ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

涙がこぼれて止まらない子

わたしはちょっと前まで一人たりとも生徒を泣かしたことがないっていうのが自慢なはずでした。(自分は、実は小さい頃から結構何回もレッスンの途中でないていますが)ところが、彼女(うぜーよちゃんの中1のおねえちゃんです)は、もうすでに3回は泣いています。もちろんまだ私の教室に来て10ヶ月足らずの子ですから、叱るようなこともひとつもないし、どちらかといえば熱心で頑張りやの彼女にきつく言ったりなんかするはずもないのですが、どういうわけか、彼女はよく泣いてしまいます。どうも自分で納得がいかなくなると、涙が出てきてしまうようです。
最初に泣かれてしまったときは動揺しておろおろしたわたしも、3回目ともなると落ち着いて考えられるようになって、しばらく黙って静かに聴いていました。彼女はぽろぽろ涙を流しているのですが、手は止めずに一生懸命バイエルを弾き続けています。時に唇をかんだり、時に嗚咽をもらしたりしつつも続けているその姿に途中から打たれてしまいました。がんばるなあ。
あんな風に悔しくて悔しくて仕方ないんだけど、負けるもんかとガンバル彼女を見ていると、その純粋さに胸が痛くなります。弾けるようになりたい、うまくなりたい、音楽を楽しみたい・・・・そうだよね、とてもよくわかる。彼女は幼かった頃のわたし。負けないで、がんばって。
それにしてもうらやましいな、そんな風に本気になって泣けること。大人になると、そう簡単にはくやしいやら情けないやらを口に出せないし、感情のままに振舞うこともできません。はらわたが煮えくり返っていてもへらへらしてみたり、冷静なふりをしたり。ちょっと彼女がうらやましいとも思ったできごとでした。