ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 ままならない日々ながら・・・

あっという間に師走になりました。
そして例年通りバタバタと暮らしています。
今年こそはちゃんと大掃除をしようと思ったので、遊ぶ予定は最小限にした・・・つもりだったのですが、やっぱりなんやかんや遊んでます。
外に行かなくてもうっかり数独を始めちゃったり、FNSをリピートしたり、今期は見ているドラマもたくさんありすぎて、時間がたっぷりあるはずなのになんだか妙に忙しいです(笑)
生徒の数もだいぶ減ったはずですが、その分一人一人にとても手がかかって、こんなに長くピアノを教えているのにこんなにままならない年もないというくらいな師走です。
さて。
ここからは例によって長いです。その上、超個人的な仕事話なのでお暇な方だけ続きはGO!ということで。
特に先日大騒ぎをした大学生のNちゃんとのレッスンは毎週毎週とっても胃が痛いです。
いえいえ、あれ以来一度を除いて(一回は完璧にすっぽかされました。悪びれることもなく、笑)ちゃんと毎週来ているし、特に遅刻をするわけでもなく。
でも、彼女は今までいいコにしていた部分の反動が一気にきていて、よく言えば素直、あえて無遠慮に言わせてもらえば、発言がとんでもなく正直になって、まるで幼稚園児か小学校低学年くらいの生徒を相手にしているような頑固さを発揮することがあって、しばしば膠着するレッスンタイム。
「あと一回弾いてごらん。」と言ったら「ヤダ!!絶対に弾かない!!」と挑発的にこっちを見て口をぎゅっと結ぶ。
「ここ、この間も注意したじゃない」と言ったら「どうせバカですから」
学校の先生はここの指、なんて?」「知〜らない。」
合間合間に、愚痴や弱気発言。「もうダメだ。どうせみんな笑ってる。」「先生だってほんとは見捨ててる癖に」
ごくごく稀にとっても素直な数十分があって、ほっとしていると突然泣き出したり、突然笑い出したり。
はなはだしく情緒不安定。
かと思うとうちの猫がいなくなってさびしいと涙ぐんだり。
口では強がっているのに明らかに「助けて!」・・・という信号を出していたり(笑)
「世の中みんなバカばっかり!!」と怒り出したり。
そうこうしながらも、飛躍的に上手になったのが音階。根が真面目でコツコツ型だから、他の子がめんどくさがることでも一生懸命やるの。そこが彼女の最大の美徳です。
とはいえまだまだ先は長いです。次の試験のツェルニーの課題は気が遠くなるような遥か彼方・・・なんてレベルが高いんでしょう。
ああわたしもすっごくいい経験をしている気がする・・・
こういう態度は何もピアノ教室だけの問題じゃないみたいで、家でもそうらしいです。
今までは決して言わなかったようなわがまま発言をしたり、まるでおかあさんのようになんでもかんでも受け入れおおらかに接していた年の離れた妹のうぜーよ姫にもガンガン本音で向かうようになっているみたいで、たまったものじゃないのは、わけがわからない中1のうぜーよ姫。
すごくやさしい姉だったのに突然豹変して、暴れん坊の幼稚園児になったかのようなその振る舞いに言動。
とうとうこの間レッスン室では鉢合わせた姉に背を向けて椅子に座る、ひとことも口をきかないというわかりやすさ(笑)
「もう我慢できない!!」とこっちも姉が去った後に本気でブチギレてました。
「わたしはいいよ。バカじゃないのって思えば無視するから。でもおかあさんがかわいそうすぎる・・・ほんとうにNちゃん、急にわがままになっちゃって、もう本当にウザイの。タオルとか子どもみたいに投げつけたりするんだよ。半端なくウザイんだから。」とうぜーよ姫。
彼女は彼女で人に厳しく鼻持ちならないお年頃の中学1年生。
先日も「先生、ほーすでぃあーだね。」というので、とっさに意味がわからず「何?」って聞いたら「へ〜わからないんだ。ふ〜ん。じゃいい。」と含み笑いで意味深発言を残して帰っていきました。
帰ってややしばらくわたしが「うま?しか?・・・馬鹿?・・・・・・え?バカって言ったの、あのコ?キーーーっ!!」となったのは言うまでもなく・・・こういう子だからなぁ・・・今までもおねえちゃんを「ほーすでぃあ」して(笑)怒らせることも多々あるんだろうなぁと苦笑い(笑)
まったく正反対なんだから、この姉妹。
でも、おかあさんがかわいそうってちゃんと自分だけじゃなく、人の心に寄り添って心を痛めるやさしいところもあるんだなぁと思ったので
「それをちゃ〜んと知っててくれるうぜーよちゃんがいて、あなたたちのおかあさんは報われてると思うわ。」と言ったら「そうかな・・・」ってそこだけ一瞬しーんとなったり。
そんなうぜーよ姫とは彼女が大好きなドラマ「悪夢ちゃん」話という最高の共通の話題があってほんとによかったです(笑)
それから嵐の松本くん。どうぞ、松本くん、今しばらくうぜーよちゃんを支えてあげてね。
おねえちゃんの方はまだまだしばらく時間がかかりそうだけど、とにもかくにも学校に戻り、ほどほどにブチギレながらも日々学校の課題に取り組み、バイトにも休まずに行き、おかあさまは今が正念場と彼女にしっかりと寄り添いつつ受け止めてらっしゃるらしいです。
さて、そんな今日この頃、わたしは10日ほど前に夢を見ました。
Nちゃんになって学校に行く夢。
夢の中のNちゃんはすごくがんばっても成果がちっとも上がらず、譜面を何度読んでもピアノがちっとも上手にならず、試験の成績は全然はかばかしくなく、課題は溜まる一方で、友達はどこかよそよそしくて、先生は腫れ物に触るみたいに遠巻きにしていて・・・
ああ、これはNちゃんが言っていた、そのままを夢に見たのだと夢の中で思ってました。
目が覚めた時のあの追い込まれた気持ち。恐怖感。絶望感。
彼女がこんな風に感じている中がんばっているのに、やっぱり知らん顔はできないと思いました。
そんな種々めちゃくちゃな事態の中、自分から学校に戻り、もう一度やろうと自分で覚悟をしたNちゃんは本当に強いと思いました。
どうも学校の先生はとてもいやらしくオトナな態度で、彼女を馬鹿にしながら(彼女主観ですが、多分そんなに間違ってはいないと思う・・・)褒めちぎるんですって・・・
「まあまあ上手にできてきたじゃな〜い!」「前よりずっと上手になったわよ〜」「大丈夫!だいじょ〜ぶだってば〜(とわざとらしく身体に触れるらしい・・・)」
その口真似を聞いてるだけで、わたしまでうんざり(笑)
「全然そんなこと、思ってもないクセに〜」(ドキっ!!わたし、そんな言い方してないだろうか?)
ああ、今のこの子の前ではマヤカシはきかないな。
ここはわたしも本気になってカッコ悪いところもみっともないことも全部隠さず見せていく・・・くらいの気持ちで彼女に接していかないと。彼女の周りの大人たちがよってたかっていい加減に接していたら、彼女自身がきっと完全な人間不信になってしまう。
てなわけで、覚悟を決めました、わたし。
もしかしたらとっても見当違いなことをやらかすかもしれないし、彼女にとっていい結果をあげられるのか、とんでもなく遠回りをさせちゃうのか、本気で嫌われるのか・・・(それは避けたいところだけれど、笑)さっぱりわかりませんが、逃げずにまっすぐに立ち向かうしか手はないな・・・
先日のレッスンでは彼女の「どうせわたしなんてやってもダメ」発言にムキになって涙目になって反論して、彼女に呆れた顔で笑われました。
必死だな!!も度を越えるとただただカッコ悪い・・・の実例を見せてしまいました(笑)
次の時はレッスンが終わってキッチンに上がってから超不機嫌になり(我慢してたのが一気に緩んだ、笑)家族から大ひんしゅくを買いました。
Nちゃん姉妹に・・・ってなことがあり〜の、ちびっこ軍団もなかなかにパワフルなのと、やる気はあっても時間がままならない音大生、学期末でふらふらになってらっしゃる中学校の数学の先生、高校受験生、やる気満々で胸が痛くなるほど一生懸命な幼稚園の先生、お気楽で全国を旅して回ってらっしゃるマダム・・・などなど。人数は10人ちょっとと少なめではありますが、なかなか濃い毎日を送っているこの頃です。
先日、Nちゃんが言ったひとことは強烈でした。
「で、先生。なんでそんなにバカみたいに必死になってんの?こんなにめんどくさくても月謝同じだしなんの得にもならないのに・・・なんであんなにしつこくメールした?」
「先生は『ピアノの本当の楽しさをまだ教えてない』って言ってたけど、こんなんなっちゃったわたしでも、ピアノにずっと通い続けたら絶対にいいことがあるってほんとに自信を持って言えるわけ?」
・・・・・・・・・・・・
この一言にはなにひとつ気の利いたことを答えられず。絶句・・・だったわけなのですが、まだまだ提出してない宿題みたいに、あれからずっとのしかかってます。
ああ、これは最大の難問です。
そして今日。
たまたま凍えるような寒いショッピングセンターの吹き抜けのところで、ゆずみたいな男子二人のユニットの子たちが一生懸命に歌ってました。
何枚目かのCDの発売日って言ってたけど、ほんとに小さなショッピングセンターの暖房ひとつないところで、通行人に向けて一生懸命に歌う彼らの姿に思わずものすごく打たれてしまいました。
歌は結構上手で、途中からイルカさんの「なごり雪」とかも歌ってくれて、ハーモニーもキレイだったけどまったく知らない子たちでした。
ニット帽をかぶり、鼻を赤くして一生懸命ギターを弾きながら心をこめて歌っていたふたり組。
手がびっくりするほど真っ赤っ赤で気の毒だなあと思ったけど、何より心を持って行かれたのは、本当に彼らが楽しそうだったから。
あんなに寒い環境の悪いところで歌っているのに、座って聞いていた観客はたったの数十人くらいで、あとは通りすがりの人たちが立ち止まっては聴いていく・・・そのくらいの場所だったのに、実に実に、歌うことが楽しくて仕方ないといった顔。
多分その瞬間は寒いことも忘れていたかもしれない。
そのひたむきさ、歌の力そのものになんだかとっても打たれました。
うまく言葉にできないけれども、ちょっとだけヒントをもらった気がして、コーヒーフィルターとか、マスクとか、大根とか・・・大荷物を持ったままショッピングセンターのど真ん中の吹き抜けの通路に呆然と佇むおばちゃんがひとり・・・くすくすくす。
わたしの大好きな人たちは、今、楽しく音楽をやってるのかしら。
歌うことを楽しんでいるかしら。
彼らがたまたま男子二人組だったからかもしれないですが、最後は全然違うことを考えていたことをここに告白しておきたいと思います(笑)
早く月末が来ないかなぁ。