ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

[仕事] お願い、負けさせて〜(笑)悪夢のじゃんけんぽん!!

 ちょっとさかのぼっておとといの話です。
 初仕事はいきなり9人でした。しかも姉妹が二組。この二組を前後に続けて4人組んでしまったのが、大失敗。早くも冷や汗やらリアル汗やらを生む、大変な騒動への引き金を引いたというわけです(笑)最初の姉妹とわたしの3人が狭いレッスン室に入るだけでもぎっちぎちなのに、更にそこに、予定より15分も早く、次の姉妹がやって来てしまったのです。3プラス2。明らかに定員オーバーです。
 そもそも防音室は、縦はグランドピアノの椅子を普通に引いて座って後ろはやっと一人通れるくらいの狭さ、横はグランドの大きめの椅子の両側に小さな丸椅子が2つ置いてあります。そして、センターの椅子にピアノを弾く人が座り、手前にわたしというのがいつものスタイルです。
 そんな3人が(椅子に)座るだけでも大変な場所に、更に残りの2人が後ろからのぞきこんで待つという、恐ろしいことになりました。
 小さな女の子が4人も集まれば、しかも2組の姉妹で場所が狭いとあれば、だいたい想像がつくと思うのですが、その通りの展開に(泣!)大汗をかきつつ、やっと今日やるべき課題を終え、丸をつけたり新たに宿題を出した後は、最後の歌の時間です。せっかくだから後の二人も巻き込んで、みんなでやろうと誘ったのもわたしです(沈!)
 そうして「ともだち」という3年の教科書の歌をうたい、「ピアノランドマーチ」をリズム付きで歌い、「パフ」を階名で歌い、ラスト1曲と言ったら、小さい子ども達が「じゃんけんぽん」の歌がいいと言います。(これもまた、小学校1年生の教科書に載っている遊び歌です)
 「わたしが勝つまでね!」と一番小さい子が言い、軽い気持ちで「じゃ、○ちゃんが勝つまで!」と言い始めてみたら、これが大変!なんと何度歌を歌っても、最後のじゃんけんではわたしのひとり勝ち・・・普通5人でじゃんけんをしたら、あいこになってなかなか決着がつかないと思うでしょ!他の子だって勝つでしょ!ところが違うのです。何度やってもわたしのひとり勝ち。とっくに次のふたりの時間に食い込んでいるのに、じゃんけんがやめられません。「もう先生はいっぱい勝って満足したから(笑)今度は、先生なしでじゃんけんしようか?」と誘っても、子どもたちって案外頑固なので、「ダメだよ!途中でルールを変えちゃダメ!」と一歩も引きません。これほど負けたいと思い続けてどうしても負けられないじゃんけんは初めてでした(笑)考えても見てください。5人でじゃんけんをして、ず〜っとひとりだけ負けない確率は?・・・こんなところで今年の運を使ってどうする・・・と哀しくなりつつ、引き分けをはさんでとうとう7回戦くらいやったのではなかったかしらん。そこでやっとわたしが負けて、あとは子どもたちの勝ち抜き戦。もうぐったりでした。わたしってば、新年早々まだまだ未熟〜!(by ゆいか 下北サンデーズ!)
 さて、面白話はそこまでにして・・・
 去年も言った気がしますが、正月あけのレッスンは、ここ数年なぜかみんなとっても練習してあって、いつも感心してしまいます。1回でブルグミュラーの「アベマリア」を完璧に仕上げてきたMちゃん。大嫌いだったバイエル106番、4週かかってもできなくてあきらめかけていたのに、冬休みで今までがウソのようにできるようになったAちゃん。どんと来い両手と胸を張るSちゃん(笑)「ねこふんじゃったスイングバージョン」を「自分であみ出した」と大得意のTくん・・・
 「先生が子どもの頃はお正月なんていつもさぼってて、レッスンに行くのがイヤだったなあ。」なんて言うと「ダメだね、先生」と笑われます。イベントごとも最小限で、おばあちゃんの家に1日行っただけとか、どこへも行かなかった子が年々増えている気がします。やっと続けてお休みになったのだから、ストレスから開放されて家でのんびりしたいなんて、休日のおとうさんのような1年生がいて、せつなくなったりします。
 その上、いつもならあるプールや塾や諸々の習い事が休みになるので、日頃時間がなくて思う存分できないピアノの練習にも普通に熱が入るみたいです。なんてえらいんだ!
 うちの生徒たちの中には、本気でバレリーナを目指している6年生もいれば、オリンピックに出たいという体操の強化メンバーに入っている子もいて、そういう子たちは、週のほとんどをその練習に取られています。「その上更にピアノもなんて無理しているんじゃないの?」と聞いたことがあります。
 でも、それでもやめたくないんですって。楽しいんですって。ピアニストになりたいわけじゃないので、どんどん成長していかなくては振り落とされるというプレッシャーもないし、マイペースで練習して自分なりに弾けるようになれるのが楽しいって。・・・まるで疲れたおじさんみたい。
 「今の子達はどうなってるの?」と言われることが多いですが、「どうなってるの?」という子ばかりじゃありません。切り替えが上手で、習い事をいくつやっても全部を普通に楽しんでいる子もいるし、先に紹介した姉妹たちのように、騒ぎすぎて力余って叱られて、シュンとしたり、小さいシールをもらって目を輝かせているような子どもらしい子どもたちもいます。
 みんなからの年賀状を1枚1枚読みながら、今年も充実したレッスンができるといいなと思います。