今更ながらの「ハリーポッター」
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ハリー・ポッターシリーズ第五巻 上下巻2冊セット(5)
- 作者: J.K.ローリング,J.K.Rowling,松岡佑子
- 出版社/メーカー: 静山社
- 発売日: 2004/09/01
- メディア: ハードカバー
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ここからはネタバレなので、これから読もうと思っていらっしゃる方はご注意ください。
今回の「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」では、ハリーが思春期を迎えていて、終始いらいらしたり、大人を疑ったり、何かに八つ当たりしたりしていました。焦燥感のようなものが最初から前面に出ていて、いつものパターンでは、そういうのは最初の方だけで、かっこいいハリーたちの一致団結した活躍が始まるのかなあ?と思いつつ読んでいましたが、結局最後の方になってもやっぱり迷い、もがき、苦しんでいるハリーでした。
これを購入してからほぼ一年ほったらかして読んだわけですが、わたしの精神状態からしても今読んだのは大正解だった気がしました。わたしもなんとなくいらついたり自分に自信が持てなくなったりしていて、まさにこのタイミングで同じような泥沼にはまっているハリーにとても感情移入してしまったのです。重苦しい気持ちをひきずりながらも悪態をつくハリーにすっきりしたり、本当はまわりに温かく見守っている人がたくさんいるのに、それに気がつかないハリーを見て自分のことを反省したり・・・。
わたしの持論、「読むべき本、読みたい本は最高のタイミングで向こうからやってくる」がまさしく立証されたような感じでした。
物語の最後の方で、親代わりでもあり、心の支えでもあったシリウスが亡くなってしまいます。あまりに無念な最期だし納得がいかなくて、大きな哀しみの中、余計に心を閉ざしてしまうハリーには誰の言葉も届きません。
この物語をヒーロー物語の続きとして期待して読んだ子供たちは、果たしてどう思ったのだろうと思います。いつもの胸のすくような展開ではないし、いつもよりずっと人間くさいハリーなのです。
わたしはというと、彼のいつまでももがいている感じがリアルで、うそ臭くなくていいなと思いながら読んでました。(ひねくれすぎかしらん)
しかし・・・最後の最後までハリーの気持ちで焦れじれと読んでいたわたしは、ラスト5〜6ページで号泣することになるのです。確かに彼は一番の心の支えは失ってしまいました。でもハリーのまわりには常にいつも彼を心から大切に思い、彼のためなら危険もなんのその、飛び込んでくれるたくさんのあたたかい人たちがいたことを思い出させてくれるラストだったのです。みんなが集結し、口々にあたたかい言葉を掛けられて、ハリーは長いトンネルを抜け、すがすがしい顔で前を向いてダドリー家に帰って行くのですが、すでに大人なわたしは胸が詰まってしまい夜中だというのに涙が止まらなくなってしまいました(笑)
苦しくてたまらないと自分から心を閉じてしまい、ものすごく孤独にさいなまれることがあるけれど、自分さえ心を開けば決して一人じゃないんだよ・・・というメッセージが説教くさくないサラッとしたシーンの中に溢れていました。
わたしもそうでしたが、心が落ちてしまっているときに・・・ぜひぜひ読んでほしい本です。アネはとっくにこの本を読破していてオトートはただ今アズガバンの途中まで読んでいますが、彼にもここまでたどりついてほしいです。ところで次作はいつ頃出るのでしょう?!いつも原本をいち早く読んでいるオットに聞いてもまだ新しいのは手に入れていないようだし、こんなにせつない終わり方をしたことを思うと早く次が読みたいです。(一年もたって読んだ癖に何を言うかという話ですが・・・)発売当初に読んだアネやもっともっと前に読んだオットにストーリーについていろいろ語ろうとしても、彼らにはすでに遠い昔の出来事で、いくら熱弁?!を振るってもイマイチ反応が薄くて哀しかったです。そういう意味ではやっぱり完全に読むべきタイミングをはずしたと言えるのでしょうね(笑)