ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

古武道コンサート

 昨日超地元の某ホールに古武道がやってきたので、ショコラ嬢と一緒に聞きに行ってきました。
 古武道は、尺八・チェロ・ピアノのトリオです。
 せっかく行ったので、自分用の覚書の意味もあって、がんばって感想を書いてみようと思いますが、ずっとファンをされてる方が読んだらとっても浅い感想でびっくりなさるのではないかと思います。
 実際、昨日東儀さんのライブの感想を読まれた古澤さんのファンの方からコメントをいただいて、とってもうれしいのと同時に恐縮しました。そういうことを考え始めると、こんな小さなサイトであっても、検索で誰にでも読まれる可能性もあるのだし、どうにも恥ずかしい気もしますが、素人の感想ということで、どうぞそこのところは割り引いて読んでいただけたらうれしいです。もちろん文章はわたしなりの誠実さを持って書いてみたいと思います。
 さて。多分彼らの曲で今一番有名なものはというと映画おくりびとより「おくりびと」(久石譲/編曲:KOBUDOー古武道ー)だと思います。タイムリーなことに、前日にTBSで初地上波放映でこの映画が流れました。
 わたしは映画館ですでに見ていたのですが、オトートと一緒にもう一度見たばかりで、映画の場面が鮮明に思い出されて涙線にきそうだなあと警戒しながらの参加でした(笑)
 小ホールではありますがほぼ満席で、大盛況のステージで、席についてみてとってもびっくりだったのが、端っこながら前から4列目だったことです。ステージの高さもそんなに高くなかったので、めちゃめちゃ近く感じました。
 わたしたちの場所はチェロの古川展生さんの目の前で、そもそもチェロの音色が大好きなショコラさんとわたしはもうそれだけでドキドキ。一番向こう側のピアノの妹尾武さんまででも10mはなかったのではないかしら。3人ともルックスを含めとっても素敵で、耳はもちろん音にものすごく集中してましたが、目も彼らを常にガン見。穴が開いちゃったらごめんなさいというくらい、お顔も楽器を扱う指先も、尺八のタンギングも(邦楽ではタンギングって言わないかもですが、笑)ずっと見てしまいました。
 (ショコラさんとふたりで、KinKiさんじゃ逆に恥ずかしくてこんな近くでガン見はできないね、きっと〜なんて。)
 今回のコンサートは今年発売されたCD「時の翼」からたくさん演奏されました。
 実はかなり前にこのCDを手に入れたのですが、実は今年発売され、購入したり音源をもらったりした様々なCDの中でも、かなりリピート率が高いです。父にも薦めましたし、地元の友達にもたくさん薦めましたが、みなさんこぞってとても気に入ってくれました。
 そんなにいいなら聞いてみようかな!?という方もいらっしゃるかと思いましたので、↓に貼っておきました。

時ノ翼

時ノ翼

 おくりびとのサントラにも入っているので、持っていらっしゃる方はイメージしやすいと思いますが、コンサートに参加してみると、本当に多彩な音楽の引き出しを持っていらっしゃるトリオで、それぞれ作曲もされますし、どの方がイニシアティブを取って音楽を作られたかによっても全然違う種類のものができあがって、ひとつのイメージに固定されないところもとても好みでした。
 たとえばコンサートでも演奏された「翼」はTBSのNEWS23のオープニングテーマにもなっていて、こちらを聞いた方はまた全然違うイメージをもたれることと思います。アップテンポでスタイリッシュ、都会的な音楽ですが、どこか郷愁を感じたり、家族のぬくもりを思い出すような曲でもあって、でも、明日もがんばろう!という前向きな気持ちを引き出してくれる音楽です。生で聞いたらとても心に残りました。
 妹尾武さんはポップスの音楽を数多く作られている方ですが、Classicメドレーのラフマニノフの3楽章は素晴らしかったし、「メトロポリタンー僕らの交差点ー」という曲ではポリフォニーっぽくもあり、舞曲のテイストも入っているようなピアノがとても冴えわたっていましたし、逆に音の数が少ない曲では、とても繊細で美しいタッチで音の一粒一粒がなんて美しいんだろうと思いながら聞いていました。この妙に心惹かれる秘密はなんだろう!?とずっと思っていたのですが、さっき妹尾さんのページを開いたら、お好きな音楽がわたしと同じラフマニノフでした。あんまり意味はないかもですが、やっぱり…と思いました。
 尺八の藤原道山さんは、芸大の邦楽科を出ていらっしゃるのだそうです。妹尾さんが道山さんを評して「凛」というひと文字を当てていらっしゃいましたが、その言葉にぴったりのイメージでした。
 いわゆる尺八らしい音を出される瞬間は、鳥肌がたつくらい惹きつけられましたが、タンゴでもポップスでも西洋音楽でも、どんな風にでも弾きこなしてしまわれる、すごい方でした。
 この方は燦々と輝く太陽よりも月が好きとおっしゃっていて、そういえば月が似合う方だなあとも思いましたが、一方で、ご自分のライブで足袋を忘れて大変なことになったこともあるそうで、なんと足袋の代わりに湿布を貼って、着物でステージに立たれたこともあるのだということが、ライブで配られた「古武道新聞」で暴露されていて、なんて素敵な人なんだろうと目がハートになりました。そういう人、大好きです。
 チェロの古川展生さんは、東京交響楽団の首席チェロ奏者でもある方だそうですが、プッチーニがお好きなのだそうで、この日のステージでも聞かせてくださいました。
 3人の中では一番やんちゃなイメージを持ったのですが、本当のところはどうなのかしらん。この方も絵になるすごく素敵なルックスをされていて、その上、チェロでコツコツとリズムを鳴らしたり、弓を置いてリズムと共に指でチェロを爪弾かれたり、それはそれは多彩な音を出されて、視覚的にも彼にくぎ付けになっていることが多かったです。
 ショコラ嬢もわたしも、ギターの押尾コータロー氏と視覚的にもその音楽もイメージが重なるように思っていたことが後でわかりました。
 おくりびとのようなテンポが遅い曲も素晴らしかったですが、アイリッシュのリバーダンスの曲や、タンゴなど激しい曲もまた素晴らしくて、とても心惹かれました。
 前回見た東儀さんのコンサートに続き、またまた邦楽とクラシック、ポップスが融合された多彩な音のコンサートを見たのですが、すっかり虜になりました。
 元々クラシックはもちろんJ-POPでもJAZZでもソウルでもファンクでも歌謡曲でもなんでもあり〜な方ですが、どんな種類の音楽であれ、いいものはいい…というのを更に実感した夜となりました。
 そうそう。曲のタイトルがどれもとても素敵で、「月想ひ」とか「翼」とか「絆」とか美しいタイトルがたくさんありました。月のイメージや和のイメージは、KinKiやSHOCKのイメージに通じるものもあって、よけいに素敵に思えたのかも!?(笑)
 続きからは、順不同にもうちょっと詳しく自分用の覚書として書いておこうと思いますが、もうずいぶん長くなったし、ご興味がある方は続きを読むからどうぞ。
・討匪行
この曲は、そもそも家でCDを聞いていたときに、とても心に残って仕方がなかった曲でした。今まで好きだったどの曲とも似ていないし、多分好きな曲調というわけでもないのですが、とにかく気になって何度もリピートしてしまうのです。
 古武道さんたちの説明によると、元は軍歌なのだそうです。しかも戦いを鼓舞するような曲ではなくて、戦いに疲れ果てた兵隊さんたちが、お互いを励まし合うような音楽なのだそうです。だから物哀しくて何かが心に迫るような気がしたのかも。もちろん軍歌そのものな感じはまったくなく、美しくて心がしーんと静まりかえるようなやさしくて穏やかな1曲に生まれ変わっています。

材木座海岸
この曲は妹尾さんのとても美しいメロディーがやさしく響く1曲で、ずっとむかし流行ったハートカクテルみたいなイメージの曲です。3人のやさしい音色に抱きしめられているような気持ちになりながら聞きました。

・Classic メドレー
1曲目がなんだったか忘れてしまったのですが、2曲目がドビュッシーの月の光、3曲目がラフマニノフのコンチェルト2番の2楽章、4曲目が同3楽章です。
これらの曲はそもそもクラシックで大好きな曲たちなので、この3つの楽器がどんな音を響かせるのだろう!?とちょっと想像がつかなかったのですが、とてもとても素敵でした。
 特にラフマニノフの2番はピアノコンチェルトで、特に3楽章は分厚いオケの音色が必須だと思っていたので、3人だけでどんな風になるのだろう!?と思っていたのですが、実際には3人でも全然OKでした。厚い部分はちゃんと厚く聞こえたし、皆さんのテクニックも素晴らしかったです。

・TANGO-J・クーフランの哀歌〜アメリカン・ウェイク(「舞台リバーダンス」より
 これらの曲はとても激しくて古川氏の本領発揮!!と思いながら聞いていましたが、尺八の道山さんもとても情熱的にカッコよく弾いてらして、とても印象的でした。この方々の音を妹尾さんががっちりと支えていらっしゃるようなイメージで、3人のコラポレーションが最高でした。

・月想い・百花繚乱
これらの曲は道山さんの本領発揮という感じで、尺八らしい音が満載でとても心を持っていかれました。
実は、ショコラさんもわたしも前から尺八を習ってみたいという野望を持っていて、やっぱり素敵な楽器だよね〜と再確認しました(笑)
 
・空に咲く花
この曲は古川さんが突然死されたお友達を思って書かれた曲なのだそうですが、温かくてやさしくてとってもせつない曲でした。ここではチェロの息の長いフレーズがとても素敵で心に残りました。この方のお人柄がよくわかる、とても温かな人間らしいメロディーでした。
前にあげた2曲ではとっても尺八らしい音を出されていた道山さんが、この曲ではリコーダーみたいなさわやかな音を鳴らしてらして、尺八の音色の多彩さに、あらためてびっくりさせられました。

・赤とんぼ
この曲はアンコールで披露されたのですが、意外なことに一番涙線直撃だったのはこの曲でした。
 こういう日本の素晴らしい曲が、もっとたくさん演奏されたり歌ったりされてもいいのではないかと思いました。教科書だけでおしまいではもったいないです。
 シンプルな曲で、アレンジもシンプルでしたが、それだけに曲の美しさや演奏する人たちの技量がとてもよくわかる演奏で、ハートを鷲掴みされました。うちの生徒たちにも聞かせたかったです。

 蛇足ですが、昨日のライブでもCDを買うと握手券がついていたみたいです。
 わたしたちは、その後すぐにご飯を食べに行ってしまったのですが、場内放送で「握手をなさる方は時節柄、備え付けの消毒液でしっかりと消毒をするように」と言ってました(笑)
 お客さんの層は、東儀さんの時よりももうちょっと年配の方が多かったかも。でも、若いお嬢さんや子どもの姿もあって、かなりルックスもカッコイイ3人ですし、もっとメディアにたくさん出たりしたら、ものすごく人気者になるんじゃないかと思ったりもしました。
 それにしても、クラシックをやっている男の人ってなぜみんなカッコイイのかしら!?と聞かれたのですが、そんな覚えはあんまりないんですけど(失礼、笑)
 こんな方々がゴロゴロ音大にいたならば、学生生活がもっと華やいだものになったに違いないのですが、残念ながらわたしのまわりはちょっと残念でした(笑)キャーっ!!ごめんなさい!逃げっ!!