ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 久しぶりに抱腹絶倒・・・キマシタ!

「ガンジス河でバタフライ」幻冬舎文庫  たかのてるこ
 今日の午後、仕事用の楽譜を探しに行った電車の往復で読み始め、最後のほうはレッスン室にまで持ち込んで、生徒と生徒の間の数分も惜しんで読んでました。一気読みでした。おもしろかった〜。この本はオットが先にジャカルタで読んで薦めてくれたのですが、なるほど「絶対オマエが好きな本だから」とは、わかってらっしゃる。こんな風に涙を溜めつつ(笑いすぎてです)読むような本が好きです。多分電車の中ではかなりあやしい人だったと思います。
 この本は「たかのてるこ嬢」が20歳の時の旅日記とのことですが、こんなすごい旅の話は聞いたことがありません。男の子だったら同期入社だった今アメリカ駐在中のMくんが、こんな旅に近いのをしていたいましたが、彼女は女の子、しかも二十歳です。行き当たりばったりにもほどがあるし、無事に帰れたのが不思議なくらいの無鉄砲ぶりです。でも彼女の旅日記は文句なくおもしろいし、どこに行っても「うるるん滞在記」もびっくりな素敵な出会いをして、気がつけばいい話だ〜としみじみさせられてしまったりもするのです。(ああ、その文章力がうらやましい)
 香港、シンガポール、マレーシア辺りの描写は多少なりとも広東人や、シンガポール人やらマレー人とかかわったことがあるわたしには、なつかしくてたまりませんでした。彼女の描写がじょうずなので、「そんな人がいたよね、あそこで会ったあの人に似てるかも」なんてすっかり思い出の迷路にはまりました。
 それに対して2度目のインドの旅はすごすぎです。行ったことがある友人たちがインドは二度と行きたくないか、取り付かれたように何度も行きたくなるか、どちらかに分かれる国だと言っていました。なるほど、そうかもしれません。わたしはどっちなんだろう?
 強烈な体験満載で、うまい描写でたたみかけてくれるので、読んでいるとインドの匂いやら風景が頭の中に充満してむせかえる程になってしまい、不思議です。わたしは行ったこともないのに。そして、食事の支度をしながら、レッスンの合間にふとインドのことを考えているわたしがいます。だって、あまりにも強烈だったのです。
 たまたま元気をなくしている人、なんだか日々囚われていることがある人にも、この本をぜひ読んでみてと薦めてみたいです。ここに出てくる人々やてるこ嬢を見ていると、人って本当に面白いんだなあ、捨てたもんじゃないかもと元気が出る気がします。彼女のような旅は誰にでもできるものではないし、「なんて危険なことをするんだ」と眉をひそめる人もいるかもしれませんが、それらを差し引いても純粋に読み物としてとても面白かったし、満足です。