ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 「あいのうた」3話 「野ブタをプロデュース」3話

 「あいのうた」は3話になり、すっかり安心して見ています。お弁当のエピソード、主治医の先生のそれも、そして洋子の一生懸命さも、なんだかとてもせつないです。たかがお弁当、されどお弁当。(ドラマを見て自分の「いい加減弁当」を思い出しました。毎朝、多分10分もかけずに作ってます。もっとちゃんと作ろうよ。初心に帰って反省しなさい、反省!)
 空っぽの弁当箱のシーンはもちろん素敵でしたが、毎日中身の残っている弁当箱を見てため息をつきつつ、歯を食いしばってあきらめない洋子がよかったです。きれいな女優さんの管ちゃんですが、いい顔だけではなくて、苦しそうな顔、哀しいようなせつないようなしあわせなようないろいろな気持ちが混ざった顔。表情がいろいろなことを語っていて、説明的じゃないところがとても素敵です。つくづくお芝居の上手い女優さんです。
 気がつけば自分で思っているよりずっと、彼女はあの家の真ん中にちゃんと居場所を見つけているんだなあと、しみじみ思ってしまいます。ソファーの上で犬と戯れるお約束のシーンも好きだし、子どもたちとのちょっと噛み合っていない?!会話も好きです。
 玉置さんは、安全地帯で初めてテレビで見た頃とはずいぶん姿もキャラクターも変わっている感じがしますが、今のイメージによくあった笑顔の似合う役柄です。どうしても岡田さんが玉置さんをと思ったのがよくわかります。
 彼が巧いかどうかと聞かれるとよくわかりませんが、職場でも家でも、「とにかくこの人はいてくれるだけでいいの」という存在感は今の彼にこそ出せる雰囲気のような気もします。ただ、先が長くないということは最初からわかっていることなわけで、この人の存在がなくなることを、ドラマの中とはいえ考えたくないなあと思ってしまいます。まだまだ3話目なのに、彼がいなくなった後のことを心配しさびしくなってしまいます。脚本が岡田さんなので、救いがない最後はないだろうとたかをくくり安心していますが、お願いしますね・・(頼んでどうする、笑)
 「野ブタ」も、とても面白かったです。文化祭当日、修二がバタバタあちらこちら走り回っているのを見て、わたしの高校時代を思い出しました。わたしもあんな子で、いろんな部を兼部していたので、コーラスやったり合奏したり、劇に出たり、裏方だけ参加しているものがあったり、バタバタあっちにこっちに走り回ってましたっけ。そういう役回りだったので、彰と野ブタのように、じっくりとひとつのことだけにかかわりトラブルを乗り越えてやり遂げるふたりがとてもまぶしかったです。お手伝いのバイトさんたちの「オチ」にはどっきりしながら、「すごいすごい」と喜んでしまったし、金色のすすきの林のシーンの映像がとても美しくて、後で見返したりもしました。
 ラスト近くで修二が弟とふたりで手をつないでお化け屋敷を回り、一緒に帰ってゆくシーンがなぜかとても心に残りました。わざとらしく、これでもかと家族のシーンを入れられると引いてしまうし、かといってトレンディードラマっぽいつくりで、家族を全く出さないドラマもなんだか違和感があるひねくれ者のわたしですが、この兄弟の描写はちょうどいい加減。さりげないシーンでも家族の絆がちゃんと伝わってとても温かい気持ちになりました。このドラマ、「なんだかなあ」とため息混じりに考えるシーンと「捨てたもんじゃない」とほっこりする場面が程よく混ざっていて、良質なドラマだなあと思います。失礼なことをあえて言うと、少し前は日本テレビのドラマはちょっと見る前からパス!という時代もあったのですが、最近気がつけばこのチャンネルのドラマにお気に入りが多いです。チャンネルで見る見ないを決めるわけでもないし、前評判や悪評に惑わされる方でもないのですが、それでもなんだか製作側に力が入っているかどうかとか、画面の向こうの心意気みたいなものって、案外伝わってくる気がします。