ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 共生型介護の話

 以前からとっても興味があったジャンルなのですが、9日の夜、たまたまご飯を作りながら見ていたNHKクローズアップ現代で「共生型介護」の特集をやってました。
 共生型介護とは、高齢者、子ども、障がい者などを幅広く受け入れて一緒にケアする介護の形態のことです。
 認知症のお年寄りも赤ちゃんも幼児も障がいがある人も…みんなが一緒の部屋で過ごすことによって、お互いによい影響をたくさん及ぼしあて、様々な化学変化が起きるそうです。
 たとえば、高齢の男性が今まで全然自力では歩くことも立つこともできなかったのに、言葉をやっとしゃべれるようになったばかりのなかよしの幼児に手を引かれてにこにこしながら立ち上がり、歩き始めたのだそうです。
 幼児の方もそのおじいさんが大好きで、施設に通ってくると真っ先にそのおじいさんの膝の中にストンと自分から収まります。
 認知症でほとんど何もできなくなってケアセンターに来たお年寄りの女性が、自分から一緒に入所している幼児や障者がいのある人の食事の世話をするようになって、人の役に立ち感謝されることで、驚異的な回復を見せ、びっくりするほど生き生きとし始めたり。
 事故の後遺症で精神的に異常をきたし、家庭でどうしても普通に生活することができなくなってしまった男性が、施設でゴミ出しを手伝ったり、ほかの入所者の生活のちょっとした手助けをしたりすることで感謝されるようになってから、発作がおさまり、とても穏やかになったというお話やら…
 素敵な変化の実例がたくさん紹介されました。
 一緒にいる誰かの役に立って「ありがとう」と感謝されること、誰かに必要とされることは、誰だって無条件にうれしくてしあわせなこと。
 感謝されたり喜ばれたりすることで、その人の最大限の「できること」の可能性が大きく広がって行くこともあるのだそうです。
 今までの施設ではもっぱら「サービスの受け手」だった方々が、この共生型介護の施設においては、お世話する側に回ることもあります。
 また、そういうちょっとした役割や生きがいを得ることが、認知症からの驚異的な回復への鍵であることはお医者さんも認めていることなのだそうです。
 預けられる小さい子どもにとっても、常にたくさんの人の中で暮らし、無条件に慈しんでくれる人たちや、自分に関心を持って相手をしてくれる大人たちに囲まれていることが、どんなに今後の成長にプラスになるかは計り知れない気がするのです。
 ただし、大きな問題もあって、それはたとえば行政のこと。
 お年寄りと幼児では行政側の管轄が違うので、法律の基準が違ったりして、いざスタートしようとしても結局無理だとあきらめざるを得ない状況になることも多いのだとか。
 それじゃなくても日本では、今までに前例がないことを一歩進めようとすると必ずそういう問題があとからあとから出てくることが多いような気がします。そういうことを考えると、なんだかとてもやるせないような無力感を感じます。 
 とにもかくにも画面の中の子どもたちもお年寄りたちも障がいがある方々も、みんな穏やかでしあわせそうな姿なのがとても印象に残りました。
 なんだかとっても心に残る印象的な話だったので、日記に書いておこうと思いました。