ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 希望の光

「SPEAK LOW」について、すでに下書きを終えているのですが、我が家にとっても関係のあるニュースなので、こちらを先に書き留めておきます。

金曜日の朝日新聞こんな記事がありました。
タイトルは『iPS細胞で遺伝子変異を修復 筋ジス患者の細胞で成功』

やっとやっとです。

オトートが筋ジスだとわかってからこのかた、というよりも、長い歴史の中でここまで、この病気には治療法がないと言われてきました。

わたしたちがこの病気のことを知った断面からの20年の歴史の中でも、たくさんの研究者がいろんな可能性について研究を進めてきて、もうちょっともうちょっと…と言われてきましたが、こんな風に本当に治療に結びつくような決定的な情報が出たのは今回が初めてです。

素直に「やっとここまで来た!」「ばんざ〜い!!」という気持ちになったので、その気持ちを書き残しておきたいと思いました。

この成功は「デュシェンヌ型」と呼ばれている進行が速いタイプの筋ジスの遺伝子変異の修復が可能になるかも?という話なので、たとえ治療法が本格的に確立されたとして、オトートたち、より進行が遅いタイプの「ベッカー型」の患者にも応用されるようになるまでにはまだまだ時間がかかるかもしれません。

それでも型は違っても遺伝子の変異しているところは一緒なので、いずれはベッカー型の患者も治療が受けられるチャンスはやってくると思われます。

筋ジスの治療という側面だけじゃなく、IPS細胞を使って治療ができるかもしれない、他の難しい病気を持った皆々様方にとっても、これは大事な大事な一歩です。

筋ジス患者の家族としては、まずはより若くして重症化しつつある患者さんの治療が可能になり、一日も早く進行が止まり、彼らの命がおびやかされることがないことを、心から願っています。

そして、デュシャンヌ型ほどではないにせよ、筋力に大きなハンディを持ちながら、その筋力を保つため、日々の努力を重ねつつ、いつか治療の道が拓ける希望をもって生きているベッカー型、あるいはほかの筋ジスのいろんなタイプの患者さんにも一日も早く治療が可能になる日が来ますように。

先日、暗くなってから買い物に行った帰り、駅の近くを通ったら退勤してきたオトートの背中を見つけました。

ちょっとでも筋力を保つということを小さい頃からとても意識しているせいか、オトートは電車に乗る時、最寄り駅まで必ず歩いて出かけます。
我が家からはふた駅に出られて、片方は1キロ弱、片方は1.5キロくらいあるのですが、どちらの駅へもどんな荒天の日でも歩いて行きます。
(アネやわたしは絶対に自転車を使っているにも関わらずです。)

後ろ姿だけでもそうとわかる、見慣れたとってもゆっくりだけど確かな足取り。
若干歩き方に癖があるのは、やっぱりちょっと歩きにくいんだろうなぁと思います。

でも、高校から大学、社会人になった今でも、1時間以上の通勤時間。
たとえ走ることやしゃがむこと、正座することは苦手でも、歩くことをまったく苦にしない大人に成長したことが、結果的に彼の筋肉を、そして健康を守っているのだと思います。

近年彼はいろんなオタク活動をするようになって(笑)ますますあちこち出かけて行くようになりました。

たとえばきのうは某ライブのグッズの先行販売の列に一人で5時間も並び…たまたま仲良くなった人とオタクトークをしながらごはんを食べたそうで、超ご機嫌で帰宅しました(笑)

今日はライブビューイングに行くと言っていて、早朝から起きてバロンの散歩に行き(ここは、ちゃんとやってますよ!という両親へのアピール、笑)今日のライブのアーチストのDVDを見て予習にも余念がありません(笑)

母としては若干複雑なところもありますが、母もある意味オタクだしなぁ(笑)
蛙の子は蛙と言われれば…スミマセンとしか言えません(笑)

まっいいんじゃない?日々ちゃんと働いて、そのうえさらに、週末のお楽しみもあるならば!!
この病気を持って生まれたがために、いらない苦労もいっぱい強いられていると思うけど、これまでしてきた苦労に負けないくらいたくさんのしあわせが、彼の未来に待っているといいなぁ。

この日も後姿をしばし追っていて、ぶらさげている通勤カバンがあまりに重そうなのが気になって…
余計なお世話と怒られるかなぁ?と思いつつ(よく「心配し過ぎ!」と叱られる母なので、笑)おそるおそる「鞄だけ持って帰ってあげようか?」と声を掛けたら「ラッキー♪よろしく〜!」と笑顔になりました。

持ちあげてみたらやっぱり実に重たい鞄。
もちろんウォークマンや行き帰りに読む本、水筒なんかも入っているわけで、人並みと言えば人並みの重さなのでしょうけれども。

ああ、このIPS細胞による治療により、いえいえ他の治療法でもいいから、早く筋ジスの治療が確立、実用化されますように。

まずはデュシャンヌ型の患者さんたちを治し、ベッカー型やほかの型の患者さんにもその治療が応用されるその日まで、どうぞ同じ病気の遺伝子を持つたくさんの患者さんたちが、一人でも多く心身ともに健やかにいられますように。