ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 夢中になれるしあわせ

 ちょっと前にお友達のケリー中毒さんに「おもしろい本があるよ!」と教えていただいた本をここのところ次々と読んでいます。
ケリー中毒さんとの出会いは数年前のふぇるまーたで、そもそも仲良しになったきっかけはもちろんつよしさんなのですが、彼女の読書の趣味はわたしのそれとぴったりで、彼女が奨めてくださった本は100%はずれがなくわたしの趣味のど真ん中。
というわけで、いつもお世話になりっぱなしですみません。大好きです、ケリー中毒さん!!(ここで言うな、笑)
その前に長々話題にしちゃってごめんなさい、ケリー中毒さん(ただただケリー中毒って言いたいだけの人みたいになってますね、笑)
さて、つっこんだ感想を書くのはもうちょっと後にするとして「今何の本を読もうかしら?」という方がいたらぜひぜひオススメしたいと思う本たちなので、とりあえずざっと紹介だけしておきます。

天地明察

天地明察

これは本屋大賞受賞作品です。
ちょっと前に読み終わったのですがまだまだもっともっと読みたい気持ちになっていて、寝る前とかにぱらぱらっとめくっては開いたページを読んでます。
心がじんわりと暖かくなって、読後感が本当にさわやかです。人と人とのご縁の素晴らしさを実感します。
時代を超えて(一応時代もの?というくくりになるのだと思いますが、読みにくくはないです!)こんな風に生きられたらいいなあと思います。
何より主人公の穏やかだけれども不屈の精神に、気がつけば「負けないでがんばって!」とエールを送ってしまいます。
そして「今日も一日がんばるぞ!」とパワーをもらえます。
実直、素直、謙虚であることの素晴らしさを実感します。
誰に何と言われようがまっすぐな想いを抱き続け、どんな状況になっても夢や希望を捨てずがんばり続ける人は美しいです。
この本はこれからも繰り返し繰り返し読みたいです。
更にこの本を読んでいると、主人公のみならず、彼を囲む登場人物がどの人もとても魅力的で人間っていいなと思わされます。
ある人の強い想いがあって、気の遠くなるような努力があって。でも寿命との闘いもあって。
その自分が生涯かけてやりかけたこと、完成はみなくてもとても大切な成果の数々…それらを惜しみなく次の世代の「これは」と思う人にバトンのように託して人生の幕を引いていく先人たち。
この物語を読んでいると、年を重ねた人たちの知恵やこれまで重ねてきた人生が、いかに次世代の人にとっても「宝物」で、人生を重ねてきた世代の人たちを「立ち枯れ日本」などと揶揄したり(この政党を押しているとかではないです、念のため!)「後期高齢者」なんて言い方を平気でするこの国はものすご〜く愚かな方向へ向っているのではないか?と思わされます。
この本の主人公ももちろんとても魅力的な人ですが、まわりで彼を支え彼のために命をかけて尽力する年配のみなさんがあまりに魅力的な人揃いで、だからこそこの本の魅力がより増すのではないかと思いました。
特に最初の方に出てきたおじいちゃんたち(あえて卑近な言葉で言いますが、笑)の魅力的なこと。
厳格で知恵者で、しかも無邪気で子どものような好奇心を無くさずにいて。影になり日なたになり、主人公の若者を力強く支えていきます。
こんな風に生きられたらいいなぁ、こんな方々がそばにいてくれたらどんなにか心強いだろう…と何度も何度も思いました。
まだ読んでらっしゃらない方の邪魔にならないように、あえてとって抽象的な感想になっちゃったのですが、とってもオススメの本です。
それからもうひとつ。
これはまだ読み終わっていないのですが、これもケリー中毒さんにオススメいただいた1冊。
ただ今夢中になっている本です。
国銅〈上〉 (新潮文庫)

国銅〈上〉 (新潮文庫)

国銅〈下〉 (新潮文庫)

国銅〈下〉 (新潮文庫)

帚木蓬生氏の著作では「閉鎖病棟」が一番最初に出会った本で、この本の感想を書いた時も絶賛した覚えがあるのですが、この「国銅」も彼の作品らしい人に対するやさしさや暖かい目線があるとても素敵な物語です。
奈良好き、つよしさん好きの皆さんには特にオススメいたします。
なかなかイメージしにくい奈良時代の暮らしや、大仏建立にまつわるできごとが、以前ドラマやテレビの特集で見たような地位の高い人々の目線ではなくて、庶民の目線で読むことができてとても興味深いです。
この本を全部読み終わってから奈良に行ったら、歴史的建造物の数々を見たら、また違う感想を持つのではないかと思ったりもします。
東大寺の「盧舎那仏」建立のための材料「銅」を作る人足「国人」が主人公です。
amazonの紹介文はこんな風に書かれています。

内容(「BOOK」データベースより)
歯を食いしばり一日を過ごす。星を数える間もなく眠りにつく。都に献上する銅をつくるため、若き国人は懸命に働いた。優しき相棒、黒虫。情熱的な僧、景信。忘れられぬ出会いがあった。そしてあの日、青年は奈良へ旅立った。大仏の造営の命を受けて。生きて帰れるかは神仏のみが知る。そんな時代だ。天平の世に生きる男と女を、作家・帚木蓬生が熱き想いで刻みつけた、大河ロマン。
内容(「MARC」データベースより)
極上の銅を命懸けで掘り出し、精錬して鋳込む。若き国人も仲間と共に都に向かった…。奈良の大仏造りに身を捧げ、報われずに散った男達の深き歓びと哀しみを描く大平ロマン。

結構分厚い文庫本ですが、あっという間に半分読んでしまって、続きはもったいなくてチビチビ読んでいます。
悲惨な出来事も少なからず描かれていますが、読後感は決して悪くはなく、主人公の聡明さや人と人とのつながりに心打たれながら読んでいます。
これから夏本番な感じですが、「暑い、暑い」と文句を言っても仕方ないし(笑)今年の夏休みは(とはいってもわたしにとっては夏休みでもないですが、笑)本の世界をとことん旅してみようかなぁと思っているところです。