ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 負けるな〜っ!と思ったこと。

 中2のMちゃんは、今年に入ってからずっと某ジャニーズの子の曲を練習しています。
 幼稚園の年中さんからうちにきてはや10年。器用な方じゃないし、音大を目指すようなタイプでもないですが、趣味でピアノをやっている子としては申し分ない理想的な育ち方をしているように思っています。たとえ長時間じゃなくても、毎日30分をきちんと守って練習するという習慣がちゃんとついているし、練習をしたことによって弾けるようになる自分を楽しんでもいます。
 好きなアーチストの曲を自分で探してきて、ちょっとむずかしいリズムはわたしに聞きながらもちゃんと満足が行くところまで仕上げられる実力もついてきました。
 もうすぐブルグミュラーを終えてソナチネに入りますが、このあたりまで弾けるようになっていれば、保育や児童関係の大学の入試の実技だってばっちりだし、この子の一生の中で音楽が素敵な彩りを添えてくれたり、どうにも行き詰った時に音楽が助けてくれるんじゃないかと思います。
 今年中3だし、だんだん忙しくなってピアノどころじゃなくなっちゃうかもしれませんが、いつ「卒業」の時期を迎えても自信を持って送り出せるように…と心づもりだけはしているところです。
 さて、そんなMちゃんの弾いている某曲はあまりわたし的にはなじみのない曲なのですが、「レッスンで何度か教えているうちに耳馴染んできて、気がつけば口ずさんでいるのよ」と言ったら、おそるおそる「先生は○くんのことキライじゃないの!?」と聞くのでびっくり。
 「好きとか嫌いとか言う前にあんまり知らないっていうのが正直なところだけど、しょっちゅうネットなんかで名前を見るところを見ると、すっごく人気あるんだろうな〜とは思ってるよ。」と、そんな話を。
 そうしたら「あのね、すっごく誤解される人なんだけど本当はとっても繊細で言われてるほど悪い子じゃないんだよ。いいコなのに。」と彼女。
「うん、わかるわかる。誤解されやすい人とか、なにかと発言がよくも悪くも目立っちゃって、叩かれちゃう人っているのよね〜気の毒だよね。多分何をしても話題になるってことは、それだけ人気もあるってことだと思うけど」
みたいな話をしたら「ぽとん」と彼女の膝の上に涙が一粒。ひゃーっ!泣かしちゃいました。
 わたしが涙に気がついたことを知られたくないかなあと思って、あえて気がつかないフリをしたのですが、とっても心が痛かったです。
 聞けば何気なく開いて楽しく読んでいたブログやプロフの最後に唐突に「ちなみに、わたし○くんはキライです。」と書かれていてすごく悲しい思いをしたり、インターネットを開くと彼について心ない一言に触れることも多くて、自分のことのようにとっても傷ついちゃったりするんですって。
 特に40代以上の女性が書く文章は辛辣で怖いことがよくあるから、身構えながら読むことが多い…って言ってました。「先生も実は言わないけどキライなんじゃないか!?」と内心ドキドキしていたかもしれません。全然そんなことないのに。
 彼女の好きな人には全然関係がない話ですが、だんだん年を取るにつれて先に自分の気持ちありきで人の気持ちにどんどん鈍感になりつつある自覚があって、そういうのってよくないな〜と思っていたところでした。
 一般的な話じゃなくて、あくまでも「わたし」個人の話ではありますが、あとさき考えずに先に口をついて出てしまったり、口調が思いのほかシニカルになったりすることもよくあります。何かを思ったとして、それを口に出す前にひと呼吸おくように気をつけなくては〜。
 そういえば、その一言はどうしても言わなきゃならないひとことなの!?ネットを使って全世界に発信しなきゃならないくらい重要な「ちなみに」なの!?というような軽〜くひどいことが書いてある文章を見かけることもあります。
 うわっ読まなきゃよかった!という文章に出会うことも珍しくありません。
 もしかしたらわたしも知らず知らずのうちに、そういうひとことを書いているかもしれないのだし、気をつけなくてはいけないとしみじみ思った出来事でした。
 その後、彼女とはそれ以上そういう話はしないで、曲の練習をした後は、彼女が好きなアイドルの歌声についていろいろと彼女に教えてもらいました。知らない世界の話を聞くのはいつだって結構楽しいです。
「今度歌番組で声を聞くことがあったら注目して聞いてみるね!」と言ったらうれしそうにしてました。
 まけるな〜っ!!Mちゃん。「好き」をプラスのエネルギーにかえていろいろがんばれ〜っ!!