ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 奈良旅日記 7月11日編 その4 飛鳥寺

自転車で明日香を巡っているといろいろな人たちと何度もすれ違います。みんな経路は違えど同じ地図を持って同じような場所を回っているからです。
まるでオリエンテーリングをしているような楽しい気分です。
岡寺の後は飛鳥寺へ行きました。
ここの駐輪場で午前中に出会った親子に会いました。小学生の男の子とおとうさん。元気がありあまっているのがもちろん息子で、おとうさんはバテ気味。でも一歩お寺に入ると男の子も熱心にお話を聞いて見て回っていてとてもほほえましい光景でした。
さて、この寺院は日本で最初の本格的な仏教寺院なのだそうで、蘇我馬子が仏教を広めるために、596年に発願したのだそうです。石舞台ではあの場所は蘇我馬子のお墓と言われているらしいと聞きましたが、今度はその蘇我馬子が発願したとされる寺院です。当時の明日香では名実ともにすごい人だったに違いありません。
びっくりしたのはかつて建てられた頃は今の20倍の広さだったという話です。あの広い広い法隆寺の3倍の広さだったのだそうです。そんな建物がここ明日香の地にあったなんて。今ののどかな風景からは想像もつきません。
そして何度も火事にあっているそうですが、原因は焼き討ちとかではなくて、雷なのだそうです。自然災害ではどうしようもありません。
飛鳥寺と言えばもちろん日本最古の飛鳥大仏で、高さが2.7mあるのだそうです。
実を言うと、ガイドブックなどでこの大仏様を見た時に「怖い」と思いました。何か霊感的なものを感じて怖いと思ったとかそういうことではなくて(わたしは霊感はまったく感じたことがないので、笑)単純に幼児が抱くような「怖い」です。
そんなわけで、明日香に行ってみたいような行きたくないような不思議な気持ちを抱きつつ計画した今回の明日香巡り。
旅のクライマックス、飛鳥大仏と向き合う瞬間がやってきました。
お堂に入ると、まずボランティアの方が入っていらして「どうぞ自由に写真を撮っていいですよ。」とおっしゃいました。「撮らないでください。」と言われることはよくありますが、「どうぞどうぞ」と言われるのは珍しいです。
このボランティアの方のすごく印象に残ったお話は「この大仏さまは見る人の立つ場所によっていろいろな表情を見せるんですよ。」とのこと。
それで、両側から撮ってみた画像がこれです。
 
確かにお顔が違って見える気もします。そう言われると気になって、あっちからこっちからうろうろしながら結構長く見つめてました。
しかし…それよりも何よりも、写真で見たのと違い、実際の仏さまを見て怖いとはまったく思いませんでした。実物の飛鳥大仏さまはとてもとてもやさしい包容力のあるお顔に見えたのですよね。
これが何よりも不思議な気がして、穴があくほど見つめてしまいました。
また、ボランティアの方がお話をなさる時、聞いている人たちの目をじっと見つめてお話をされるので、この方は大仏さまではないのですが(あたりまえですね、笑)大仏さまに心の奥底を見透かされているような気持ちになりました。
それにしても、飛鳥大仏さまほど、行く前と行ってから後と違う印象になったほとけさまは初めてです。
見る人の気持ちの持ちようひとつでどんなお顔にも見える気がして、ここのところの自分を振り返って、いろいろな意味で考えすぎだったかも?!と霧が晴れたような気持ちになったりもしました。
このお寺を出たところにもお野菜が売られていて、今度また行くようなことがあったらぜひぜひいっぱい買いたい…とか思ってしまいました。
このあと自転車を漕いで漕いで飛鳥駅にたどり着いたのが、3時半。
電車の時間までしばらくあったので、やっとコンビニでおにぎりやパンを買って、電車の中でこっそりパンをかじったりしてやっと遅い昼食を食べました。
明日香での滞在時間は5時間でしたが、ほとんど自転車に乗ってました(笑)ふたりとも休憩したいとも言わず、一心不乱に自転車を漕いでいた感じなのですが、不思議とふたりともまったく筋肉痛にはならなかったのです。不思議でした。
そして帰りの新幹線は8時発。まだまだ旅は続くのです(笑)