ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 モモ

モモ (岩波少年文庫(127))

モモ (岩波少年文庫(127))

 少し時間に余裕があるので、この本を読んでいます。ミヒャエル・エンデの物語も大好きですが、表紙絵や挿絵も全部ご本人の手によって書かれているそうで、とてもとても素敵です。前に友達に借りて読みかけたのですが、分厚いし、忙しかったので全部読みきれないうちに返してしまいました。
 児童文学というくくりですし、子どもにも読めるやさしい言葉で書かれてはいますが、所々にとても深遠なテーマが隠れていたり、きれいな語彙ややさしくあたたかい言葉に引っかかって、なかなか前に進めなくなります。
 少し肌寒い今日のような雨の日は、こういう本をじっくり読むのにぴったりだと思うのですが、実際には仕事に追われ細切れの時間の中で何度も同じページを繰り返し読んだりするので、ちっとも進んでいきません。とはいえ今回は自分で「岩波少年文庫」のポケットサイズのこの本を買ったので、あちこち持ち歩きながらじっくりと読みたいと思います。
 ちなみにまだ最初の方ですが、早速引っかかっているのは、モモの友達の道路掃除夫ベッポの話です。道路掃除を「とても大事な仕事だと自覚している」ビッポはモモに、長い道路をうけもたされて、途方に暮れた時の話をします。長い道路をいっぺんに掃除しきれるかどうか心配し始めると、ロクなことにならないと言うのです。心配しすぎるあまりに、がんばり過ぎて疲れてしまう・・と。そして、こんなことを言います。

いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん。つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。
すると、たのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。

そして、そうやりかたをすれば、知らない間に仕事が進んでいて、そんなに疲れを感じずに気がついたときには全部仕事が終わっている・・と。実に深いです。素敵な考え方だなあと思いながら、噛みしめるように読んでいます。