ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

2009 7月10日 堂本剛薬師寺ライブ 感想その4

 ヨガの帰り道に電車に乗ったら、大阪のお友達がB-PASSの画像を送ってくれました。Aさ〜ん!ありがとう。それだけで満足しておけばよかったのですが、やっぱり買いたくなって電車を降りたとたんに本屋に走りました。今回はコウイチさんも載っていて、音楽誌にKinKi Kidsがソロだけでそろい踏みしている珍しいパターンなので、記念記念!と呪文のように唱えながら購入しましたよ(笑)
 さて、かねてからずっと小出しにしていた薬師寺ライブの感想文です。流れに沿った感想はこれで最後。あとはいろいろと思ったこと、つよしさんの歴史を振り返って感じたことも、別途書けたらと思っています。
☆春涙
 この曲を聴くと4月の奈良旅行のことをしみじみと思い出します。どこへ行っても散り際の桜はとても美しくて、宿泊していたホテルのお庭でもならまちでも、平城宮跡でも西大寺でも…とにかく桜のことばかりを考えていた気がします。
 今回、なんといってもこの曲を外で聴けたことがとてもうれしかったです。
 屋根がないところで聴いていると、音が風に乗って空に吸い込まれていくのですが、そういう効果がこのどことはなしに儚げな「春涙」になんと合っているのだろうと思いながら聞きました。
 2番の「生きること 生きていくこと〜♪」という歌詞を聴いたとたんに、昨年の百年会館でこの曲のここを聴いた時の気持ちが突然によぎって、同じようにわけのわからないせつない気持ちに襲われました。
 でもあのときと違ったのは、その後の「迷わず明日へ 連れていこうよ」の方が胸にグッと迫ってきたこと。「迷わず全部、明日にそのまんま連れていけばいいんじゃない」な〜んて思ったのは、今回のライブがドウモトツヨシ名義だったからなのかしらん(笑)
 それにしてもこの曲、涙腺を刺激しすぎです。
 春涙、ソメイヨシノ空〜美しい我の空、今回のライブは桜にちなんだ曲が勢ぞろいしていて、どれも大好きなのですが、なぜか一番涙腺を直撃されるのはいつだってこの曲です。
 なぜかしら?と考えるに、この曲が長調(明るい曲調)だからかもしれません。
 穏やかな春の日ざし、ぽかぽか陽気の中で美しく咲く桜のイメージが沸いてくるのに、とてもせつない歌で、つよしさんがまた、とてもせつない歌い方をするですよね。何度聞いてもそのギャップにやられてしまうのかもしれません。

・この前後の曲あたりのどこかのMCで暗くなったことに触れ、「日が落ちてみんなの顔が見えなくなってしまいましたが、心はつながっていますから。」と。

☆街
 この曲でもやっぱり「わぁ〜」とか「キャーっ」とかたくさんの声が上がってました。
アレンジは多分ほぼ原曲どおりだったので、イントロが始まってすぐ「街」だとわかりました。
 この曲はとても静かな曲なので、蝉や秋の野原で聞くような虫の声がよく聞こえました。幸いにもわたしがいたレフト側は、あまり電車の音は聞こえなかったのですが、ライト側にいた方によれば、これに踏み切りや電車の音も加わっていたのだとか。場所によって聞こえる音が違うのも面白いなあと思いました。
 サビの部分は、ご本人の声で3度でハーモニーを重ねてあったのですが、この声がとってもきれいで素敵でした。全体的にリリース時に聴いた時よりも、ずっと穏やかなやさしい声で余裕を持って歌っているように聞こえました。
 勝手な思い込みかもしれませんが、当時は歌声にとっても切実なものを感じていたのです。
 また、間奏の名越さんのソロにとても心を掴まれて、うっとりして聴きました。今年のライブツアーにしても過去のツアーにしても、ギタリストが常に2人いて、ひとりの方のギターの音を集中的に聞く機会がなかった気がするのですが、今回は名越さんの音を存分に堪能できて、そんなところもとてもうれしかったです。
 ラジオによればこの曲や「ORIGINAL COLOR」はつよしさんがとてもつらい時期の曲で、最初、歌うことにあまり気が進まなかったのだそうですが、だとしたら…ただただファンを喜ばせたいがために歌ってくれたのかも!?そうであるならば、それはそれで「やさしい気持ちをありがとう」と素直に感謝して受け取らせていただきたいと思います。本当に歌ってもらえてうれしかったですから。
 この歌を出した頃のつよしさんがとてもつらい時期だったことはわたしたちファンも薄々知っておりますが、もちろんご本人の気持ちはご本人だけのもので「わかる」なんて軽々しく言えるものでもないと思っています。
 それでも雑誌の一文を読んで一緒になって胃が痛くなるほどへこんだり、どうぞ負けないで!とこっそりエールを送ったあの頃があって、だんだんに元気を取り戻し、安心して身を委ねていられるたのもしい今があって、その過程の大切な通過点としてこの曲の頃があって…やっぱり大好きなこの曲が奈良のあの場所で聴けたことはとってもしあわせなこと。
 今の世の中確かに「愛を見失ってしまう時代」かもしれないけれど、一方で「愛を取り戻しつつある時代」のようにも感じていて、この日は奈良の空の下で「世界は愛に満ちている」という言葉が何度も何度も頭をよぎりました。

空〜美しい我の空
 東儀さんが出ていらして、この曲が始まりました。
 東儀さんはこの日、様々な曲やセッションに参加されて、出される数々の音がサックスみたいにもトランペットみたいにも聞こえたりしましたが、この曲では雅楽師の本領発揮!格調高いその音色に、思わず居住まいを正して聴きました。
 初めて雅楽の音を聴いたのは多分音楽の時間、曲は「越天楽」だったと思うのですが、正直に言うと耳に馴染まないこともあって、その時は全然いいとは思いませんでした。
 それがなぜだかこの日この場所で聞いてやっとその本質的な心がわかったような気がしました。
 やっぱりあの大らかで伸びやか、堂々とした音色は広い空の下、太古の昔を感じることができる場所で聴いてこその雅楽なのだろうなあと思ったのです。
 そもそもビルの中とかホールとか、そういうところで聞くべく作られていないということなのではないかしら。
 彼の笙の音とつよしさんの繊細なのにどこか伸びやかな声が自然に溶け合って、それはそれは美しい音楽ができあがっていました。
 わたしはこの曲が特別好きなのですが、ただ曲が好き、詩が好き、声が好きなだけじゃなくて、この曲に和の楽器を合わせてみようと思いついたこととか、その独創的なアイディアや手法がものすごく効果を発揮していることとか、おふたりの演奏の相性の良さとか、そういうこと全部ひっくるめてこの歌が好きなのだと思います。
 大講堂のサイドがスクリーンになっていて、剛紫ライブの時みたいに映像が映し出され、スモークや照明とあいまって、視覚的にもそれはそれは美しかったです。
 「空」を歌った曲ということもあって、何度も空を見ながら聴きました。つよしさんも時々そらを仰ぎ見るので、一緒になってまた空を見上げたり。存分に「空」を感じながら「空」の歌を聴いてました。
 実際の空だけじゃなくて、照明もまた美しくて真白いスモークがとても効果的に使われていて、大講堂の側面や屋根がスモーク越しに見える光景は、ファンタジー系ノベルに出てくるような天上界ってこんな!?(笑)と思わされるような不思議な眺めでした。
 このころにはまったく雨が降るかも!?なんてことは忘れていたのですが、それでもふと風に乗ってお香の匂いに混ざって雨の匂いがしたりして、そんなことまで強烈に記憶に残っています。
 昼間はあんなに湿気がいっぱいで途方もなく暑かったのに、いつの間にか涼しい風が吹き渡り、とても快適でした。
 野外でやるということは、これら自然の音や匂いや景色もすべて音楽を構成する一要素になるのだなあと、そんなことにも思いを馳せつつ、それらを全て感じたくて、五感を研ぎ澄ませつつ聴いていた気がします。


☆FUNK セッション
 ここからも東儀さんが参加されて、最後はやっぱりつよしさんらしく、FUNKのセッションでしめました。
 東儀さんは、先ほどまで姿勢を正した雅楽師らしいふるまいはどこへやら。ここからは両手を高く振り上げてクラップしたり手を振り上げたり、それはそれはノリノリで楽しそうでした。
 つよしさんもまた、水を得た魚みたいに自由に楽しそうに演奏されてましたが、残念なことにわたしのところからは他のバンドの皆さんがあまりよく見えなかったので、その方々がどんな様子だったのかは全然わかりません。
 途中で、つよしさんが大講堂へ上がる石段の下の方まで降りてきて演奏されていたそうですが、その時は音はすれども姿は見えず(笑)だったので、ひたすらにリズムを刻み、音を楽しんでおりました。
 もちろん残念ではありましたが、でもさほどそのことが気にならなかったのは、たとえば相変わらず早く流れる闇の中の白い雲を追いかけたり、お堂に七色の光線が当たってそれはそれは不思議に輝くさまを存分に見たり感じたりすることができたせいもあったと思います。
 それから左右のスクリーンに映し出される映像の数々。美我空ツアーの時のものもあったし、つよしさん自身の映像も結構ありました。どこかで見た彼が小さい頃の写真もあって、もちろんそんな頃から知っているはずもないのですが、ああ、大きくなったのねぇなんて。近所のおばちゃんじゃないんだから(笑)
 場所が場所だけに、大声を出したりキャーキャー言う人はいませんでしたが、みなさんノリノリで左右に揺れたりクラップしたり、そんな光景も今思い出しても夢の中の出来事みたいで、本当に素敵でした。
 この辺りの素敵な光景は、彼が大好きな人みんなで共有できたらどんなにいいだろうと思うので、何がなんでもDVD希望です!!
 できたら総集編じゃなくて、今回はそのまんま2時間ノーカットで、編集せずに出してもらえたらいいなあと思っています。


・全部の曲が終わったあと、つよしさんはやさしいふんわりとした笑顔で、何度も何度も感謝の気持ちを述べていらっしゃいました。

・「今日は僕のふるさと奈良にお越しいただいて、本当にありがとうございました。」
との挨拶も印象的でした。
 スターのライブを見にきたというよりは、大切な友人のふるさとに招いてもらったような、そんな不思議な感覚に襲われました。


・規制退場の時、向かう方向を間違えてしまい、やみくもに歩いていたら、お花の前に出ました。
「正直しんどい」「JE」「音組」「ソニー」のお花があったのですが、つよしさんの感謝の気持ちってヤツが伝染していたみたいで(笑)これらの花々にさえ、「いつも素敵なものをいっぱい世の中に出してくださってありがとうございます!」と言いそうなわたくしでございました(笑)

・デジカメを持って来なかったことを心から後悔しつつ、携帯でブレブレ画像を撮りつつ、金堂の拝観の列に並びました。
 昨年の「薬師寺展」以来、何度も拝観している薬師如来さま、日光月光さまに、夜の空気の中でお会いして、手を合わせることができたことも、本当にうれしかったです。

歩きながら左右の塔を見上げて撮った画像がこれです。

左が多分今度改修工事をする東塔で、右が西塔だと思います。

・いつもお守りや数珠なんかをいただくところが長蛇の列になっていて、とてもとてもびっくりしました。わたしたちはすでに持っているので今回は並ばなかったのですが、友達に聞いたところによると、どのお守りにしようか迷っていたら、「つよしさんは黄色を買われたのですよ」とか「わたしたち(薬師寺)は紫を差し上げました。」とか、いろいろとお坊さんたちが教えてくださって、お話をしている端からその色がどんどん減って行ったそうです(笑)
 前回この場所でお話を伺ったとき「薬師寺はお葬式をとり行ったりはせず、いわば仏教の学校のようなところなのですよ」とおっしゃってましたが、なるほど、お話をしてくださる方はみなさんとってもお話が上手だし、たくさんの人を惹きつけるユーモア精神があって、そんなところも大好きだと改めて思いました。