ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 決着!

 ひとつ、とんでもなく悩んでいたことに決着がつき、心底ホッとしています。
 わたしが生徒にあげるために、プールしてあったシールが、ファイルごとレッスンとレッスンの間に忽然と消えたのです。しかも新しいシールをたっぷり補充したばかり。2000円相当の新しいシールが入っているファイルです。なくなったのが先々週の土曜日。その日はわが子たちもおらず、家にいたのはオットとわたしだけ。部屋に入った人数は片手でもあまるくらいの少人数だったのです。
 というわけで先週1週間は、こっそりと、こんなに悩んだことはかつてないぞというくらい悩んでいたのですが、無くなった時と同じように、今日、静かにこっそり出て来ました。ありがたいことに、何ひとつとして無くなってはおらず、なくなった時のまま、ちゃ〜んと全部帰って来ました。
 最初になくなったことに気がついた時、わたしはすぐに直前の生徒に電話を掛けました。彼女がたまたま間違って持って帰ったに違いないと思ったので。そうしたら、彼女は「しらないよ。」と言い、そこからとんでもなくややこしいことになったのです。
 もしや、わたしがどこかへやった可能性はないんだろうか?と百回くらい思ったので、そこら中をやたらめったら探し回ったのですが、どうしても出てきませんでした。
 なくなった日にレッスンした子たちはわかっているのだし、問いただして大事(おおごと)にしてまで取り返すのがいいことなのかどうか、とってもとっても迷ったし、もし万が一その日の生徒の誰かとは全く関係なく、無くしたと思ったことがそもそもの勘違いだったら、どれだけ彼らを傷つけて、大人に対して信用をなくしてしまうかと思うと、一歩も動けなくなってしまいました。
 もしも、なくなったのが生徒のシールで、別の生徒がからんでいたなら、なんにせよすぐに追求しなければならないところですが、シールはとりあえずわたしのだし…だからといって何事もなかったかのように、新しいシールを買って、誰にも気づかれずこの問題を終わりにするのもどうかと思うし…
 いろいろ考えた末、曜日を問わず、来た生徒みんなに同じことを言ってひたすら待つことにしたのです。
 「あのね。シールがファイルごと無くなっちゃったから、今日は残念だけど、ご褒美シールはあげらないの。今日の分は、枚数だけ先生の手帳につけておいて、出てきたらあらためてあげるからね。
 もしかしたら先生のうちのどこかでシールファイルが隠れているのかもしれないし、お友達の楽譜にくっついてお泊りに行っちゃったかもしれないの。もし、アナタのおうちにシール帳がお泊りに行ってることがわかったら、いつでもいいから、先生のところに持って来てね。」と。全員にもれなくこう言いました。
 幸いにして、どの子の反応も「ふ〜ん!そうなの。わかった」とあっさりしたもので、「誰かが盗ったんじゃないの?」とか「全部ほしかったんじゃないの?」なんて都合の悪いことをいう子もいなかったし、「どうしても今日もらえなきゃヤダ!」とごねたりすねたりする子もおらず、「来週見つかったらちょだいね」と聞き分けよく言ってくれました。
 わたしが「アメとムチ」みたいにシールを使っているから罰が当たったんじゃないか?と思ったり、でも、シールを上げるようになって、間違いなく練習の習慣がついた子もいれば、あんなシール1枚でも、本当に大切そうに、しあわせそうに持って帰る子もいるし…なんて思ったり。ただただ待つ1週間の長かったこと。苦しかったこと。為すすべもなく、何もしないで待つということが、こんなに苦痛だとは知りませんでした。
 そんなこんなで、先週のレッスンが1順して、し終わったところで、今日3人目にたまたまやって来たAちゃんが「先生、こんなところにシールのファイルが落ちてるよ」とピアノの蓋の裏から見つけてくれました。確かに昨日のレッスンの後にはなにもなかったその場所から。
 何も知らないAちゃんは、「先生、蓋の裏に落ちたのを気がつかなかったんだね」といい、わたしも「そうかも」と言いました。彼女の他に見つかった瞬間に立ち会った子はいないので、この話はこれでおしまいにできそうです。
 結局、だいたいの見当はつくものの、正確には誰が返してくれたのかもわからず仕舞いだしその瞬間を見たわけでもありません。うやむやといえばうやむやかもしれません。
 今でもこういう解決の仕方が正しかったのかどうかはわかりませんが、とりあえずシールファイルは戻って来たのだし、つい持って帰ってしまった子はとてもとても、いっぱいいっぱい、イヤな気持ちになっていろいろなことを考えたことと思います。わたしとしては、それで十分だと思ったし、来週からは何事もなかったかのように、わだかまらずにいつもどおりのレッスンをしたいです。
 今後はわたしがもっとシールの管理に十分に気をつけながら、必要以上にシールをえさにあおったりするようなことはせず、あくまでもおまけの楽しみとしてシールとつきあえたらいいなあと思います。
 たかがシール、されどシール。それにしても、どういう解決をするのがベストだったのでしょう!?いまだにわかりません。もう十分大人なはずのわたしなのですが、まだまだまだまだ未熟です。