- 作者: 佐藤多佳子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/05/24
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 26回
- この商品を含むブログ (50件) を見る
10日の日曜日に2巻と3巻を買って、そこからはもう一気です(笑)ちょっとずつ読もうなんて思ったところでもう我慢ができようはずもなく、続きが気になって気になって、ほぼ1日1巻のペースで実質3日間で3巻とも読み終えてしまいました。
もうすぐフジTVで内くんが主演のドラマになることが決定しているので、詳しいネタばれな感想を今書くのは無粋だと思いますので、詳しくはドラマが終わってからゆっくりと。ちなみにドラマの方もとっても楽しみにしています。内くん、いい再スタートが切れるといいね。
とはいえ、どうしても触れたくなったので、ひとことだけ触れておきます。
読み終わってこれほどさわやかな気持ちになれる本は久しぶりでした。高校生の物語なのに、ちっとも遠い世界の話とは思えず、王道の物語なのにイヤミがまったくなくて、こんなねじくれた大人になってしまったわたしでも(笑)まっすぐに物語の世界に入り込んでいくことができました。
先週の火曜日に十六茶カフェに向かう電車の中で読んでいて、思わずだーだー泣いてしまい、恥ずかしながらハンカチを取り出して目頭を押さえつつ読んでいたのが2巻の最後の方ですが、そこだけに留まらず、何度も心を動かされて目に涙を溜めたり怒りにかられたり、時には興奮で我を忘れて読みふけりました。
一生懸命とか、まじめにとか、コツコツととか、そういう言葉は口に出すのもちょっと恥ずかしいような気さえする今の世の中ですが、そんな自分を恥じたくなるような内容です。
言葉を言葉通りにまっすぐ受け取れなくなったのはいつからだったかなぁ。それはムリ!とやる前からあきらめるようになったのはいつから?なんでこう、口を開けば皮肉になっちゃうかなあ!本当はそんなこと思ってないのに!とか、自分の日常の言動を省みて恥ずかしくなったりもしました。
陸上部の高校生たちがただただひたむきに陸上競技に取り組む日常の物語なのですが、筋肉の鍛え方とか練習への取り組み方、一歩間違えれば痛めてしまう怖さとか、本番前のメンタル面の管理のむずかしさとか、ピアノの世界ともちょっと似ていて(レベルは全然違うけれど、笑)自分の高校生の頃を思い出したりもしました。
また、陸上部の顧問の先生のあり方が本当に素晴らしくて、わたしもあんな先生になりたいなあと思ったり。
やっぱり人生斜に構えずに、ちゃんとまっすぐ歩きていたいなあと、素直に思わせてくれる物語に久しぶりに出会った気がします。
「走る」つながりで言えば、昨年読んだ三浦しをんさんの「風が強く吹いている」もすごく心を動かされた本でしたが、あわせて読むと楽しさが倍増するかもしれません。
どちらの物語も暖かくて大真面目だけど陳腐じゃなくて、「人の本質ってきっといいものに違いない」ということを徹底的に思い出させてくれる気がします。