ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 言っちゃったものは仕方ない(恥)

顔見知りの子と会いました。やけに早いなあと思ったので、「どうしたの?」と声を掛けましたら、「体の調子が思わしくないので、休んで帰って来ました。それでは失礼します。」とバカ丁寧な答えがかえってきて、まだ「あれ」を覚えてるんだろうかと落ち込みました。中2男子にしては最上級の丁寧さです。「え?なになに?」・・・ということで、長い話ですし、あまり品のよろしい話ではないので、ご興味がある方のみどうぞ。
「ったく〜ふざけんな!事情も知らないで、チクんじゃね〜ぞ。わかった〜?!」
多分こんな感じだった思うのですが、これはわたしの昨年夏の大失言にして大暴言。この時は暑さが極限状態で37〜8度、炎天下で部活が終わるオトートをアネとふたり30分近く待ち構えていたのでした。都内で友人一家と待ち合わせているというのに、なかなか部活が終わらず、わざわざ中学校の前までオトートの自転車を運び、またてくてく歩いて家に戻って自分の自転車を持って来たのです。中学校へ自転車で行くのは禁止ですが、家に自転車を取りに帰る時間はありません。だから苦肉の策でわたしが学校まで自転車を運んだのです。極限状態にイラついていたところに、オトートと同じ部活のある子がへらへらとやって来て「あ〜自転車に乗ってきやがった!禁止だろ〜が、バ〜カ!学校にチクってきてやる。へへん!」と言うではありませんか。中身はともかくこの「へへん」があまりに人を小バカにしていて、カチンと来てしまったのです。彼はよく知っている子でとてもひねくれていて一筋縄ではいきません。部活メンバーのひとりを日替わりでターゲットにしては、しつこくしつこく怒らせるようなことを言い、追い込んだりします。いつだって他愛もない罪のない程度の嫌味なのですが、やられたほうはたまりません。彼のことは近所でも話題になっていました。それまでにも、何回か「ちょっと、そういう言い方はおかしいよ」とか「そんな言い方されたら○○くんだって傷つくよ」諌めたこともありますが、彼はそんなのに頓着するような子ではありません。言えばいうほどますます調子づいて嫌味をいい、近所で「どうしたらいいもんだろうね?」なんて言っていたところだったのです。
 まあそんなことがあろうとも、あの日あんなに暑くなければあんな暴言を吐くこともなかったのです(ものすごい言い訳です。)すごんでしまった後で、急にわれにかえってとても恥ずかしくなったので、彼らの反応も見ないで、捨てせりふのようにして去ったのでした。そのあと自分としては、言ってしまったものは仕方ないとすぐに気を取り直したのですが、激怒したのはわが子たち。「おかあさん、なんて下品な言い方をするの?」「まるでヤンキーじゃん」「おかあさんに、そんな言葉は似合わない」「ピアノの先生失格だね」などと怒ること、怒ること。「あんたたちだって、言ってるじゃん」と言うと、「わたしたちが言うのとわけが違うでしょ。」「いい年して恥ずかしい」とまだ怒っています。内心、「はは〜ん、あんたたちがいつも吐いている暴言は、ところ構わずじゃないんだな。一応TPOはわきまえてるってわけね。」とちょっと安心したりもしたのですが、とにかく、母が暴言を吐いたことが彼らには非常に不快だったらしく、いつまでもそのことを怒っていたのでした。当の本人はどうだったのか?とチラッと思いましたが、しばらくはすっかり忘れていたのです。
 ところがです。意に反してこの事件の後から、彼とわたしの関係が180度変わりました。いつも大人も含めて人を小ばかにしていた彼が、道でわたしに会うときちんと頭を下げ、インターフォンや電話では「すみません、オトートくん、お願いします。」などとちゃんと敬語で話してくれるようになったのです。おとといもピアノの小さい生徒を送って外に出たとき、たまたま彼が通りかかって「こんにちは」と頭を下げていきました。
 それはもちろんいいことなのですが、なんだかとっても後味が悪いです。あの時のわたしってば相当怖かったのでしょうか?彼を脅したつもりは全然なかったのですが、明らかにわたしとしゃべるときいまだに緊張してるなと思うのです。本性を出すと怖いぞ〜と思ったのでしょうか。小さい生徒の手を引いてにこにこしているわたしを見ても「だまされないぞ〜」と用心しているのかもしれません。もうあれからかれこれ一年がたとうとしているのにです。彼がていねいに気を使いながらしゃべるのを聞くたびに、わたしは去年の暴言を思い出して、「ああ大人げない」と消え入りそうに思うのです。
 念のために言っておきますが、わたしは日ごろから子供たち相手に冒頭のような暴言を吐いたり、脅したりしているわけではないのですよ。ただ、とっさに出てしまったのです。わが子やらまわりの子達やらが、すごい言葉で話しているのを聞きつけているわけで、すらすらとそういう言葉が出てしまったのかもしれません。怖いなあと思いました。気をつけよ。
あれ以来、子供たちに「なんて言葉を使ってるの!」と叱ってもイマイチ説得力がないのでは?と自信喪失しております(反省!)