今年はたまたまお休みが上手に繋がったので、29日から4日までレッスンがありませんでした。
どの生徒も久しぶりに顔を見て、やっぱりこの子たちに会えるのはわたしにとっても楽しみのひとつだなぁと嚙みしめています。
GWの直前にちょっとした出来事があって。
それはまず、ピアノの鍵盤のかなり弦が太い方のBの音が、時おり弾くと戻らなくなるという現象になって現れてました。
あれれ?こんなことは今までなかったぞ?
でも最初は、戻ったり戻らなかったりで、そんなに頻繁に弾くキーではなかったのもあって、あれれ?なんで?気のせいだった?くらいの気持ちで、忙しさにかまけて忘却のかなた(笑)
ところが・・・
折りしも気がついたのはモカちゃんのレッスンで、わたしは何度も「ペダルうるさいよ?」「にごってるの気付いてない?」と言いました。
「もしかして真ん中のペダルと間違えて踏んでない?」とも言いました。
なんだかそんな音だったのです。
目は楽譜を追っていて、彼女の手や足は見ていなかったのですが、あまりにも音が濁るのです。
いつもはかなり上手に濁らないようにペダルを踏む子なのに、今日はいったいどうしたんだろう?おかしいなぁと思っていたら・・・
「先生、わたしじゃありません!」「ペダル踏んでないよ?」とモカちゃん。
気がつけば、曲はとうに弾き終わっているというのに、まだ一音だけ音が鳴っているではありませんか。Bの音だ!!(笑)
で、慌てて鍵盤を見たら、なんと、Bの音が完全に戻らなくなっているではありませんか!!
ええーーーーっ!?
どこか鍵盤がひとつ押されたままだと、ペダルを踏んだように全体がずっと響いてしまうことがあるのですが、まさしくそんな音だったので、踏みっ放しだと勘違いしていたのでした(笑)
で、濡れ衣のモカちゃんには「ごめんごめん!」と平謝りして、すぐに修理の方に電話しました。
いつもピアノの調律に来てくださる方がたまたまひと枠キャンセルになったとかで、もうその日のうちに来てくださったというとてもラッキーな状況でありました。
そういやOL時代に自分で貯めたお金でグランドピアノを買って20年。
もしやそろそろ買い替えの時期・・・とかだったらどうしよう?な〜んてことまで考えたのは、ちょうどわたしの恩師の先生が、20年で新しいGPを買ったというエピソードを覚えていたからに違いないです(笑)
もちろんですが、ピアノを買い替える財力はないですし、かといって商売道具。
ドとレとミとファとソとラとシの音が〜出ない♪(byクラリネットをこわしちゃった)というわけにはいきません。
どうしましょ!!(涙)
ところがところが・・・
修理は1分で終了したのです。
なんと、ピアノの奥、弦のところにボールペンが挟まっているだけでした(泣笑)
しかもわたしのボールペン・・・
はーずーかーしーっ!!
以前もそんな話を書いた覚えがありますが、グランドピアノの蓋の裏側には意外と広い空間があって、鍵盤の上に物が乗ったまま蓋を閉めてしまうと、奥の方に入ってしまうことがあります。
どのくらい広いかというと「ふでばこ」すら飲み込んでしまうくらいで、ちびっこはわりと無造作に蓋を閉めようとするときがあって、何度か飲み込まれた?神隠しに会った?「ふでばこ」や定規をピアノの奥から取り出した経験があります。
ふでばこはさすがになくなったら気付きますが、今回はわたしのボールペンだったので、まったく気がつかなかったというわけです。
たまたま古いボールペンと新しいボールペンの変わり際で、二本出してあったのも敗因でした。
そもそもなぜ鍵盤の上にボールペンが落ちたのかもわかりませんが、鍵盤の上に自分で落としたのをわたしが気がつかなかったのかもしれないし、生徒かも?
今となってはどの瞬間に落ちたのかも藪の中(笑)
調律師さんは旧知の仲なので、ゲラゲラ笑いながら「よくあるんですよね。無料でいいです」・・・とおっしゃったのを、あまりに恥ずかしかったのもあるし、無理を言ってきていただいたのもあるしで、出張費だけ取っていただいたのですが、ピアノの蓋をあけて、正面のカバーをはずし、ボールペンを取り除いただけで2400円也。
沈!珍!陳(謝)!です(笑)(笑)(笑)
というわけで、肝を冷やしたり、恥ずかしさのあまり、血が逆流したりしたまんまGWに突入したので、お休みの間、ピアノのお掃除をしたり、ほつれて破れかけたピアノカバーを繕ったり、いろいろと作業をして準備万端で生徒たちを迎えました。
ああ、初心にかえろう・・・
さて。
ピアノのカバーは前にも日記に貼りましたが、わたしの祖母と母がそれぞれ作ってくれた、アップライトピアノ用のクロスステッチでできたものを既存のGPカバーの上にお守り代わりに敷いています。
で、ふたの上に一番かわいいところが来るように掛けていたら、どうしても開閉が激しいので、そこがほころびてきて、ほころびてくると、ちびっこの格好の餌食になって、来る子、来る子が小さく空いた穴ぼこに手を突っ込むという現象が起きていました。
そうなると、何度注意したってちびっこたちはもはや無意識に(笑)穴に手を入れてぐりぐりと穴を広げるので、穴はどんどん広がり、とっても悲惨なことになってしまい・・・
何度繕ってもまた穴が空くという悪循環。
やめて!と言っても知らないうちにそこを触ってしまっているらしく、一瞬はやめてもまたいじってみたり。
なので、今回そのカバーの上から、やはり祖母からもらったクロスステッチのテーブルクロスを掛けて、穴の部分を隠してしまいました。
こうすれば布が何重にもなっている部分は少しは強いだろうし、もういたずらはできないだろうし、いろいろと都合がいいと思ったのです。
われながらいいアイディアと思ってました。
ところがところが・・・
金曜日、最初にやってきた5歳児が入ってくるなりわたしに言ったのが「せんせー、穴がない!困る!」というひと言でした。
なんでやねん????別に穴がないからと言って困らなくない?(笑)
「みんながいたずらして、穴がおっきくなっちゃうから、ちゃんと直してさらにカバーを掛けたのよ?」と言ったら、あれ?ムっとしてる?
「せめて、カバーをめくってどうなっているか見せて」と言うようなことを言い、意味がわからない!と憤慨しつつも(笑)りーちゃんの検閲を受けるわたし(笑)
しぶしぶ見せてあげたら・・・「ふーん、こうなってんのか?」って(笑)
「でもやっぱりりーちゃんは穴があいたのがよかったんだよ!」「あれを触ると落ち着くのに!」と言うので笑ってしまいました。
なんでよ?
そしてその後から来る子たちも、やっぱりカバーが変わったことに反応する!反発する!がっかりする(笑)
すっごくいいことを思いついたと思ったのに、イマイチ評判がよくなかったのがおもしろかったです。
もう穴は開けさせないけどね!とにやにやしているわたしですが、きっと一枚上手のちびっこたちは、またなにかしてくるに違いないと思ってます。
へんな攻防戦ですが、こういうのもイヤじゃない。意外と楽しいから仕方ない(笑)
さらに、3月の頭に手首を骨折した、中学校の先生の生徒さんが無事、戻って来られました。
よかったです。
中3の担任を持っていらしたので、何より卒業式や入学式がかっこ悪かったと笑ってらっしゃいましたけど。
黒い礼服に白い布で肩からギブスの手を吊っているさまは、まるでどこかの組の者?姐さん?という風情と言われたのだそうです(笑)(笑)(笑)
担任を持ってるから、確かに組の者ですけど・・・ってころころ笑ってらっしゃいました。うはは。
名誉の負傷か?と思いきや、段差に躓いて転んだだけだそうで・・・わたしたちもそろそろ本気で気をつけなくてはなりません。
右手の手首が折れたので、車も運転できず、黒板には左手で字を書き、それはそれは苦労されたそう。
とはいえ、バッハのインベンションは、ゆっくりならリハビリにいい気がするとのことなので、とりあえず(わたしの方が)こわごわと、レッスン開始です。
それにしても人の回復力ってすごいんだなぁと思います。
さて。
昨日、ことちゃんのレッスンをしていたら、モカちゃんから電話が来て、那須のおみやげを渡しに行ってもいいですか?と言います。
今レッスン中だから、ちょっと待っててねとわたし。
ことちゃんはGW直前に突然の進化を遂げて、急にバンバン両手で弾き始めました。
相変わらず長くは座ってられないところはありますが、弾き始めると手を出すのを嫌がる、完璧に弾けるまで何度でも何度でもトライするなど、本当にピアノそのものに対する情熱がこちらにも伝わってくるようになって、とても頼もしいです。
そして前にも増してよくしゃべる!(そして同級生にやっぱり、どうやって先生、魔法を掛けたの?なんで先生にはしゃべるの?と言われます。違うんだよ〜ただ、オトナだからなんだけどね・・・あえてそこは言わずに「すごいなぁ!」を欲しいままにしているワルイわたし、笑)
繊細なのは相変わらず。そして、この子とは、言葉に出さなくてもお互い考えていることがわかってしまうような、そんな感覚になってきました。
今までも時々こういう子がいて、たとえばうぜーよ姫なんかもそうだし、まーこちゃんなんかもそのタイプですが、そういうタイプの子にはちょっとの感情の揺れも伝わってしまい、ごまかしがきかないので、かなり気をつけなくてはいけません(笑)
口では「上手に弾けたね!」と言っていても、イマイチだなと思っているとすぐに伝わってしまうし、こっちが迷っているところをちょっとでも見せると敏感に察知してしまいます。
こっちが心底楽しいと彼女もうれしそうだし、先日、お迎えのタイミングが早くて、「レッスン終わり」の挨拶を忘れたと思っていたら、一度去りかけて、舞い戻ってきて「ありがとうございました〜っ!」と、耳元で急に怒鳴るような大声でわざわざ言いに帰ってきてびっくりしたことがありました。
急な大声に耳は痛かったですが、かなりうれしくて、心を読まれたのかと思ってさらにびっくりです。
そんなこんな相変わらず大汗をかいていますが、ことちゃんともひと山越えた気配です(笑)
そしてそして、やっぱりきのうもきのうとて、ヘンな汗をかいたところへ、モカちゃんがおかあさんと一緒にやってきました。
最近は不況のあおりもあってか、以前のようにお歳暮だのお中元だのをいただくことはほとんどなくなりましたが、旅行のおみやげをいただくことが増えました。
何度もいただいているし、どうぞお心遣いなくと言っても
「モカが旅行に行くと必ずピアノの先生に買うって言うんです。儀式のようになっているから、どうぞ気にせず受け取ってやってください。」
なんて言っていただくと、とてもとてもうれしいです。
今回はさらに「ピアノの日でいいよ」とおかあさまはおっしゃったそうなのですが、モカちゃんがピアノの時に渡すのはイヤ。ピアノじゃない日に先生に会いに行くっていうのがいいんだよ!と言ったとか(笑)
まあ、なんてうれしいことを!!
モカちゃんは4年生になり、中級の曲をバンバン弾き始めています。
まだまだ保育園児だった頃のイメージのままなのですが、高学年なのだなぁと思うと、なんだかヘンな感じです。
気がつけばことちゃんたち、低学年の子たちの憧れのおねえさんに成長してて、そのことをおかあさまに伝えたら、すっごく喜んでらっしゃいました。
子どもたちはどんどん大きくなりますが、わたしも負けずにやらなくては。
ここ2年くらい、なにか楽器を始めたいなぁとずっと思っていたのですが、ここへきて、2ヶ月くらいほぼ休まずピアノを弾いてみると、もうピアノでいいような気がしてきました。
あえて新しいものにトライしなくても家にあるし。楽譜も山ほどあるし。
何よりびっくりなのが、中学、高校の頃に満足にできなかったエチュードなどが、意外と今でも上達するということで。
これは一重にその当時の練習が足りなかったということでもあるのですが、意外と大きな発見です。
というわけで、もう弾けないとあきらめてらっしゃる方がいらしたら、どうぞ楽しみながらふたたびトライして見られることをオススメします。
ピアノの練習って地味ですけど、この年になると、地味な練習ほど意外と頭をからっぽにできて癒されますよん。
お料理にたとえれば、ひたすら千切りをしたり、大根をおろしたり、マメをさやから出したり・・・
そういう作業は年を取るほどに苦ではなくなる気がします。これは、大好きなお料理家、もう90歳を越えられた辰巳芳子先生の受け売りですけど。
な〜んにも考えず、ひたすら手を動かすっていうのは、若い頃は苦痛でしたが、今はほんとに癒しです。
一日に一回くらいは、頭をからっぽにしたいかも。
(実はあんまり物事考えてなくて、もっともっとからっぽにしてるけど、笑)
そして淡々とエチュードを弾く作業のあとで、表現する楽しみのある曲を弾いてみると、意外と勝手に思い通りに指が動き、いつもより満足のいく表現ができることに驚きます。
千里の道も一歩から・・・という言葉は、子ども時代はちっとも響かなかったけど(ダメじゃん、笑)意外とオトナのためにあるのかも?