ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

つめきり

ピアノの生徒にあまりいろいろとうるさいことは言いたくないのですが、「つめ」が長いのだけはどうしても気になります。大学の時にふと友達と音大生の見分け方はという話になって「どんなに派手な格好をしていたって、どんなに生活が荒れてる子だって、爪だけは短いから音大生はすぐばれるよね・・・」なんて笑ってました。誰もがマニキュアが似合わない子どものような指先なのです。単に長いとピアノが弾きにくくて、指先が正しい形を作りにくいし、無理やり先をたてて弾こうとすると、カチカチ音が鳴るから伸ばせないだけなのですが、わたしなんて望むと望まざるによらず完璧癖になってて、今だにちょっとでも白いところが見えるだけで気持ち悪くて切ってしまうようになってしまいました、ダサ!。そんなわたしは、もちろん子ども達の指先も大変気になります。ちょっとでも長い子を見つけると本当は文句のひとつも言いたくなります。が、小さい頃からあらゆる注意を受けまくった劣等性代表のわたもしとしては、ぐちゃぐちゃ言われるのはなにより腹が立つのがよくわかるので、いつもレッスン室につめきりを置いておいて、目に余る長さの子には、その場で切ってあげることにしています。同業者の友人に、「何たる過保護!それはあんたの仕事じゃないでしょ!」と叱られましたが、スキンシップにもなるし、案外いいこともあります。
先週も3年生男子のつめを切ったのですが、その子はよその教室から今年の5月に移ってきたばかりだったのですが、あまりに長かったので、本人に断ってわたしのところで爪を切りました。そうしたら、お母様から直後に電話がかかってきて、「申し訳ありません。前の教室で、あんまり爪を切りなさいと先生にうるさくいわれていたものですから、天邪鬼なあの子はつめを切ろうって言うだけで逃げ出すようになっちゃって、困り果てていたんです。先生もさぞかし抵抗に合いませんでしたか?恥をさらすようで申し訳ありません」とおっしゃるのです。「ちっとも抵抗しなかったし、案外まんざらでもなさそうな顔で大人しく切られてましたよ」とありのままを言いましたら、心底驚いておられました。
それからどうしているかなあ?とちょっとだけ気になっていましたら、今週来たその子は、きれいに切りそろえられたつめでピアノに向かってくれました。そのことにはお互いひとことも触れなかったしそれだけのことなのですが、ちょっとうれしかったです。わたしにしたってわが子たちは大きくなってしまいすぎたし、小さい指先のつめを息を止めて細心の注意を払いつつ切ってあげるのは案外幸せな時間のような気がします。「おかあさんが『忙しいから、先生に切ってもらえばいじゃん!』って言ってたよ!」なんて言う子もいて、カチンと来ることもあるのですが(笑)それでも、円滑な(穏便な)人間関係をとり続けたいわたしです・・・・ちょっと違う話になって来ました。大人ってヤだわ。