ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 堂本剛 平安神宮 2010 10月7日 その2


このエントリーはその1からの続きです。
空〜美しい我の空
なんといってもボーカル力をこれでもかと見せつけられたのがこの曲です。
照明がまたとても美しくて…心に残りました。
空に向かってまっすぐにのびる4本の白い光の柱。天まで続いているのでは?と思わされます。
空を見上げるつよしさんの瞳がとても綺麗で思わずボーっと見とれてしまいます。
ステージの上はスモーキーで霞がかかっているみたい。スクリーンには空。
SWINGOさんのキーボードが前面に出てくる曲なので、この方はどんな音を鳴らすのだろう?と期待をこめて思っていたら、この曲ではまるでクラシックピアノのような指の形、打鍵、そして音。一音一音をとても正確に大切に鳴らしてらっしゃいました。控えめに、でも深いところでVOCALをしっかりと支えるていねいな音。一音たりとも無駄な音がなく必要以上に飾らず。
そんな確かなピアノの音に支えられて、つよしさんはゆらゆらふわふわとしたやさしい声の音色でとっても美しい歌声を響かせていました。
もちろん音程はみじんもゆれたりなんかしません。歌声のコントロールは完ぺきで、安心して身を任せていられます。目を閉じて歌声に集中したい気持ちと目の前の人や光の柱をずっと眺めていたい気持ちとの間で闘いながら聴いてました(笑)
野外の音はあっという間に空に吸い込まれてしまうのですが、それもまた儚くて…天から舞い降りた雪があっという間に消えるみたいな儚さで…それがこの曲ととてもよく合っていて…このままずっと聴いていたいと思いました。
「あなたを愛してるを〜」のラスト「を〜〜〜〜」のロングトーンが響きも語尾の消し方もあまりに美しくて心がふるふるっと震えます。
「夜空が誘う♪」「あたしの音楽(リズム)♪」「鼓動が騒ぐ♪」「神さま誘う♪」
同じ景色を見て歌っているので、歌詞変えもまたとても心にずっしりと響きました。
この声は同世代やもっと年配の方々にもっともっと聴かせてあげたいです。


・進化のゆくえその1
「時空」と「Help Me Help Me…」はどんどん変化している曲たちで、どんどん「好き」が増している曲たちです。
「時空」ではグリーンのレーザー光線がまっすぐにのびる中、景色に溶け込むように自然な流れでキーボードの音を奏で始めました。
始まってすぐに「あぁっ!!」と思ったのがキーボードの下から見えるつよしさんの足の形。めっちゃくちゃかわいくて吸い寄せられるように2本の足に目がいってしまい離すことができなかったのですが(笑)この絵!この絵!…そうそう、「ネタばれになっちゃうから見ない方がいいよ!」と言われながらそれでもちらっちらっと見ていた友達のメモ帳に足のイラストがあったのです。「絶対あの足はこの足だ!!」と確信しつつ、目は足にメロメロ、耳は音にメロメロしてました(笑)
きゅっきゅっとリズムを取るようにつま先立ちになったり、両側がいっぺんに動いたり、片方だけぴょこんと上がったり。なんでこんなに足にくぎ付けになってるんだろう?と思いつつ…
(実際友達のとっかーた嬢のブログにはこの「足詳細レポ」がありましたよん!しゅてき〜っ!)
魅惑の足は置いておいて…自分メモを見ると、「歴史」と大書きしてありました。
これは時空のピアノの中に、剛紫さんライブの時「歴史」という曲へとつながるピアノソロでしきりに繰り返し繰り返し弾いていたフレーズが出てきたからことに気がついたからだと思います。
こんな風に彼がふと思いついたであろうフレーズが、その場限りではなくて…気がつくと別の曲の素敵なモチーフになっていたり、この曲へと育ったのか?と思うことがあります。
残念な鳥頭なのがとても悔しいのですが、きっと覚えていられたらもっともっと「あそこで聞いたあれがここのこれになってる!」というものがあるのではないかと思います。
そうやって月日を経て形になってゆくフレーズを目撃できるということはとてもしあわせなことだなあと思います。
「時空」という曲は最初の出発点はピアノソロだったと思うのですが、様々な楽器が入って、大河ドラマの始まりの曲?生命や自然を扱う特番の主題歌にでもなりそうな素敵曲に仕上がっています。
シルクロード喜多郎氏や姫神が思い出されるようなスケールが大きい曲。わたしはつよしさんのVOCALからファンになった癖に、最近彼が作るインスト曲がとてもとても好きです。
この曲の中でもうひとつの発見はエレキギターの音色で、名越さんかな?キラっと光る丸い音色や芳醇で色に例えると琥珀色?と思わされるような音がまるで和の楽器の音色のようでした。こんな表現がギターでもできるんだなぁと目から鱗でした。
それから、たとえばギターの音色を受け取ってピアノが、それを受けてホーンがパーカスがドラムが…まるでひとりが意図してやっているかのように自然に継がれてゆくさまが面白くておもしろくて…この不思議なブレンドの違和感のなさはきっと普段のセッションのたまものだと思うのですが、どこを聴いてもとても面白くて、でも単純にいい曲で…音源化を強く求める曲のひとつです。

・進化のゆくえ その2 「Help Me Help Me…
「逃げたい時はどうすればいい」で始まるこの曲は、発売当時もとても好きな曲でした。
ジョンレノンライブをお客さんのひとりとして見に行って武道館の階段に座り込んで書いたというエピソードも、その後の出演者さんたちの記念撮影に清志郎さんや奥田民生さんに誘ってもらって記念撮影に入れてもらたったというエピソードごと、とても印象的な曲だし、どこかジョンレノンやビートルズ的な匂いも漂う不思議曲だと思ってましたが、今年の代々木でまた違う曲へと生まれ変わった1曲です。
「I Love You 愛してる〜 今も 誰かが 夜空へ捧ぐ 捧ぐ I Love YOU! 
I Love You I Love You〜 今も誰かが青い空へ祈る I Love YOU!〜♪」
多分こんな感じでした。
少し前までは、とても切実に「心」を求めて迷いさまよっていたこの人が、今では自分からキラキラと愛を放ち、今も切実に愛や本当の心を求めている人たちの大きな力になっているような…そんな気持ちでとても心強く思いながら聴き入ってました。
この曲では、「空」よりもメリハリが効いた声で歌ってましたが、でもやっぱりとてもていねいに歌ってました。
ホーン隊の音が、歌声の後ろの方から現実を鳴らしているようにも、夢と現の間を取り持って行き来しているようにも感じられて、このコラポレーションがとっても素敵だったなぁ。
つよしさんの歌声は、最初の方では水の中で歌っているみたいにゆらゆらしていて、だんだんに意志のある強くて確かな歌声になってゆきます。
そして序々に主張し始める各パートの音たち。
fffで鳴り始める「I Love You♪」ピカピカと赤く輝くつよしさんのジャケット。
タイガーさんのふわふわの声、豪太さんの力強いドラム、そしてホーンの叫びのような音色。なぜか浮かび上がるKenKenのたくましくもやさしいシルエット(逆光の中で長い髪の毛がたなびくように揺れて神さまみたいでした、笑)
混沌としていたものがどんどん一定の秩序を持って出口を求めて突き進んで行き…
最後はピアノの音色と絡みながら、やさしい、ほんとうにやさしい声で、羽根のようにふわっと着地したような終わり方がとても印象的で心にきました。
この曲のような進化の仕方は、自作曲だからこそできること。ライブという場所があるからこそ知ることができたこと。そしてその進化の素敵さに今までも何度心を奪わてきたことか。
その経緯や音の進化を近くで聴き、彼の気持ちに寄り添い味わうことができるということは、つくづくしあわせなことだなあと思います。