ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 「スワンソング」 感想

スワンソング【完全初回限定盤】

スワンソング【完全初回限定盤】

スワンソング

スワンソング

 今回のシングルは、全体的に「ザ・歌謡曲」な感じだと思いました。どこかなつかしくて郷愁を誘われる音楽と歌声。日本人の心の琴線に触れる歌たちが並んでいるように思います。
今現在このジャンルで曲を出している歌手はいるようでいないし、おふたりそれぞれのソロワークともかぶっていない世界観や音楽だし、KinKiらしさも存分に感じてとっても気にいってます。
 ソロの場所では、KinKi Kidsはふたりとも自分で曲を作って音作りからじっくり関わっているし、作り上げたい世界観がはっきりしている人たちだと思います。
 一方でKinKi Kidsではふたつの脳みそを駆使して、ふたりでしか作り上げられない世界をちゃんと持っています。
 シンガーソングライターな場所と、シンガーとしての場所のふたつを対等に持っているめったにないアーチストだと思うし、せっかくそうであるならば、ソロではまったく間逆の世界の方が楽しいのでは?と思っているので、今回のような方向性はとっても面白く感じました。
 欲を言えば、1曲くらいもうちょっと明るい曲(たとえばジェロマとかフラワーちっくな)があったらいいのにな〜とは思いましたが、2枚を合わせて4曲と考えると、それはそれで統一感があっていいのかも!?と思います。
 このところKinKiの曲はまるごと1番と2番をひとりが歌っていたりするような形も多かったですが、今回のシングル全般を聞いて特徴的だと思うのは、ひとつのセンテンスをふたりで歌っているところが意外と多いというところと、それとは逆に結構長いユニゾン(同じメロディーを一緒に歌うこと)もあって、そんなところも原点に戻った?と思いました。
 その、ユニゾンになるところや歌声がクロスするところが実に効果的で、表現として素敵だなあと思いました。
 また、硝子の少年の時よりも明らかに声が似てきていて、ひとりひとりで聞くとさほど似ているとは思わないのに、時々どっちの声?!と思うくらい溶け合っているのが不思議だけれどもとってもおもしろいです。
 このハーモニーの溶け合い方とか、別々にレコーディングしているのに息がぴったり合っているところに、ふたりだけの歴史や絆を感じます。
 さて、続きを読むからは1曲1曲について、とっても主観的な感想を書きました。もっともっと聞きこんだり、ライブで聞いたらまた印象が変わるかもですが、とりあえずは今のところの感想です。
 あくまでも個人的な「主観」にすぎない文章なので、さらっと読み飛ばしていただければと思います。
スワンソング

 とってもドラマチックできらびやかな演奏が歌を引き立てています。
 歌番組ではダンスがあるバージョンとないバージョンがありましたが、音がこれだけゴージャスなのだから、やっぱりダンスがあった方が映えるようにも思いました。
 全部歌い踊るのではなくて、歌がある部分は歌に集中して聴かせ、間奏の部分になると動きが出る、歌番組でのこの構成がとても好きでした。
 前にも書きましたが疾走感があって駆け抜けていくようなメロディーなので、曲の中の「青くさい感じ」がしつこかったりいやらしかったりせず、さらっと流れていく感じがします。
 そんなスピード感あふれる曲の中でなら、このくらい「引っかかる歌詞」があった方がいいのかも!?と何度も聞いていてそう思いました。
 高音の「ピロロン、ピロロン」というオブリガードが、白い波しぶきを想像させる気がします。
 「スワンソング」のもともとの意味、「断末魔」という言葉は怖いのであまり使いたくないですが、「恋が終わる瞬間」「愛が消える瞬間」の景色を切り取ったような、一枚の絵のような歌だと思います。
 どこまでも続く青い空、白い波しぶきの中で風になびく彼女の長い髪が遠ざかっていく。もう終りなの?と問いかけたら決然と頷いたのに、彼女は遠ざかる船に向かって膝を折って泣いていて。彼は船の上で桟橋の方を見つめながら呆然と立ち尽くす。
 場面を想像すると、演歌にありそうな世界観!?にも思えますが、どこか日本人的かも。
 この歌を演歌な味付けやこぶしを効かせて歌ったりすれば、そんな曲にもなりうるかもですが(笑)そこは我らがKinKiさんたちですから。
 終わりゆく恋に執着しているというよりは、どこか最初からあきらめているような、外から覚めた目で眺めているような空気も感じられて、妙に惹きつけられました。
 ユニゾンになったりソロになったり、細かくソロが入れ替わったり。さらっと感情をこめすぎず歌っているところが更にこの曲の「ドラマ」を引き立てるかも。
 最後の方で結構長いユニゾンになるところが好きです。ひとりずつの声も大好きですが、合わさった声はまた別の味があって、今後もいっぱいKinKi Kidsのユニゾンを聞きたいです。


サマルェカダス〜another oasis
 マシコタツロウさんの曲はもともと大好きです。詩も好きだし曲もとても好き。
 この曲のタイトルがとっても不思議だったので、曲を聴く前にはなんとなくスペインっぽい?!とか勝手に思っていて、アップテンポでリズムがはっきりした音楽なのかなぁ!?と想像していたのですが、全然違いました。
 その意外性もあったかもですが、CDを買ってしばらく、この曲のリピートから抜け出せませんでした。わけもわからず無性に惹きつけられてならない曲です。知っているどの曲とも似ていないし、ふたりの声がなんて曲のイメージに合っていること。
 この曲を聞くと郷愁で胸がいっぱいになります。
 子ども時代、夕暮れの公園でふとひとりきりになった時とか、おるすばんをしていてふと目が覚めたら暗くなってた時みたいな、心もとないさびしさのような、もの悲しいような光景がどんどん浮かんできます。なぜかいるべき場所はここではないような、どこかへ帰らなくてはならないような不思議な感覚に襲われます。
 「夜が満ちたら船を浮かべて」とか「夕暮れフェンス越しの風 揺れるヒメジオン」「空地の空に見つけた飛行機」「三日月の帆を立てたら」とか日本語がいちいち美しくて大好きです。最近の歌詞からは、こういう美しい日本語が消えつつあるような気がします。
 「サマルェカダス」ってどこでしょう!?ガンダーラみたいなところ?そっかタイトルにも入っているように、「another oasis」なのでしょうかね。
 歌の中のストーリーのイメージとしては、なぜか銀河鉄道999の鉄郎とメーテルを思い出したり、宮沢賢治銀河鉄道の夜や、風の又三郎のワンシーンが思い浮かんだりもしました。
 KinKiの歌で言えば、「月光」とか「藍色の夜風」とかに近いようなくすぐられ方をする曲だと思います。わたしは「こういう歌こそ、KinKi Kidsにしか歌えない」とさえ思っていて、バラード系ならこの方向性が好きです。
 最後の方でサビのメロディーをふたりで長くユニゾンするところがすごく好きです。子ども時代のコウイチとつよしが頼りない目をして手をつないでサマルェカダスに旅立つ姿を想像してしまいます(だから、サマルェカダスってどこ!? 笑)


真紅の花

 中近東?インド?と思うようなエキゾチックな香りがするイントロからスタートします。女声コーラスの方の最初のひとフシもエキゾチック。
 ビロードの闇ともちょっと近いニュアンスを感じるので、ライブで2曲続けて歌い踊っているところを見てみたいかも。この曲はとってもダンスが似合う気がします。
 篝火の中で色っぽいダンス付きでふたりが歌い踊る…とかどうでしょう!?(笑)
 間奏のギターの音とかを聞くと「情熱スローヴァージョン」チックな感じもして、このあたりの曲と組み合わせてプレイリストを作ったら面白そうだなあと思ったり。
 全体的にスピード感がある曲だし、AメロやBメロは攻撃的にさえ感じる攻めなメロディーなのに、サビになるとなぜかとってもやさしいメロディーラインになる感じがとっても好き。
 歌詞をよく聞いていると、やっぱり中東の香りがします。
 麝香色(じゃこういろ)とか蜃気楼とかオアシスとか砂漠とか、とてもエキゾチックです。
 だからなのか、「ビロードの闇」の時の衣装で歌い踊るKinKiさんが頭の中に出てきます。となれば、ここはやっぱりダンスでしょう!!(笑)冬コン、期待してます。


面影

 2時間ドラマの主題歌、しかも最初にというよりは、事件が片付いた後、現場の風景をバックにしみじみと流れる歌にしたらすっごく似合いそうな気がします。これも1曲でドラマを感じさせる歌です。
 つよしさんの「なつかしい」に入る瞬間の声が、コウイチさんは、2番の「愛しい人…それは痛み」の声がそれぞれとってもていねいでやさしくて大好きです。
 ふたりの歌声の良さがとっても堪能できる曲だと思います。
 わたしたちの世代的なたとえ方をすると「マドンナたちのララバイ」みたいな使われ方をしてほしいです。ちょっと大仰な感じにすら思える間奏がよけいそんな感じを醸し出しているのかも!?どこがだろう?!と思うに、多分ストリングスの入り方とか、ドラマチックなメロディーかしらん。
「夢では(つよし)あなたを(コウイチ)抱けない(ユニゾン)」のところのふたりの声がとても好きです。そしてそこからのハーモニーも絶品@@ 
 1番と2番でつよしさんとコウイチさんのハーモニーの上と下とパートが入れ替わるところが、とても新鮮に聞こえてどちらもとても好きです。最後のピアノのフレーズもせつないです。
 最後は長いユニゾンで終わるのですが、そこがくるとゾクゾクっとして思わずリピートボタンを押したくなります。
 ファンが知らない間に主題歌になっていて、ある日何気なくドラマを見ていたら、突然最後に流れたりしたら面白いのに。最初の方は小さくBGM的に聞えていて、だんだんに曲が主張を始める感じで。しかもしばらくは誰が歌っているかをあえて明かさないようなパターンも面白いかも。これ誰?KinKiにそっくりだけど。まさかね〜。いやいやどうみてもそうでしょう…みたいなことになっても面白いのに(笑)
 な〜んていろいろ妄想で遊んでしまいました(笑)