ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

2016年6月 奈良旅の記録 その7  丹生川上神社下社

時間を書くのを忘れてました。
長谷のバス停に到着したのは、ほぼ定刻どおり、12:53でした。
下市口駅から乗って33分。意外とすぐに到着したでしょ?

この神社は天川村へ行く時は必ず前を通るので、何度かレンタカーで行ったことがあります。

車でまっすぐに上がってきたイメージでは、まだそんなに山深いところではない、里に近いところだと記憶していたのですが、前の日記にも書いたとおり、バス道を通ってくると、実際にはここまでにすでにかなり山深いところや、細い山道を通ってきていて、この辺りでいきなり視界が開けたような不思議な感覚があります。

通りを挟んだ向こう側は丹生川なので、せせらぎの音がします。
日本最古の水の神様が祀られているところで、「絵馬」発祥の地でもあるそうです。

この時点で雨はかなり小雨になっていて、そろそろ止むかなぁという感じ。

木でできた立派な一の鳥居はとても重厚感があります。
向こう側に二の鳥居、そして拝殿が見えています。

次のバスが出るのが13:53で、ちょうど一時間後なので、たっぷりと時間はあるし、まずは社務所の方にひと声かけて、荷物を置かせていただいてもいいですか?とお聞きしたら、こちらのもっと人がいるところの近い方へどうぞ、と、快く了承してくださいました。

どこへ行ってもやさしい方々に出会います。しあわせなことだなぁ。

まずは拝殿へ向かい、お参りをしてからぐるっと散策して回ります。
とても静かで気持ちのよい神社です。


拝殿はこんな感じです。
屋根のところが雨に洗われてとても美しかったです。
いろんなことに敏感なショコラ嬢が「なんだかとってもいい「気」だなぁって感じがします!と言ってました。

拝殿の画像の上の中央に建物らしきものがちらっと見えているのですが、わかるかしら?
これが本殿です。

拝殿からもちらっとだけ見えますが、拝殿の奥に急勾配の階段があって、その上の方に本殿があるのですって。
6月1日に大祭が行われて、その日に行くとかなり近いところまで行って拝むことができるのだとか。

いつか行けるといいなぁなんて思いつつ。

裏手には大木があって、ご神木とのことで、触ってお願いをするといいと書いてあったので、静かに手で触れて手を合わせます。

白と黒の馬がいて、お天気がいいと外に出ているのですが、この日は雨が降っていたので、馬舎に入っているようでした。
よく見ると、馬舎の入り口にも紙垂(しでと読みます。あの白い紙でできた、ぎざぎざの、しめ縄などによくついているもののこと。)がひらひらと風に揺れています。

神馬だからだね・・・なんて言いながら、近づいてみたら、身体の大きな白い馬は顔が見えましたが、黒い馬はポニーで、背丈が小さいので気配だけ。
姿を見ることはできませんでした。

前回行った時に、雨を祈り「黒馬」が、晴れを祈り「白馬」が献上されたと書いてある碑を読んだのを思い出したのですが、どちらかだけじゃなくて、晴れと雨、両方併せて願っている感じがとっても人々の暮らしに寄り添っていて、好きだなぁと思います。

ここの宮司さんのお顔が入ったパンフレットが置いてあって、どこかでお会いしたことがある?と一瞬思ったのですが、違いました。テレビの特番で拝見したのでした(笑)

あの番組どこへ行っちゃったんだろう?残ってるかなぁ?もう一度見たいなぁ。


さて。こちらが社務所側です。

そして、ショコラ嬢がご朱印をいただいたり、少し巫女さんとお話をしたりしてから、右側にある椅子に腰掛けて、さきほどいただいた社報を読んだり、神社の雰囲気を楽しんだりして、バスの時間を待ちました。

小冊子には、先日6月1日に行われたばかりの大祭のことや、宮司さんのご挨拶などが載っていたのですが、これがここで読んだからというのもあるかもですが、とても心に沁みる言葉たちで・・・思わず途中から声を出して読みつつ、いいこと書いてるね〜と感嘆モードになるわたしたち(笑)

特に印象に残ったのはここでした。

今は経済効率こそが幸せ それに乗り遅れれば不幸のような誤解をしています
日本の幸せは人として人の為に生きることです

ストレートなこの言葉が、昨今の世の中にあって、とても心に残りました。
特に奈良の山間部に入ってから「日本の幸せは人として人の為に生きる」というのを普通に実践してらっしゃる方々にばかり会ってきたこともあるかもしれませんが、深く頷きたくなるようなことばかりでした。

さらに「神さまは 穢れを嫌うのではなく やる気を無くす『気枯れ』た姿を悲しまれる」と書いてある部分があって、そこにもなるほど!と思いました。
現代社会のわたしたちはいつもくたびれていて、ぎりぎりのメンタルで生きていて、やる気は失われがち。
そんなこんながたまりにたまって、なんとなく無気力に見える、あきらめたように見える世の中が浮かんで、こういうことかも?と思ったり。

さらに「温故知新」という文章の中で「昔の日本人はお金で買えないものを知っていた。」から始まる部分があって・・・

今、日本は多くの問題を抱え、出口が見えていないようにも思えます。そして思考や価値観が大きく変わった日本ではその出口すら曖昧なものと感じます。

という部分には大いに共感しました。

西洋文化の中で(物質的)豊かさを得た日本人だけど、ほんとに古来から日本人が大切にしてきたのは「人と人」の関わりのはず。

日本の問題は 経済や結果を求める余り 人の心が悲鳴をあげている。

というくだりもあって「ほんと、その通りだよね〜」なんて小さい声で言い合っていたら・・・

神社の女性の方が、いい匂いの湯気が立つお盆を持ってこちらへいらっしゃるではありませんか!!

なんと、バス待ちで、ただ座って話をしていたわたしたちのために、神社の方がコーヒーをふるまってくださったのです。
実はとても喉が渇いていて、雨降りで梅雨寒の日和だったせいもあり、こういう温かいものをとても身体が求めていたのでした。

コーヒーは少し甘くて、ほっこりやさしいお味でありました。

ああ、本当にありがたい。

なんだかほんと、あちらこちらで「袖振り合うも多生の縁」という出来事が次々起こるんですけど。

もしやこれは夢の中の出来事なの?それともわたしたちがこういうことを忘れているから、神さまがとってもやさしく「忘れ物ですよ!」あるいは「落し物ですよ!」って次々いろいろなことを教えてくださるのかしら。

ショコラ嬢とふたり、ぺこぺこと頭を下げながら、言葉にならないしあわせに浸っている間に、そろそろバスの時刻がやってきて・・・

わたしたちは再度お礼を言って神社を出ました。

ちなみにこの神社では「天香山勾玉守り」というのをいただいてきました。
香具山の土でつくられているお守りなんですって。
「一年間持ち歩いたあとは、家の敷地で土に戻してご家庭に天香山の大いなる力をお受けください。」と書いてあったのに強く心惹かれました。
小さな小さなサイズで持ち歩くにも良さそうです。

ちなみにバス停はこんな風。
ほんと、ジブリの映画に出て来そうなところです。

バス停の近くには村役場なのかな?公的なきれいな建物があって、わたしたちが通りがかると、そこからおじさんが出て来られて、通りの向こう側から「これ、持ってますか?」とパンフレットを見せてくださいました。

目をこらすと「しもいちさとやま読本」という冊子で、実はこれ、わたしたちは日本橋の「奈良まほろば館」ですでにいただいてきたものなので「持ってます!ありがとうございます!」とこれまたぺこぺこしながら言うわたしたち(笑)

「それはよかったです。」と笑顔でおっしゃるおじさん。
またしてもやさしい方に出会ってしまった!

この冊子は観光情報誌でありながら、まるで写真集のように、中の写真がとてもとても美しいのです。

美しい桜、美しく紅葉した銀杏を背景に重厚にぶらさがる梵鐘。

夕陽に黄色く染まる川。

雲ひとつない青い空とたわわに実る柿の実。

これ、とっても素敵なので、まほろば館に行かれることがある方はチェックしてみられるといいかもです。
下市の町にもとても興味が沸きました。

おじさんとの会話もそこそこに、そろそろバスの時間がやってきて、わたしたちは挨拶をして、バス停へ。
ほぼ定刻どおり、バスが来ました。

13時53分発車。

ちょうど30分で、目指すバス停「天河大弁財天社」に到着予定です。