ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 「ラストプレゼント」とドラマ考

 非常に感想を書くのが遅れました。放映後すぐならともかく、今更わたしがどう思ったかなんて、誰も知りたくないような気がします。なのでパスしちゃおうかとも思いましたが、自分用の記録のつもりで書きました。書いている間にどんどん長文になり、余計に読みにくいので、お忙しい方はパスしてください。お暇な方は覚悟の上、どうぞ。
 「日記」のところに「目が腫れちゃって」と書いたので、お察しの方もいらっしゃると思いますが、ボロボロ泣きながら見てました。(Yさ〜ん!わたしもですよん!)どの辺からというと、妙子が死んだ後の夫のことを心配して、衣装ケースにテープを張りながらノートにまとめてるあたりがはじまりで、この辺から断続的に泣いてました。あえてKinKi Kidsカテゴリーをはずしたのは、できるだけKinKi Kidsが出演しているドラマという目線で見るのはやめて、いつも何の先入観もなく見るドラマと同じようなスタンスでみたいと思ったからです。少しでもファン目線になってしまうと、視聴者側に立てなくて、つまらないことに突っ込んだり重箱の隅をつついたりし始めてしまいます。身内のように心配したり、プロデューサー気取りでこの人にこのドラマがあっているか?なんてことまで考え始めたら末期です。もはや絶対にドラマを楽しむのは無理で、ドラマ視聴者としてのスタートラインには立てません。なぜこんなことを言うかというと、過去にこうやって見て大失敗、ちっとも楽しくなかったことがあるからです。他の人が出る一般のドラマだったらなんなくスルーできることにひとつひとつ引っかかって、何を隠そう一番自分が楽しくなかった経験があるのです。
 また、どうしてこんなに予防線を張ってしまったかというと、韓国ドラマが苦手だからなのです。濃すぎてしまってすぐにお腹がいっぱいになってしまうのです。韓国ドラマのテイストが薄めだという母のお宝「冬のソナタ」でさえ、半年前の10話から一向に進んでいないのです。そんなこんなでお気楽にワインを傾けつつ見ましたら、ぜんぜん普通に気持ちよくドラマの中に入って行けました。わたしにとっては素直に印象に残るシーンがたくさんある、やさしい気持ちを思い出させてくれるドラマでした。 
 お気に入りのシーンはたくさんあります。たとえばハイジャックのコントの途中で抜け出すシーン。病院での「入院しよう」あたりの夫婦の悲しいやりとり、会いたくて本番前の慌しさの中で妻に会いに行くのに、家の前で電話でおちゃらけながらでしか話せないところ、セーターから指輪を出すところ、その後の妙子の表情。ひさしぶりに夫婦が一緒に寝るシーンのぬくもり、翌朝の朝ごはんを食べながら涙をこらえて妙子の死んだ後のお願いを聞いているところ、妙子と親友との再会シーン、そしてペンションパパのコント、妙子の初恋の人がわかった辺りの健二の表情など、たくさんありすぎて語りきれません。詐欺師の片割れの人の良さも好きですし、妻を亡くしてからもあえてベタベタボロボロに終わらず、前向きな最後だったのもよかったです。
 どちらかと言えば菅野さんが、韓国ドラマの感情的で情に厚く激しいテイストを際立たせ、脚本の岡田さんと演技者つよしくんがちょっと日本人には苦手なあちらのドラマのくどさを日本的に薄めてくれたような気がしました。勧善懲悪が苦手な私としては、詐欺師に至るまでなんだか憎めないキャラで救われた感じ。ファンタジーなのですから、これもアリです。
 家族と言えども、家族の病気について真っ向から触れられず、かといって片時も頭から離れず、お互いが気がつかないふりをしながら、別々に哀しい思いを抱えたまま生活する・・・という場面はまさしく8年前、オトートの難病の告知の時期の我が家の状態に酷似していました。だから余計に入り込んでしまったのかもしれません。あの体験をする前は命を扱うドラマは毛嫌いし、怖がっていました。「直らない病気」に自分や家族がかかわることは想像だけでも十分怖いですから。(一旦経験してしまうと、怖がっていても始まらないと、案外開き直れるものですが)なので、わたしにとっては出会ったタイミングも良かったのだと思います。
 とここまではわたしの感想ですが、「なんだかちっとも泣けなかったし、面白いとも思わなかった。そんな感想しか持てないわたしはいけない?わたしっておかしい?」とメールをくれた友人もいました。「なんで?別に変じゃないよ。たかだかドラマの感想で、そんあに深刻にならんでも・・・」とびっくりしつつ返事をしました。
 かく言うわたしも、今皆さん大絶賛中のあるドラマについて、ちょっとした矛盾を感じ始めて、大好きなドラマでありながら、テンション急転直下状態です。これをアップしたら、「信者」が多いドラマなので、袋叩きに合うかもしれませんが(笑)ひっかかったものは仕方がありません。
 どんなドラマでも、ちっともおもしろくないと思う人がいて、ものすごく好きだと思う人がいて、たまたま卑近な話題だったり、間口の広いドラマは、万人に良い評価を得やすいかもしれませんが、でもそういうドラマだけが良いドラマというわけでもないような気がしています。逆もまた然り。要は虚構の世界なんですもん。むずかしく考える必要もないし、合わないと思うものに無理に自分の方を合わせようとするのもナンセンスという気がします。ドラマの作り手なら、「万人に受け入れられること」は重要なポイントでしょうけれど、見る方にとってはそんなことはどうでもいいこと。それぞれが楽しみたいものを楽しみたいように楽しんで、「ああよかった」と思えるなら、それがその人にとってのいいドラマなのだとわたしは思います。
 かなり、話が逸れてしまいました。「ラストプレゼント」に戻します。このドラマ、ここのところ韓国ドラマばかり見ている母には大好評で、わざわざ「アンタのドラマ、なかなか面白かったじゃない?!」と電話をくれました。(「アンタのドラマ」ってどうよ)近所のもうちょっと年配の方々の間でも話題になっていたらしく、日ごろのファン層と全く違うマダムたちにはおおむね好評だったようです。意外に思いながら聞いていると、そこからが笑えます。「あの主役の男の子は新人さんなの?案外上手い子が出てきたわね」なんてのほほ〜んとおっしゃるのですわ。唖然とするわたしの横で、トモがこっちを横目で見ながら笑いを噛み殺しています。この方々氷川きよしやタッキーのことはよくご存知でいらっしゃるのですよ。NHKか韓流ドラマにしかご覧にならない方々にとってはそういう認識なんだと思うと、それもまたおもしろいです(笑)