ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 レッスン事情その後

10月の初旬に仕事のことに関してかなり愚痴って反省したのですが、意外に反響が大きくて、奈良でも関西方面の友人たちに「大変だったね〜」なんて声を掛けてもらったり、その後どうした?とあちこち人に会うたび、いろいろな方に聞かれたので経過報告です。
・小学4年生のMちゃん
むずかしすぎる課題曲の伴奏をすることになったMちゃんは、気がつけばちゃんと弾けるようになってます。
やっぱり子どもってスゴイです。ムリと思ったわたしに喝!
本番はまだ。今週の木曜日だそうです。
本番ではもちろん楽譜を見てもいいわけですが、ほぼ暗譜(おぼえている)できてます。
コピーしたままの姿の楽譜をひらひらさせて弾いているので、ちゃんと厚紙に貼っておいで〜と言ったら一応貼ってきたのですが、その力作が早々に弾いてるうちに崩壊(笑)
ちょっと貸してごらん…と気をつけながら剥がしてみたら、裏は賞状でした(笑)
両面テープで四隅を貼っただけなので「ちゃんと糊で貼らなきゃダメ、こういう時はスティックのりがいいのよ」とやって見せたらなるほど〜と目を輝かせてました(笑)
聞けば、おかあさまがとっても忙しい方なので、おとうさんにやってもらったんですって。パパの愛情たっぷり。こそっと手を加えちゃいましたけど(笑)
指揮の子がものすごく早く棒を振るのだそうで、途中ひととおり弾けるようになったあたりで、なんとか指揮についていこうとするあまり、どんどん乱暴なタッチになっちゃって、うわぁこのままじゃダメだ!どうしよう…と思ったこともありました。
あせっちゃダメ…と言っても直らず。走ってる走ってる!と何度注意しても直らず。
そこでひたすらわたしだったらこういうふうに弾くけどな〜とていねいにお手本を弾いてみたり、「Mちゃん、こんな風に弾いてるよ」と彼女の弾きマネをやって見せたりして(笑)一緒に汗をかいてきました。
右脳型なので、言葉で何か言われてもあんまりピンと来ないみたいですが、やって見せるとすぐに言われていることのエッセンスがわかって再現できるという天才肌。
久しぶりに子どもが「こんな風に弾けるようになりた〜い!先生みたいに弾きたい!」と思うようなピアノを弾きたいと心から切実に願いました。
練習しよっ!


・大学受験のYちゃん
相変わらず真っ暗闇の中をふたりで手をつないで必死で歩いてる感じです。
AO試験1回目はなんと専門教科で失格。まさかのまさかず。全国大会とか行っちゃうような吹奏楽名門校のレギュラーバンドにいるので、絶対にそこは大丈夫だと思ったのですが…彼女は金管専攻で受けるので、ここは手の出しようがありません。
「落ちたことについて、受験先の大学の先生はなんて?」と聞いたら
「ごめんね〜ぼくの力が足りなくて〜学校推薦枠を作って、楽にうちのガッコに入れてあげる体制を作れなくてすいません。苦労をかけるね。でもまだチャンスあるから。大丈夫だといいなぁ。」と言ったとか。
何言ってんの!?ムキーっ!!「苦労をかけるね」って…受験なんだから。
「ごめんねじゃないでしょ。今、楽に入れたって、入ってからついて行けなきゃなんの意味もないんだからね。受かるといいねってお祈り?!受かるだけの実力をつけなきゃどの道卒業できないんだからね!!」と生徒が言ったわけでもないのに、怒りは収まらず。
楽典の先生といい、楽器の先生といい、彼女は先生に恵まれてないなぁ…わたしもか!!(笑)
生徒は「わかってます。だから今できることを全部やらなきゃダメなんですよね。今やってることはひとつもムダなんかじゃない。」とオトナな対応をしてくれたのでよかったです。どうあれ生徒の前で仮にも彼女が今習っている先生のことをボロクソに言うべきじゃなかったです。
プラス楽典は受かったけれども、やっぱり聴音で失格。
知らなかったのですが、A0はあと一度チャンスがあるとのことで、またちょっと時間をおいて2回目の試験を受けました。
2度目の試験の結果、専門教科は2次試験に無条件で進めたのですが、聴音だけはやっぱり条件付き。失格にならなかったのは、一回目に比べて飛躍的に進歩したから…だそうです。よかった。
そこで「大学の聴音の先生は今度こそ見てくださるって?」と聞いたら、「わたしは忙しくてまた出張だから…これからは毎日でも地元の先生のところへ行きなさいよ。しっかりやってもらわないとダメじゃない。問題を送ってあげるから、それを持ってってちゃんと教えてもらうように」と言われたそう。
「ここをしっかり」と学校の試験の傾向と、受験のための専門用語の要点を書いたメモ書きがなんと「わたし宛てに」やってきました。
とうとう公然とパシリになってしまった(笑)
気弱になったのか「落ちたらここを受けたいんです。」と先日別の学校の願書を持ってきた彼女。
とりあえず受かる気でがんばろうよ!さらにここももわたしの出身校じゃないんですけど。これもやっぱりわたしが!?…
言いたい気持ちを抑えて、できることをコツコツと…
タイのあるリズムにはだいぶ慣れてきたし、音程もちょっとずつですが、確かに取れるようになってきたと思います。
でもいまだに和声聴音で、バスがラなのに右手をミソシと取ったりします。そして「うそ!そんな和音はアリエナイ!!」とわたしに叱られる彼女。
ため息をついてる時にふと思い出しました。
そうだった中2の時、初めて彼女がピアノを習いたいと思ったのに、「できれば音大を受験したい」と言ったら、絶対にムリ…と2人の先生に断られて3人目の先生としてわたしのところに彼女が来たのだった。
ほんとに「まんなかのドはここ」から始めて、中学を卒業する頃にはもうブルグミュラーがほぼ終わっていたのです。
そうだった。こうやっていつも後ろから全速力で走って追いついてここまで来た子なんだった。本当に頑張りやさんで、負けない子だったのです。今までだってそうやってやってきたんだった。大事なことを思い出しました。勝手にあせっていたのはわたしだったのかも。ごめんね、Yちゃん。
そんなこんなで彼女のペースがちょっと掴めてきたので、まだまだ全然安心とは言えませんが、ふたりで行けるところまで行ってみよう。
笑顔やジョークも言える雰囲気が戻ってきました。最終試験まであと1週間。集中レッスンは今週でひと区切り。ここで合格できたらいいんだけどなぁ。


・保育科の学生のNちゃん
このコは学習障害かもしれない…と以前におかあさまから相談された生徒です。
昨年は楽典とフランス語と英語と…6つも単位を落としてしまったそうなのですが、中でも楽典があまりひどすぎるということで、うちに補習レッスンに来ています。
昨年の小テストでは10点満点で、1点とか2点取れればよい方、本試験でももちろん落第。初めてのことに慣れて飲みこむのが極端に苦手なんですって。ああ、わたしもだからよくわかる。オトートもそうだからよくわかる。でもみんなが同じスピードで理解しなくちゃいけないなんて、そもそも誰が決めたんだ!誰を基準に決めてるわけ?
というわけで、青くなっておかあさんと共に相談に訪れて、ピアノだけじゃなく楽典のレッスンも始めました。
そしてここ半年…徹底的に基礎をやってきたので、昨年と同じ問題ならずいぶん解けるようになってきました。
一度できるようになって「わかった」となってもしばらくすると忘れちゃうので、同じ問題をとにかく何度でも解くという反復練習のひたすら繰り返しです。
ピアノは中1から始めて、大学2年の今、やっとバイエル100番を越えました。ペースはかなり遅いですが、できないのが悔しくてしょっちゅう泣きながら…それでもほんとにめげずによく練習してくるので、彼女も必死、わたしも彼女のやる気にこたえるべき、必死にならざるを得ません。
そんな彼女が先週テスト勉強をしに補習でやってきて、「先生もうヤダ。ピアノも楽典もやめてやる。こんなの大っきらい。わたしにできるわけない。こんなクソ曲弾きたくもない」と泣きながら言いました。
言葉だけを追うと相当腹立つ感じですが、そう言いたくなる気持ちもわかります。
あんなに人の何倍も練習しているのにどうしてもできないのです。そりゃあ悔しいだろうと思います。
しかも大学の担当の先生がかなり意地悪で、みんなの前で彼女のことをボロクソに言うんですって。
「わたしがどんなにがんばったって、みんなへたくそって笑うだけ。だって何回やったってできないんだもん。わたしのピアノや楽典がどうなろうが、わたしがやめようが誰も気にかけてやしないし、もうほんとどうでもいい。こんな不出来な子がひとりいなくなったって誰も気がつきもしやしない。」
と彼女。
普段はおとなしい子ですが、激昂しているので、相当強い口調で手を真っ赤に握りしめてそう言いました。もう涙で顔もぐちゃぐちゃ。
こうなると手のつけようがありません。
そこで…何か彼女がやる気になるようないいことを言えたならカッコイイのですが、それに対して、彼女に負けず劣らずカチンときていたわたしの口からでたひとことは…
「バカじゃないの?あんた」でした。バカ〜っ!
「今となりで必死にあんたと一緒にピアノを弾いたり問題解いたりしているのは誰ですか?って話だよ!」
「どーでもいい生徒をさ、週明け月曜からレッスン日でもないのに呼び出して、わざわざできない問題解かせて泣かすなんて、そんな嫌われること、誰がわざわざするもんですか!!」
思わず出る出る……あ〜あダメじゃん、絶対に信用をなくしたな。子どもみたいにいっぱい言い返してしまいました。
しかもこっちも涙声になってるし…だってあまりにも悔しくて(笑)そしてもちろんNちゃんがあまりにも気の毒で。
ところが…そのひとことで我に返ったのか、その後は何度弾かせても何問解かせてもとっても集中していいレッスンができたのです。
ああほんとに彼女は七転び八起きの子だ。絶対にあきらめない。
そのNちゃんが楽典の小テストの結果を持ってきたのが今日。
なんと今まで1点くらしか取れなかった小テスト、今回は9点だったのだそうです。スバラシイ!!
しかも残りの一問はケアレスミス
あんな恥ずかしい大騒ぎ、どなり合いをした甲斐がありました(笑)
わたしは彼女以外の生徒を泣かしたことは一度もないし、決して怖い先生じゃないと自負しているわけですが、彼女と向き合うと時々ありえないくらい「イタイ」先生になってしまいます。
5年前くらいにも、何もかもに投げやりになって荒れたことがあって、便箋5枚もの手紙を書いたこともあります。我ながら自分のそのしつこいやり口にドン引きしたこともあります。
どうも何年かおきにこうなっちゃうのは、相性が悪いからなのかなぁ?…レッスンが終わると、すっごくフレンドリーなんだけどなぁ。かわいくてしかたないと思ってるのになぁ。
年の離れた妹想いてやさしい子だし(妹はうぜーよ姫)犬の散歩とか家事とか、たくさんお手伝いもする子だし、なによりとても細やかな心遣いができる子なのです。よ〜くわかっているのにな〜
残念ながら別の教科の「たきび」の弾き歌いは再テストになってしまったらしいですが、きっと今努力していることはムダじゃない…はず!一歩一歩。今日の一歩が明日のための一歩になりますように。


・Aちゃんのこと
1年生のAちゃんが先週の金曜日、顔半分が隠れるような大きなばんそうこうをしてやってきました。
「どうしたの〜!?」
聞いてみたら、側溝に顔から落ちたのだとか…鼻のまわりが腫れあがり真っ青になってしまったのだそうです。
「がっこうからね、せんせーとびょーいんにいったの。Aちゃんね〜すごいかおになっちゃったんだよ」と本人至って無邪気でのんきです。
ところが次のひとことで仰天して胃がしくしく。
「あした、Aちゃん七五三なんだ〜!おしゃしんとるって!」
えーーーーっ!?
あまりのタイミングの悪さに思わず固まるわたし(笑)なんて気の毒なんだ、ご両親!!
きのう見えたおかあさま「青〜い顔して撮りました。はははっ一生の記念ってヤツですね!」って(笑)
超愛らしい顔をしているだけに絶句した出来事でしたが、本人はいたって呑気です(笑)
「Aちゃんね〜あおあおせーじん!(青々星人)こわい?ねえこわい?せんせー。」ですって(笑)
彼女、ただ今やっと両手で引き始めたところです。
まだまだ弾くよりも手遊びや歌、リズム遊びをいっぱいやりたい1年生。
「おさるのかごや」という曲が気にいって、何度も何度も「見てて〜!」と言いながら弾いてくれます。
もちろんピアノにはなんの支障もありません(笑)
「あんまり外に行けないならこの機会にピアノをいっぱい弾こうよ〜」と言ってる端から「帰ったらなわとびするの。二重跳び〜」とどこ吹く風のAちゃん。まっいっか(笑)