ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 玉置浩二ライブ「惑星」最終日 東京フォーラム参戦日記

 席は大宮より10列くらい後ろだったので、端は端でもとりあえず全員の顔や演奏が見れてしあわせでした(笑)コモブチさんもちゃんと見えたし、最後の方で彼がウッドベースを「のだめ」のワンシーンのようにクルクルっと回したのを見て「見たみた〜!?」とオットと大興奮。この方は時々軽くステップを踏んでいるように見えたり、音楽を心から楽しんでいるのが視覚的にも感じられ、前回の大宮で彼が全く見切れていたことが、とってもとっても悔やまれました。
 玉置さんのライブは、ギンギンに盛り上がる部分とじっくり聞かせるタイプの曲の両方があって、立ちあがってノリノリになるところは徹底的に盛り上がり、バラードになると合図のように玉置さんも座って歌うので、わたしたちも遠慮なく座って全身を耳にして聞きました。
 個人的にあまりに昼間がバタバタで、気持ちの切り替えをする暇もなく無防備にライブ参戦してしまったために、いつもより容赦なく、いきなり音楽の世界に転げ落ちるように深く入り込んでしまい、何度か鼻の奥がツ〜ンとなって困りました(笑)
 玉置さんはというと、サングラスを掛けて現れてしばらくはちょっと堅めの表情でしたが、徐々に穏やかな表情になり、途中でサングラスをはずしてにっこりしているその瞳が見えました。
 1曲目は大宮では最新アルバム「惑星」からの「からっぽの心で」だったのですが、なぜかオーラスではハードなロッテイストの曲、「Barbarian Dance」に変わっていました。いきなりのっけからギンギンでうまく乗れるかしら?大丈夫?と思ったのは一瞬で、ステージも客席も一気に沸騰してました。さすがです。
 玉置さんのイメージというと、バラードという方も多いようですが、実はロックテイストの曲もとっても多いです。個人的には狂気と紙一重くらいの、シャウトしまくりの爆発的なロック曲も大好きで、そういうのも彼の作品の中にはたくさんあるのですが、今回は比較的少なめだったかも。
 音響は全体として大宮ソニックよりも東京フォーラムの方がずっとよかったように思います。
 アップテンポの曲の中では「なんか変だ」という曲に大興奮。ジェット音がイントロから鳴り響き、ライトとうまくコラポさせて、音が通り過ぎていく演出に鳥肌が立ちました。
 また、リズムやアレンジが全く変わった「じれったい」、「Lion」「田園」などがテンションを限りなくアップさせてくれ、気がつけば我を忘れてノリノリに(笑)ふと周りを見渡すといいオトナたちがみんな無心にリズムに乗り手を叩き、それはそれは純粋な顔をしてみえてキュン。そうそう、オトナだってたまには我を忘れたいよね!大興奮で音楽に身をまかせたいよね!
 アルバムが出た前後に、NHKの「SONGS」やテレビ東京の「みゅーじん」で歌と共に結構長いインタビュー、密着シーンを見たのですが、ここのところの玉置さんは、益々シンプル志向になったそうです。
 以前だったら技(わざ)、たとえばビブラートとかすくい上げるように歌ったりとか、そういうのをふんだんに使っていたけれど、シンプルにまっすぐ歌った方が、詩の世界とメロディーをまっすぐに伝えられると思うようになってきたんですって。実際に「ワインレッドの心」とか「夏の終わりのハーモニー」などの往年のヒット曲を聞くと、本当にまっすぐに歌っているのがわかります。そして本当にまっすぐに、まっすぐにハートを直撃してくるのでまた、鼻の奥がツ〜ンとすることになるのです(笑)
 今回はバンドもそういう彼の志向があらわれた編成になっているようで、アレンジもよりシンプルでしたし、エレキギターでぐい〜ん!というよりは、アコースティックギターが多かったし、ウッドベースやフォーンの音もとってもまろやかで温かみがあったように思いました。
 ものすごく心に残ったのがコーラスで、特別にコーラスの人がいるのではなくて、ウッドベースのコモブチさんや佐野さんたちが歌っているのですが、この方々の声がまた、なんの癖もない、まっすぐな美しい音色で、心が洗われるようでした。昨今は癖のある声の歌手が多くて、そういうのも決して嫌いではないのですが、元々クラシック畑のわたしは、このようなまっすぐで素直な声もまた大好物なのです。女性コーラスは一切なしなのも今回はなぜかとっても新鮮に感じ、玉置さんも含めバンドの皆さんが少年のように見え、ここで演奏された音楽がとても純朴で温かいもののように思いました。
 途中で「我が愛しのフラッグ」というインストの曲が1曲だけ混ざっていたのですが、この曲に入るとき、玉置さんが振り向きざまに一音、ギターを鳴らしただけで、「ああ、玉置さんらしい音だ!」と心がぶるぶる震えました。とっても素朴で美しいメロディーで、バンドのメンバーみんなが重なると、まろやかで芳醇な音が出来上がり、歌詞はついていないのですが、ずっと聞いていたくなるような感じでした。
 このインストをはじめ、玉置さんの才能のすばらしさのひとつに、メロディーメーカーとしての抜群の才能があると思います。実は彼は安全地帯の時代から今に至るまで、ものすごくたくさんの曲を作っているのですが、メロディーの多彩さにはびっくりしてしまいます。同じ人が作っているのだから、似たようなテイストになるのは仕方がないと思うのですが、この方の場合はどんどん違うカラーが出て、昨日こんなテイストでとってもよかったから、次もこれを引き継ぐのかなあと思っていると突如裏切られて、全然別の方向へ行ったりもします。いい意味で驚かされることが多いです。 
 今回は、佐野さんという方が参加されたことがとっても新しかったのですが、この方がまた、玉置さんのサウンドに新しい風を入れてくれた気がします。
 佐野さんという方は、時にはトロンボーン、時にはコーラス、時には指笛?時にはブルースハープ、時にはフルート…と本当に何でもこなすステキな方です。スキンヘッドで一見怖いのかなあ?と思いきや、彼が奏でる音はまるで少年のようで(笑)2度ライブで拝見している間にすっかりファンになってしまいました。
 特に心惹かれた曲を挙げておくと、「元気な町」(これは数年前のシチューのコマーシャルソングにもなった歌で、聞けば、ああ〜っ!と思われる方も多いと思います)「この星はみんなの星」「STAR」「だんだんとわかるさ」「メロディー」「Mr.ロンリー」そして「UNISON」かな。
 これらの曲は、どれも長調で温かくて素朴、青空バックが似合いそうな限りなく澄んだ濁りのない音楽で、とってもしあわせなのになぜか涙が滲みそうな、そんな気持ちが心に満ちて胸がいっぱいになりました。
 このツアーのタイトルは「惑星」といい、アルバムタイトル曲のほかにも「星」を連想させる曲や歌詞がたくさん出て来る曲が集められていました。
 最後までツアーを終えた今、考えてみると、この「惑星」というのはわたしたちの故郷「地球」のことで、今いるこの星、この国、ふるさとへの「愛」が歌われていたようにも感じられます。直接には言っていないのですが、「この星を大切にしたい。」という思いが詰まっているようにも思えるような今回のライブツアーでした。
 すべての演奏が終わって外へ出るタイミングで、比較的近いところにカメラがあったので、ちらっとカメラを見たらNHKと書いてあり、「カメラマンさんに聞いたら、BSで来年放映するって言ってたよ」とおっしゃっている方もいらっしゃいました(これは、たまたまそう話している人の声を聞いただけなので、確かな情報ではありませんが、笑)
 もし放映がはっきりした暁にはぜひぜひまたふぇるまーたでも宣伝したいと思いますので、ご興味をもたれた方がいらっしゃいましたら、どうぞ一度玉置さんの世界を見て、聞いてみてください。
PS:なんだかライブとは違う部分で、いきなり世間を騒がしている玉置さんですが、「惑星」ライブは本当によかったので、何がなんでもそのことを書き残しておきたいなあと思いました。
 玉置さんは十分オトナな方ですし、外野がとやかく言うことでもないと思うのですが、彼の音楽が大好きなレインとしては、ライブについて思ったことを終わったばかりの興奮のまま残しておくことが、ちょっとでも彼へのエールになったらいいなあと思いながら書きました。
 がんばれ!玉置さん!また、来年もオットと一緒に、またライブを楽しませてもらえたらと思います。