそれぞれに哀しいことやつらいことを胸に秘めているのですが、痛みを知っている人たちはみんなとてもやさしいです。
ちょっと変わった登場人物が次々と現れて、役に立っているのかかき回してるのか?なんだそりゃ?と思うシーンもありますが(笑)この人たちがまたみんなとても魅力的な人物です。
そしてやっぱり人の痛みは人との出会いや関わりによって徐々に癒されて、また新しい一歩を踏み出すきっかけになっていくんだなあと実感しました。
むずかしい本ではなくてさらっと読めます。ぜひぜひオススメの一冊です。