ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

奈良気分で谷根千へ! その1

先日、半年前くらいに取っていただいたライブのチケットを受け取るのを忘れていて、ショコラ嬢と約束したのですが、前日になって、せっかくだから久々にお散歩でもしよっか…なんて話になって、出かけてきました。

スタートは上野。
上野は東京博物館など、普段から結構行くところですが、弁天様があることはわりと知られてなくて、わたしは一昨年に七福神巡りをしたときに、初めて行ったのですが、ショコラ嬢は行ったことがないそうで、上野の不忍口で待ち合わせて上野公園へ出ました。

そんなに歩くこともなく、不忍池の中に浮かんでいる寛永寺、不忍池弁天堂に到着しました。

弁天様というと真っ先に大好きな天川さんを思い出しますが、他にも宮島や江ノ島など水にゆかりがあるところにいらっしゃる神様で、これは元々インドのヒンドゥー教の河の名前がついた神さまが起源ということとも関係があるのではないかと思われます。

池に浮かんでいるようにそこにある不忍池弁天堂もまたその法則にのっとっています。

そして、琵琶を持っていらっしゃる弁天様は音楽の神さまでもあり、西洋の言葉を司る女神さまとも同一視されるのですって。
というわけで、水辺や水の音が大好き、そして音楽が好きで仕事にしていて、言葉の力を信じたいと思っているわたしにとっては、なにかと親しみを感じる神さまで、新幹線に乗らなくても行けるところにこの弁天様がいらっしゃることをとてもしあわせに感じます。

本堂の天井画の龍が昭和41年に児玉希望画伯により描かれたものだそうですが、とても美しかったです。

上野には数えきれないくらい来ているのに、ここまで足を伸ばしてなかったのが不思議なくらいだよね〜なんて言いながら。
次回はぜひぜひ桜の季節にまた来たいね〜とショコラ嬢がもらってきてくださった、台東区リーフレットを見ながら、いよいよ行ったことがない方面へのお散歩に出発です。

実はちょっと前から行ってみたいと思っていたところがあって、最寄り駅は日暮里かな?根津かなぁ?と思っていたのですが、ショコラ嬢と話していたら、「意外と近いと思うよ。余裕で歩けるんじゃないかな。」と言うので、上野公園の中を通り、東京博物館を横目に、藝大の美術館の前を通り過ぎて、適当なところで右折したら、あっという間に着いてしまいました。

びっくりです。

それはどこかと言うと…

カヤバ珈琲という喫茶店です。

車もバスも通る通りを歩いていたら、信号を渡ったところに突然建物が現れて、中が人でいっぱいのときに並んで待つ椅子が道路沿いに置いてあります。
わたしたちがお店の前まできたら、すでに二人の方がこの椅子に座ってらっしゃいました。

ここは大正5年に建築された町屋なのだそうで、カフェとしては昭和13年から70年間営業されていて、奥様が亡くなって一回閉店したあと、数年を経て改修の後ふたたび営業されるようになったのだとか。

まだ11時半ちょっと前くらいだったと思うのですが、一階はすでに満員で2階へと案内されました。

階段の下で靴を脱いで下駄箱に入れて(いかにも下駄箱という感じの佇まい)狭くて急な木の階段を上がって行きます。
この辺りの感じもとてもなつかしくて、郷愁を感じます。

木のテーブル、座布団。
木の窓枠。建物は古いけど、ぴっかぴかに磨かれたガラス。

う〜ん、どこかで見たことがある雰囲気…と思ったら、2階の雰囲気はなんとなくならまちの「カナカナ」さんに似てるのです。もしくは「あしゅーら」さんとか。

ゆったりのんびり、時の流れがゆっくりな感じ。使い込まれてなめらかになったやさしい木の手ざわり。

窓の外に目を遣ると、たまたま通ったバスが、スカイツリー発。バスの停留所が近いなら、そっちから来てもいいよね〜なんてのんびり話すわたしたち。
都内とはいえ下町だからか、とっても庶民的な雰囲気があって、通っている人たちもどこかのんびりしていて落ち着きます。

そして、わたしたちはここで奈良旅の思い出話に花が咲きつつ「このお店にきたらぜひ」とオススメされていたたまごサンドを食べました。

カラシが効いていて、昔なつかしい感じのたまごサンドでした。
それからほうじ茶ラテ。これも絶品でした。

焼き物の器もおいしそうで、ラテのお座布団のように敷いてあった布のコースターも温かみがあって、なんだかおばあちゃんちに遊びに来たみたい。

おもしろかったのが、ふと気がついたら床がガラスなの。
座布団を敷いて座っていたから、そんなに気にはならなかったですが、そういえば階段を上がってくる時に、天井が透けて、うっすら上が見えたのを思い出しました(笑)
スカートだとヤバイ?むふふ。いえいえ、見えはしないと思うけど。

そしてわたしの頭の中には「小さい秋みつけた」がエンドレスで流れていました。サトウハチローさん。
「お部屋は北向き曇りのガラス うつろな目の色 溶かしたミルク〜♪」

いえいえ、お部屋は北向きでもないですし、秋でもなく、飲んでるのは溶かしたミルクとはちょっと違いましたけど(笑)

でも、この歌がぴったりの、どこか郷愁を感じる趣のある雰囲気でした。いとをかし。

さて。

ここ、つよしさんもきっと好きよね〜なんて言いながら、大正時代から庶民に愛される大切なスポットになっているこの喫茶店を出たわたしたちは、そのまんま、今度は谷中方面へと歩くことにしました。

地図によれば、ここから根津神社も遠からずなはずなのです。ショコラ嬢がぜひぜひ根津神社に行ってみたい!と言って、そちらの方向に向かって歩き出します。

表題にもしてある、いわゆる『谷根千』という地域。
wikipediaによれば

谷根千(やねせん)とは文京区から台東区一帯の谷中・根津・千駄木周辺地区を指す総称である。もしくはその地域を扱った谷根千工房が発行している地域雑誌を指す。
谷根千とは、谷中・根津・千駄木の頭文字をつなげたものである。この地域は山手線内側にありながら、戦災をあまり受けず、また大規模開発を免れたため、一昔前の街並みが残っている。

と書いてあります。

確かに古い家屋がたくさんあって、新しいマンションや建物と混ざり合って独特な雰囲気をかもし出しています。
歩いていて、楽しいです。

路地を入ると板塀の懐かしい家並みや武家屋敷の跡などもちらほら混ざっていて、歩いていて楽しいです。

今回はわりと行きあたりばったりで、目的地と決めたところへの最短距離を辿って歩いてましたけど、次回はもっとあちこち歩いてみたいです。
ちなみにこのサイトなどを見ていただけると、行ってみたくなる方がいるんじゃないかな。

さて。

台東区の観光ガイドには、びっくりするほどたくさんの地図記号の寺院仏閣マーク「卍」が書いてあります。
ほんと?と半信半疑でしたが、その界隈へ入っていくとすぐにわかります。
おとなりもそのまたおとなりもみんなお寺!みたいなところなのです。

うっかりしていると迷子になりそうということで、早々にグーグルせんせに助けを求めて、起動したまんまにして、歩いていると…

「ドロボウ、これより先、侵入禁止」と書いてある立て看板を発見。

くすくす笑うわたしたち。

ここまではドロボウも来ていいんだ!(笑)もちろんいいわけはないですけど。

小さな通りを右に左に曲がりながら歩いていくのですが、なぜかとっても狭い道でゴミ収集車と同じルートになってしまい、のんびり歩いていたわたしたちと、ゴミ収集車が抜きつ抜かれつしながら通っていくことになって、なんだかおもしろかったです。

収集車の方からしたらいい迷惑だったでしょうけれど(笑)
そしてこの近辺はうちの近所と比べるとゴミの集積所がとっても多い印象で、小さな曲がり角、曲がり角にゴミがちょこっとずつお行儀よく並んでいる印象でした。
そんなに散らからないけど、その分収集する方々は大変だろうなぁなんて思ったり。

しばらくして、ヒマラヤ杉の前に出ました。

ちょっと手前から撮った全景はピンボケちゃったのと、光が入っちゃってちょっと見づらいですけれども。

こっちのほうが若干ぼけてはないですが、さらにあちこちから光が入っちゃって、まるで不思議画像のようにになっちゃったやつ(笑)

手前に見えてるのが、みかどパン店と言って、ものすご〜く昔なつかしい雰囲気のパン屋さんです。

リンク先に飛んでいただけるとわかりますが、パンを売ってるのではなくて、手作りでひとつひとつ大きさも違うヒマラヤ杉ラスクが置いてあるんですって。
わたしたちはこの日、先を急いでいたので、お店に立ち寄ることはしませんでしたが、とってもいい雰囲気で、ノスタルジーに浸りました。

そして、吸い寄せられるようにわたしはうっとりとヒマラヤ杉のほうへ。
ふぇるまーたをごらんになってくださる方は多分ご存知だと思いますが、巨木が大好きなんですよね〜
で、全部を入れようとせずに、中側から幹を撮ってみたのがこれ。

隣には古めかしいお寺の入り口があって「延壽寺」と書いてありました。
このサイトに飛んでみると、入り口の素敵さがわかります。

街中にこれがしっかり残っている風景は、どことなく昭和な雰囲気で、子どものわたしが向こうから笑顔で手を振っているような不思議な気持ちになりました。

そうそう、この画像を撮っているときにふたたびゴミ収集車がやってきて、「すみません、お邪魔して」と言ったら笑顔で大丈夫と言ってくださったのでした。
その節は失礼しました。

そして、坂が多い道を上がったり下がったりしながらさらにくねくねと歩いていくと、いきなり路地から広い道に出て、あっ!ここは現代の東京だったと思い出しました(笑)

不忍通りです。

そして長くなってきたので、一旦切ります。
ちょっと日にちが経ってしまったので、早く記憶を辿らなくては!!