ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 新しい出会いにはわけがある?

ひとつ前の日記に、とてもたくさんの反響をいただきました。

たくさんのアドバイス、あなたもがんばってね〜!!とのエール。

本当にありがとうございます!

心からの感謝を込めて!

今日は小春日和でぬくぬくしてて。

電話したら、声が少しだけはずんでいて元気そうでした。

いただいたアドバイスに従って「調子はどう?」とは聞かず

ちょっとだけわたしの話を聞いてもらったり

おでんのだし汁の調味料の配合を聞いたりして、和やかに時が過ぎ。

こういう日がゆっくりでいいから、ちょっとずつ増えるといいなぁ。

いろんなことを教えてくださったみなさま、ありがとうございました。


さて。

先週お試しレッスンにやってきた子たちについて。

今にして思えばですけど…

なんとなく「ちょっと事情がありそうかも?」という予感があったのは、

そういえばそのご家族を何度も見かけていたからで。


偶然かな?と思うこともありましたが、実際に話を聞いてみて、やっぱり偶然じゃなかったことがわかりました。

何度も何度も迷っていて、決心するまでにかなり時間がかかっていたそうなのです。


そもそもわたしの教室は、普段は看板をあげておらず。

ほとんどの生徒は、今いる生徒からの紹介でやってきます。

そして、明らかな空きができた時だけ、短期間張り紙をして「若干名」というカタチで募集します。


そんな時、タイミングがたまたま合って、のぞいてくださる方がいて。


たとえば、今、出張レッスンをしているりーちゃんは、友だちが誰もピアノを習っておらず。

どうやって先生を探そうと思っていたときに。

たまたま通りすがりにこの張り紙を写メって帰宅。


「ママ、早く電話してみてよ〜!」と本人自らに急かされて電話をくださり。

それがご縁でレッスンがスタートして、もう3年になります。


今回、3人兄弟とおぼしきそのご家族には、一番下に3歳くらいの女の子がいて。


レッスンの後などに玄関に出たタイミングで

おかあさまが熱心に張り紙をご覧になっているのを何度か見かけたものの

こちらから張り切って声を掛けるのも押し売りみたいだし(笑)あえて気づかないふりをしていました。


その小さな女の子の先生を探してらっしゃるのかな?

でもまだ年少さんくらいかな?

もうちょっとしてからと思ってらっしゃるのかな?と。

そんな風に思ってました。


そして、何度目かにお見掛けしたあと、やっと声を掛けられたのは初夏の頃。


ちょうど学校の音楽会のオーディションを受けるというモカちゃんを特訓している頃で。

あまりにも雑に弾いているので、毎日呼んでいて。

その日は、空手の日。

胴着姿でレッスンバックを持って寄ったモカちゃんに

「明日もおいでよ!!」

「ちょっとは家でもやりなね〜!!」

「ええ〜!?空手疲れたし、寝ちゃうかも!!」

「いやいやいや!今やらなくてどうするの!!」

なんて(笑)

こちらもまた、超雑な会話を繰り広げているところで。


なんとなくバツが悪いタイミングで声を掛けられたのでよ〜く覚えてて(笑)


「あのう、ずっと張り紙を見てたんですが、気がつけばなくなっちゃってて。」

「もう募集は締めきっちゃったのですか?」とおっしゃるのです。

その時は、9月からスタートの姉妹の生徒が決まっていたので

その子たちが慣れるまでは、もういいかな?と看板を下げていたのですが


とても残念そうにしてらっしゃるしで。

聞かれるままに、お月謝などをお話したら…


「子どもがたくさんいるので、ちょっと厳しいかな?兄弟割引とかないんですよね〜」

な〜んてことをおっしゃるので。


今は30分というコースは基本やってないので、ここには書いてないですが

昔はそういう生徒さんもいたので

それでよければ、兄弟だからと言って割引はしませんが、もうちょっと安いお月謝もアリですよ〜

なんて話をしたのでした。


そして一応パンフレットを渡し。

その後、10月のおしまいくらいまで何の音沙汰もなかったので

やめにしたのかなぁ?

うちよりも月謝が安い教室はそうそうないと思うけど、もしかしてライバルがいた?

とか思っていたら(笑)


つい先日、ちょうど実家に母を訪ねていた時に、電話がかかってきました。


そこからはトントン拍子でお試しレッスンが決まり。


やってきた子たちは、この子かな?と思っていた女の子ではなくて。

小学生のお兄ちゃんと、年中さんの弟だったというわけです。


しかも、最初に来た年中さんの子は一人でレッスンを受けさせてもいいですか?とおっしゃり。

でも、できたら次の2年生の男の子は、できればわたしも一緒に入れていただきたいとおっしゃるのです。

あれれ?普通逆じゃないのかな?

なんとなく不思議に思いつつも、はいどうぞ!と二人続けてお試しレッスン。


年中さんのせいちゃんはとっても無邪気で、とても張り切っていて。

たった30分のお試しレッスンで、すでにもう1年くらいレッスンしているかのようにリラックスしていて。

おもしろい子と出会ったぞ!とこちらもわくわく。

物おじしないやりとりに何度も笑かしてもらいました。


そして次に入ってきたお兄ちゃんとおかあさんが来ても

自分もまだここにいたい!とせいちゃんはレッスン室から離れずで(笑)


先におじいちゃんと一緒に帰してから、じっくりお兄ちゃんのお試しへというお母さまのもくろみはもろくも崩れ(笑)

じゃあ3人でどうぞ!とわたし。


実を言うと、わたしの防音のレッスン室はグランドとピアノの椅子の左右にひとつずつ小さな丸椅子を置いてあって。

3人入るともうこれ以上はムリ!という大きさなのですが…

そこに強引に4人で入り…お母さまに年中さんを抱っこで入ってもらって、お試しレッスンを強行しちゃいました(笑)


こういう予期せぬハプニングは嫌いじゃないです(笑)


何かが起こることも多いですが、それもまた楽し!!


でね、でね。

あえて違う本を使ったところもありますが

お試しなので、同じ本を使って歌ったり弾いたり、リズムを叩いたりしたところもあって。

びっくりしたのは、さっきやったばかりの弟くんが、わたしのセリフややり方をすでに覚えていて。

先回りして言っちゃったり(笑)

「あれは?ねえ、あれは?やらないの?」と言ったり。

意外に覚えているもんだなぁと感心したりもしたわけですが…


お兄ちゃんの方はもちろんはじめてなわけで。

「うるっせえなぁ!!」

「せい!!もうちょっと黙ってろよ〜!!」

などと、言葉だけはちょっとキツイトーンで言いつつも。


兄弟が多いお家のお兄ちゃんらしく、わりと集中が切れずで。

ちゃんとわたしの話を聞いていて、スゴイなぁと思ったわけなのです。


そして、意外とムキになる性格のようで(笑)


今回はお試しだから、まだできなくて当然なのですが…

一度教えてあげたことが教えた通りにできないととてもとても悔しいらしく。

「えいくそ!!」と言いながら、何度もトライする。


次やってみようか?と言ってみても、もう一回!もう一回!と何度もやろうとしていて。

お母さまは、なんとか止めようとされたけど、大丈夫ですから!と好きなだけやらせてあげたらば


おぉ!!気がつけばできちゃった!!

というパターンが2回ほど。


そして「せいちゃん!」とわたしが弟くんの名前と呼び間違えたら

「なんだとぉ〜!?」なんて生意気に言って「オレはせいちゃんじゃなくて、こうちゃんだから!」って(笑)


一見乱暴そうで、その実、とってもかわいい「こうちゃん」なのでした(笑)


さて。

そんなこんな、二人のレッスンはガチャガチャとにぎやかに終了して。

わたしは大汗をかき。

膝にせいちゃんを抱っこのママもまた汗だく。


「では、あと20分くらい次の子が来るまで余裕があるので、質問でもあれば…」

と言ったところで、まずは子どもたちを先に帰してもいいですか?とお母さま。


お母さまと二人だけになった時に、とってもびっくりな話を聞いたのです。


そもそも、お試しレッスンをした限りでは、お兄ちゃんが特別なんらかの事情がありそうにも見えなかったのですが…

なんと彼もまた、学校で一言もお話ができないという子どもでした。


そうなのです。


以前からうちの教室に通っている3年生の女の子の生徒、通称「ことちゃん」と同じような子どもだったのです。

当然ながら、「もしかしてことちゃんのお母さまからの紹介なのかな?」と思ったら…まったくの偶然でした。


ことちゃんは、大人は大丈夫ですが、子ども同士だと、保育園でも学童でも、学校でも話ができないタイプの子どもでしたが

今回のこうちゃんは、先生ともお友達とも、学校では誰一人とも一切話ができないんですって。


その話を聞いて、誰よりもびっくりしたのはわたしで(笑)

だって、今、確かにわたしと話してましたよね〜!?と言ったら

お母さまも「そうなんです!」ととてもびっくりされていて。


たとえばノートに書いてできる授業は、それでもまだなんとかなっているそうですが。

一言も話さないとどうにもならないのが、音楽で。


学校の先生も困り果て、これでは点数の付けようもない…と言われたのだとか。


とにかく学校で話すことがまったくダメ。

先生が促してもダメ。

お友達に話しかけてもらっても全然ダメ。

お母さまが一緒に教室に入って、ついていてもダメ。


入学時は、いつかはしゃべり出しますよ?と言われていたそうですが…

もう2年生なのに変化がなくて、困り果てていたのだそうなのです。



わたしにはたまたまことちゃんとの経験があったので。

もちろん驚きはしたけど、そこまで深刻にはとらえておらず。

あんまり考えすぎてもやってみなければわからないし、とりあえず始めてみましょっか〜と言ったら。


神経質な先生じゃなさそうだし、ここに決めたい!とおっしゃってくださって(笑)

それはもしかして、わたしがずぼらそうに見えたってこと??(笑)(笑)(笑)

まっいいんですけどね。むふふ。


そもそもが、音楽そのものを「わかっているのかわかっていないのか」もわからず。

音楽がよほどきらいなのかとも思ったけれども。


「1年生の時に学校で習った子犬のマーチ、この子、確かにうれしそうにピアノで弾いてましたよね?」


「こぎつねも歌えてましたよね?」


「あんな大きい声で、家じゃないところで声を出したのを、初めて見たかも?」

とウルウルしながらお母さま。


狐につままれたかのようなわたし(笑)


もちろん、わたしがなんかすごい技を使ったわけではなくて(笑)


まあ、言ってみれば偶然!!!


たまたま弟が帰らないと粘り、どさくさに紛れて、慣れた家族だらけの現場(レッスン室)で

ガチャガチャしながらやったのがよかったのかもしれないし(笑)

せいちゃんがうるさいほど茶々を入れてくれたのが逆に平常心の元になったかもだし(笑)


そんな中、ぎゅーぎゅーのレッスン室でわたしが「えいやー!」でレッスンしたのが功を奏したのかもしれません(笑)


とにもかくにも、この2年生男子、こうちゃんは言葉を発し。

知らない大人とほぼ初のコミュニケーションを取ったということで

お母さまはそれだけで、とても喜んでくださいました。


さらに、成り行き上、わたしの話から

同じようになかなか人とコミュニケーションが取れない子どもが

同じ学校にもう一人いたということを知れただけでも、今日ここに来た甲斐がありました!

と言っていただき。


ことちゃんは、まだまだ学校ではおとなしい方だけど、

3年生になって、もうずいぶんお友達とも話せるようになっているし。

(うちの教室では時としてありえないほどうるさいけど!笑)

ピアノもゆっくりだけど、確実に力をつけているという話をしたら…


力をつけるかどうかは二の次で

とりあえず、こういう子でも断らず、見ていただけるだけでいいんです!!

ととっても切実な様子だったのでありました。


で。

そんなこうちゃんをピアノ教室に通わせるのはどうか?と思ったのは実は1年くらい前からで。

それでも決心がつかずに、わたしが気まぐれに貼ったりはがしたりする張り紙を

何度も何度も見たり、なくなってがっかりしたりしていたことを知りました。


万が一通い始めたものの、一言もしゃべらなくて先生にご迷惑を掛けたら…と不安に思ったり。

直前にやっぱりイヤだと本人が言い出したらどうしよう?と思ったり。

いろいろいろいろ考えていたのだそうで。


ちっとも知らなくて、申し訳ないことをしました。


現代社会では誰しもが孤独で。

このご家族は二世帯住宅で大家族だし、日々にぎやかに暮らしてらっしゃるようなのに

それでもお母さまはこんな風に人知れず、長いこと悩みを抱えてらしたんだなぁと思うと胸が詰まる思いで。


でもでもでも。

もしかしたら、わたしたちの出会いは、タイミングとして「今」だったのかも!!


一年前だったら、まだまだことちゃんとのレッスンも手探りの最中で。

もしやわたしはお月謝泥棒なんじゃないか?と疑った時期もありましたし…


そんな時期だったら、こんなにあっさりと「とりあえずやってみましょう!」とは言えなかったかも。



いろいろ考えるにつけてもとても不思議なご縁で。

偶然が偶然を呼び、この兄弟も来月からうちの生徒になることになりました。


今回はずいぶん偶然にも助けられたけど、もちろんこれから、そんなに簡単じゃないと思うし。

来週からは一人でレッスン室に入るから、もしかしたら話さなくなっちゃうかもしれないし。


お母さまができれば、年の違う弟と同じ本を二人で使いつつ、ちょっと刺激になるように競わせたいとかおっしゃって。

わたしはあんまり競わせるのが好きではないので…

そこにどう折り合いをつけて行くのか。


そうは言っても、年中さんと2年生では成長にも理解にも差があって

お月謝が安い特例の「のんびりコース」なので、普通の子が45分レッスンなところ、彼らは30分ずつでスタートだし。

そこをどうやって埋めて行くのか…

ちょっとした不安も、勉強しなくちゃいけないこともたくさんあるし。


その子を丸ごと受け止める覚悟もいるし。

新しい子を懐に入れるからには、楽しいことばっかりじゃなくて

ことちゃんのとぼとぼと帰る背中に、一緒に凹んだり苦しくなったりしたように
この子たちともいろいろあるんだろうなぁ。


新しい子たちのこれからも、自分ごととの境界線がいつしか薄くなっちゃって

一緒になって悩むんだろうなぁ。

結構今だってもう、いっぱいいっぱいじゃないの?

大丈夫かなぁ?という気もするけど。


一方で、陸上で県体に行けた!!とか。

書写が金賞だった!とか。

お宮で七五三やってきたよ〜!!とか。

念願の妹が生まれたよ〜!とか。


他の子と同じように、うれしいニュースもたくさん持ってきてくれるだろうし。


笑いもいっぱい運んできてくれるだろうことも容易に想像できるので。

あんまり怖がらず、えいやーでがんばろうと思います(笑)


お兄ちゃんの名前は「こうちゃん」だしね。むふふ。

(残念ながら呼び方はこうちゃんでも、こういちくんではないですけども、笑)


これもまた運命かも。


そうそう。

とても驚いたことがもう一つあって。


このふたり、こうちゃんとせいちゃんの下に女の子がふたりいて。

新しい生徒の家は4人兄弟なんですって。

この子たちは数年間楽しくレッスンできたら十分かな?と思ってるんですけど

本命は下の二人なんですよ〜

次々送り込みますからよろしく〜と言われてしまいました(笑)

3人兄弟だと思ってたら4人でした!!

そりゃ、兄弟割引ないんですか?とも聞きたくなるってものでしょう!!

げらげら。


そして、こうちゃんは4人兄弟の長男で、家ではとってもいいお兄ちゃんなんですって。

にぎやかな家庭で、おじいちゃんとおばあちゃんもいらっしゃる中

わりとおおらかそうなお母さまと共に、お家の中でちびちゃんたちのお世話も上手。


なのに、学校では一言も言葉が出ないとしたら…

ご家族は辛いだろうなぁと…あらためて思いました。


どうもうちの教室は一筋縄ではいかない感じなのが「らしい」ようで。

一癖も二癖もある子、よそで断られてきた子とかが多く入ってきます。


最初は苦労しても、どの子も気がつけば同じようにかわいくてたまらなくなるのもいつものこと。

きっとこうちゃんやせいちゃんともそうなるんじゃないかな。



というわけで、今日が夕方までゆっくりできる、最後の水曜日です。

来週からは水曜日は3時からレッスンスタートとなります。

ファイトーわたし!!


追記:

この日記の下書きをしていたのは朝で。

8時過ぎに電話がかかってきました。

3年生の生徒の一人からでした。

????

キッズ携帯からかかってきたことはわかったのですが、生徒は学校に行っているはず。

とはいえ確かに電話は鳴ったし。

ピンチになったらいつでもかけてきていいよ?と言っているので、何かあった?とコールバックしたら。

もちろん生徒は出ず。

あれれ〜!?と思っていたら…

生徒のお母さまから電話がかかってきました。

犯人は1歳半の妹ちゃんでした!!

保育園に行く前に、おねえちゃんのキッズ携帯をいじって遊んでいたらしいです(笑)

朝から大笑い。

「すーみーまーせーん!先生!!」とお母さま。


生徒に何かあったのじゃなくて、よかったです。