ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

2022 猛暑の奈良旅 その4 懐かしい暮らしと匂い

今回洞川で二泊した宿は、初めて宿泊したところでした。

前の日記でも触れましたが、小学生の宿泊学習の時期と重なってしまい。

泊まったことがある宿は平日にもかかわらず、軒並みすでに予約でいっぱい。

こんなことも初めてのことでした。

いつもの宿と勝手が違うことも多々ありましたが

ひと足先に「盛夏」の気候になった天川を経験したのも初めてだったし。

ひと味違う経験がたくさんできて、とてもおもしろかったです。

何より驚いたのがこの宿には宿帳のようなものがなかったことで(笑)

予約の時に電話をした時に、住所や電話番号は口頭で伝えたとは思うのですが…

チェックインの時に何か記入させられることもなく。

駐車場に車を停めてコロコロてくてく歩いて来たら

いきなりお部屋へと案内されました。

えっ!?チェックインは?大丈夫?と心配になりましたが(笑)

結果的に何の問題もなく大丈夫でした(笑)

そんなところがさすが天川という感じ。

何年か前に旅館街を歩いていたら

「外へ出る時は家に鍵をかけましょう!」というポスターや。

「鍵かけ運動」とでかでかと書かれていたりしたのを見て驚いたことを思い出します。

マジか!と思ったのですが、本当にここの方々はおおらかで。

知るほどにさもありなん…と思います。

お部屋は急な階段を昇った2階にあります。

そんなところもいかにも行者さんたちが大峯山に挑む際に泊まる宿という感じ。

そういう宿に泊まっているのだと意識することはとても大切な気がしました。

鍵のついた襖を開けると広い広い二間続きの畳のお部屋が現れます。

ひと間が広いのなんのって。

多分半分だけで家族四人が楽に泊まれると思います。

二間の間の襖を取っ払えば、林間学校の一クラスの女子全員分の布団が敷けそうです。

備品も最小限で、衣文かけになる天然の木が渡してあるのと。

テレビと扇風機と床に座る高さのテーブルだけ。

(テレビは結果的にほとんど見なかったです。

山へ行くとそんな気分にならなくなるから不思議です。静けさが宝物と感じます。)

トイレや洗面所は大浴場の前にあって。

一旦部屋を出て廊下を抜け、フロントと反対側に急な階段を降ります。

廊下にはたくさんのサインが掲げてあって。

ほとんどは達筆過ぎてどなたのものかわからなかったのですが

山村紅葉さんのサインが判読できました。

夜中にトイレに行くのがちょっと怖いなぁとか、いろいろと心配もしてましたが。

結果的にこれも大したことではなく。

そもそも山へ行くといつもそうなのですが、眠りが深くてぐっすり朝まで(笑)

何の問題もありませんでした。

当然ながら部屋に冷蔵庫もないので、何かを冷やしておくことはできず。

たとえばどうしてもビールや冷たいお茶が欲しければ外へ出て自動販売機で。

その時に飲みきれる分だけを買う…

そもそも村のお水は水道水でもとても美味しいし。

湯沸かしやお茶セットは常備してあるので、熱いお茶は飲めるわけで。

ああ、そうよね。昔はそれが普通だった…

暑いからと言って冷たい飲み物をがぶ飲みしたりもしなかったなぁなんて。

そして、とんでもない猛暑にも関わらずエアコンはないので。

最初とんでもなく暑く感じて、どうなることかと思っていたものの。

夕方になるといつの間にか涼しい風が吹き始め。

温泉街のそぞろ歩きに適した、とても気持ちが良い陽気になります。

あちこちの店先で地元のおばあちゃんたちが集い、笑いさざめく話し声。

急な坂道を果敢に立ち漕ぎで登ってゆくちびっこの自転車。

どの家も窓が開いていて、あちこちから家族団らんのにぎやかな声が聞こえてきます。

それはそれで人のぬくもりをたくさん感じるし、とても郷愁を誘われました。

とはいうものの昼間は33~34度くらいにはなっていて。

昼間山道をあちこち歩きまわると、あまりにもびしょびしょべたべたで。

出先で温泉に入り、汗だらけの服を再度着るのはちょっと…なんて思ったのですが。

意外や意外、それでも入浴後はすっきりさっぱりして。

そういえば昔、本当に暑い時は行水とかしたなぁなんて…

暑い!エアコン!冷えた飲み物!アイスクリーム…

と言った暮らしとは縁遠い暮らしぶりでしたけど(笑)

途中から不便も含め昔を懐かしみ、楽しむモードになっていて。

それはそれでとてもhappyでした。

そうそう、もう一つ。

とても大切だった宿の備品があって、それは蚊取り線香とマッチです。

家庭用の蚊取り線香の半分くらいの大きさのものがひと箱おいてありました。

木枠の懐かしい窓には一応網戸もついていますが。

部屋に入った時、網戸の内側にもすでにいっぱい虫がいて。

オットやわたしは(刺されることを除けば)あまり気にしないタイプですが、

アネやオトートがいたら大騒ぎだったよね?という感じ(笑)

そんな私達でさえ、殺虫剤や虫よけを持って来なかったことを一瞬後悔しましたが

ずっと蚊取り線香を焚いていたら、まったく刺されることもなく(笑)

ブーンと羽音が気になるくらい虫が近くに寄ってくることもなく。

快適に過ごせたことをここに記しておきます(笑)

(その代償としてちょっと煙にいぶされたけど、まあイヤではなかったです、笑)

ただし、小さな蚊取り線香は3時間くらいで燃え尽きるので(笑)

今回のことで、ちょっと頼りない湿気たマッチを擦る能力が格段に上がったかも(笑)

お風呂は24時間いつでも何度でも入れる温泉が二つあって。

「貸し切り」の札を置けば中から鍵をかけて、家族で安心してのんびりと使えます。

そして特筆すべきはご飯です。

旅館と言えばご飯がいつも多すぎて、かといって残すのもなんだか申し訳なくて。

特に夕飯を無理やり残さず食べて、胃がおかしくなったり不調になりがちでした。

なので、今回はオットが少し量を加減して欲しいとお願いしてくれました。

この事を旅館の名物オーナーさんがよく覚えていてくださって。

今回適量の美味しい食事を、細やかに用意して迎えてくださいました。

名水を使った湯豆腐やイワナのお刺身。鮎の塩焼き。

野菜だけのサクサクの天ぷらや山の滋味深い炊き合わせ。

珍味の数々は絶品で。

何よりごろごろ水で炊いたご飯のおいしいこと。

普段、夜は野菜とおかずちょっとという食事が多いのですが

ここではご飯があまりに甘くおいしくて、毎晩ご飯も少しいただきました。

にも関わらず、翌朝全く胃がもたれることもなく。

快適に過ごせたことを何よりとても感謝しています。

我が家的には洞川に行くと必ず天河神社の朝拝に行くので。

朝は5時台に起きて、神社往復後、8時くらいに朝食にしていただくのですが。

下記の朝食がまた絶品でした。

朝もまた湯豆腐があって。

ほんの少しずつ並んだ佃煮や奈良漬けなど漬物類。

納豆や焼きのり。お野菜の炊き合わせ。

それにババロアとヨーグルトとフルーツ。

どれも量が程よくて、ほんの一口ずつ食べられる贅沢よ!

「あまりたくさん食べられない」と言った癖に(笑)(笑)

いつも旅に出ると朝食でご飯を4膳くらい食べちゃうオットにつられて。

わたしもご飯を2膳食べちゃうくらい、至福の時間だったのでありました(笑)

ご飯の時や通りすがりにちょこちょこお話したお宿のオーナーさんが

お話がとても楽しくて、ひょうひょうとしてらして。

ユーモラスにわたしたちの興味を惹くお話をしては、しゅるしゅると煙に巻く…

言うなれば天狗のようなイメージのお方だったのでありました(笑)

とてもユニークで素敵な方でしたよ。

帰り際、宿代の清算をしたあと、ノーラベルのごろごろ水をたくさんいただいて。

旅のお供にどうぞ!と言っていただけたのもとてもうれしかったです。

何よりのご馳走で、その後の旅に大いに役に立ちました。

お宿のお庭の画像などはインスタに上げたので、貼り付けます。

一枚目、窓枠と窓枠の間に置かれた蚊取り線香が見えるかしら?

これは朝食を食べたお部屋からパチリ。

裏庭は急な斜面になっていて、ほとんど山の続きという感じ。

緑がとても目に優しかったです。

夜ご飯の時は温泉街に面したお部屋で外を見ながら食べたのですが

どちらも窓を開け放って、とても開放的な気分でいただきました。

蚊取り線香に守られている感が半端なかったです。

 
 
 
 
 
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