ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 天川旅行記 その2

5時過ぎにお昼寝から起きてもまだ雨は降り続いていていました。
しとしとと本格的な雨模様になっていて、あ〜あという感じ。
でもまだ明るいし、ごはんは6時半だから近場にお散歩に行く?ということで旅館の大きな緑の傘をさして、夕暮の温泉街をそぞろ歩き。
通りの両側にはおみやげ屋さんや手作りパンのお店、陀羅尼助のお店、お酒屋さん、おみやげやさん。修験者が吹き鳴らす法螺貝や、山に入る方々が着る装束を売っているお店などたくさんあります。
そして、同時にお店の裏庭の軒下に洗濯ものがあったり、普通に盆栽が置いてあったり、それらを手入れする御隠居さんがいらしたりして、山の人々の普段の生活の匂いもして、なんだか天にかなり近いところにある村の景色はとっても神聖なような、昭和の世界へ戻ったなつかしい景色のような不思議な感じでした。
旅館街の裏側には山上川という川があって、あちこちに大小たくさんの橋がかかっています。
民家の敷地から続く生活している人たちだけが通るような橋や、車も行き来できる橋、観光客がたくさん通る橋といろいろあって、橋の下には魚が気持ちよさそうに泳ぐのが見えます。綺麗な川です。
旅館から数メートルのところにある小道を入ると、高台に広々とした墓地があって、人々の暮らしを見守っています。
とことこと橋を渡り歩いていると大峯山龍泉寺というお寺があって、桜の木があまりに美しいので引き寄せられるように中に入ってみました。

桜以外にもたくさんのお花が咲き乱れていて、それはそれは美しいお寺でした。



見てみて〜!を連発しながらふらふらしていると、どこからともなく法螺貝の音がして、山の中からなのかなぁ?なんて話していたのですが、あとで旅館の方に聞いてみたら、まだ山開き前なので、法螺貝を吹く練習をしているのでしょうとのこと。
翌日もう一度来てみたら、まさしく袈裟にサンダル履きというラフなお姿で、敷地内で一生懸命法螺貝の練習をしてらっしゃる若いお坊さんとすれ違いました。

龍泉寺の手水舎には立派な龍がいらっしゃいました。
そしてあしたあらためて参拝しようね!ということにして、龍泉寺を後に今度は違う橋を渡ってまた旅館街の方へと戻ります。
まわりにはたくさんの山が見えるのですが、きれいに杉が植樹された山もあれば、遠目にもいろいろな木があるのがわかる山があったり、長い吊り橋がかかっているのを見つけたり、緑の中に鮮やかな朱のお稲荷さんの鳥居が見えたりして、見どころが満載という感じ。

中でも美しくて目をみはったのはこの景色。雨降りの夕方の景色の中でぼんやりと浮かび上がるやさしい桃色が、淡い緑がとても印象的でした。
旅館のそばのお酒屋さんでオットが買い物をしたのですが、お酒屋さんのおばちゃんによれば、前日まではこの旅館街も人であふれかえっていたそうです。
わたしたちが行った日がたまたま平日だったので、静かな温泉街のそぞろ歩きが楽しめたわけですが、前日までだとまた全然違う雰囲気だったそう。オトナの旅としてはこの日で正解だったかも。
山の温泉街は若い人が少ないのかな?と思いきや、地元の小中学生、ちびっこたちをたくさん見かけました。ここで育つ子どもたちはたくさんの自然に囲まれて、わたしたちが子どもの頃そうだったように、四季折々の自然をおもちゃに遊んでいるのかしら?なんだかふと泥だらけでしょっちゅう洋服やパンツを破いて帰ってきて叱られた子どものわたしに会えそうな気がしました。
少し暗くなると、あちこちの宿泊施設の行灯や提灯に灯が入って木造建築の建物がほんのりと浮かび上がって幻想的です。
窓枠が木だったり、建物の正面が引き戸だったり、そんな景色がなつかしくてなりませんでした。
脳内BGMはずっと「未来への忘れもの」。のんびり歩いていたからかしら?
「やさしい陽だまり辿って歩こう 楽器を持ち寄って」
ここに持ち寄るとしたらなんだろう?意外とアンデスケーナとか似合いそう…なんてどうでもいいことをぼんやり考えつつ(笑)
オットとふたりだと、ヘンに気を使って無理やり話題を探そうとしなくてもいいからとっても楽ちんです。ずっと黙っていても平気だし、呆れるほどしゃべってもたとえ聞き流されても全然平気なのが夫婦のいいところです(笑)
歩いているうちにだんだん夜の景色になって、ほどよくおなかもすいたので、急ぎ足で旅館に戻りました。