ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 意外なところで役立つノウハウ


 水曜日に、念願だった東京国立博物館薬師寺展に行ってきました。画像はその時のチケットなのですが、写真に撮ろうと思う前にうっかり糊付けしてしまったので、手帳ごとアップです(笑)
 薬師寺と言えばお寺の中心に国宝の薬師三尊像があるところです。病気を癒やす神様・・・ということで、我が家的には、どうしても真っ先にお目にかかってお願いしたい神様でもあります。
 また、奈良に行ったとき興福寺で仏像を見てからというもの、今まで感じたことがなかった「もっと仏像を見たい」という感情がふつふつと沸きあがってきていたところでした。
 仏像の載っている本に目を留めたり、大仏にハイビスカスの例のTシャツを着たりしていて、もしかして「仏像にはまりかけてる?」と思い始めた頃には、仏像や仏教のことをよく知っているわけでもないのに、軽々しく「こういうのが好きだ」とか「この形がすごくいい」とか言っていいのかしらね?というようなことをクラシック系の友達に話しました。
 その時彼女が「あら、『クラシックはむずかしくてわからない』とか『楽譜もわからないのに』とか言う人に、わたしたちは『あまりこむずかしいことを考えずにただ、感じてみればいいのよ』なんて言うじゃない。それと同じなんじゃないの?」と言い、なるほどと思いました。
 そしてほどなくみうらじゅんさんといとうせいこうさん、モデルのはなさんの仏像に関する本との出会いがありました。たとえばこんな本たちです。

見仏記 (角川文庫)

見仏記 (角川文庫)

ちいさいぶつぞう おおきいぶつぞう (幻冬舎文庫)

ちいさいぶつぞう おおきいぶつぞう (幻冬舎文庫)

 イメージの中の仏像本は、仏教の歴史的、美術的、宗教的な見地から大真面目に書かれていて、意味がわからない用語なんかもたくさん出てくるはずだったのですが、そういうのとは全然違うのです。
 とっても卑近な目線で書かれていて、肩の力が抜けてとても楽しいのです。ただ見たままに感じたままにまるで『仏像ファン』とでもいうかのような目線でラフに語っていて、こういうとっかかりでも全然いいんだなあと思わされます。もちろんおふたりはただの仏像ファンではなくて、はなさんは上智大学で東洋美術や仏教美術を勉強された方ですし、みうらじゅん氏もまた、趣味が高じて中学校から仏教系の学校に通っていたのだそうです。そういう方々が「逆三角形のナイスボディー!」とか「美形部門のトップクラスに入る仏さまたち」ともおっしゃっていて、ああ、そういう見方もありなんだなぁと安心したわけです(笑)
 そんなわけで、奈良の強烈なインパクトのある旅の後、追い討ちを掛けるようにいくつかの偶然が重なって、どうやら同じような気持ちでいた友人とともに、引き寄せられるように出かけてきました。
今回の展示の目玉とも言われている日光月光菩薩が、大切に梱包されてはるばる奈良の薬師寺からはるばる運ばれるところをテレビで見ました。
 本来ならこの菩薩様たちの真ん中に薬師如来さまがいらっしゃり、日光、月光菩薩はその両側にいらっしゃるのだそうですが、薬師如来さまは薬師寺でお留守番で、日光菩薩さまと月光菩薩さまが二人旅をして、東京の国立美術館にやってきたのだそうです。これらの仏様が作られたのは1300年も前のことなのだそうです。
 と、ここら辺の話は、一緒に見に行った友達に見せてもらった「迷宮美術館」という番組で予習したときに知りました。
 さて、もう開催日が残り少ないということで、多分混んでいるだろうと予想はしていたのですが、行ってみてびっくり。そもそもチケットを買うだけで20分待ちだし、そこから敷地の中に入ると、最後尾と書いてあるプラカードに、「1時間半待ち」と書いてあります。まさかそれほどだとは思っていませんでしたが、ここのところ幸か不幸か行列には慣れっこなので全然平気(一番最近印象深かった行列はというと、『十六茶カフェ』だろうな〜多分、笑)ためらうこともなく最後尾について、そこからは友達とずっと近況報告やらお互いの家の話やらしながらまったく苦にせず待っていました(笑)
 そんなこんなでようやく建物の中に入れたのはお昼も過ぎていて、時折おなかをぐーぐー言わせながら鑑賞してきました。
 会場に入ってほどなくとても惹きつけられたのは狛犬の阿形と吽形です。
 それから、聖観音菩薩立像の、穏かでやさしいお顔にもとても惹きつけられました。一度立ち止まって見入ってしまうと、なかなか立ち去り難い何かがあって、つかまったように佇んでしまうのはなぜでしょう!?
 さて、日光、月光菩薩ですが、薬師寺にあるときと違って光背が取り払われているので、後ろからも見ることができます。
 少し高い遠めの場所から見たときと、近くの下から見上げた時と、お顔が全然違って見えるのがなんとも不思議でした。じっと佇んでお顔や装飾品の数々や、キレイに均整の取れた身体を見ていると、なんて美しいのだろうとため息がでます。横はどうなっているのか、後ろはどうなっているのかと回り込んでいると、細部まで本当に手が込んでいて、どこからみても本当に美しい均整の取れた丸みのある美しい形をしています。そういえば、仏像の形を細部までこんなにじっくり見たことはなかったし、そのお顔もあんなにまじまじと見たのは初めてでした。
 更に、この方々のお顔はとっても清々しくて穏かなのに、身体はS字にくねっていて、丸みを帯びた肩から腰のあたりもとっても艶かしいことにもびっくり。装身具がたくさんついているのは、「菩薩」という身分で、まだ「如来」になる前の修行中の身だからなんですって。
 「迷宮美術館」では、このことをわかりやすくたとえていて、薬師如来をお医者さまとすると、日光、月光菩薩は、まだインターンといった感じ・・・と言ってました。
 というわけで、あっちから見たりこっちから見たり、上から見たり下から見上げたりしている間に、「双眼鏡があれば、もっとよく見えるのに!」なんてことまで思ってしまったわたしです。存分に時間をかけてガン見した後、名残惜しく次の場所へ移動しました。
 その他にもお経があったり、薬師寺の瓦があったり、屏風みたいなタッチの絵があったり、吉祥天像があったり、見所がたくさんあって、お腹がぺこぺこのわりには、ずいぶん長い時間中にいました。とっても失礼な話ですが、絵を見ている間中、なぜかBGMのように頭の中で「ぼうずがびょうぶにじょうずにぼうずのえをかいた」という早口言葉が鳴っていて、どうしても止められませんでした(笑)なんで!?
 最後に出口を出たわたしたちを待ち受けていたのはグッズ売り場もとい「おみやげ売り場」で、ここでまた足をとめてしまったわたしたちは、手馴れた手つきで「日光菩薩」「月光菩薩」さまの写真を眺め、「こっちの方がアップだよ」とか「こっちの方が全身写ってるからいいんじゃない?」だの、どこかで聞いたようなせりふを吐きつつ(笑)2枚ずつ絵葉書を購入しました。こういうやりとりに妙に手馴れている自分が悲しいです(笑)気がつけば原宿で、イベント会場で、ライブグッズ売り場で培われたノウハウがちゃんと生きているわたしたち(笑)どうかと思うけれど(笑)
 とにかく猛烈にお腹がすいていたので、その後パスタを食べにいったのですが、「すばらしかったね〜」の会話がひと段落した後、どちらからともなく「あの日光、月光さまたちがふたり並んで立っているのを遠めに眺めていたとき、誰かさんたちを想像しなかった?」とか「あの撫で肩とかさっ!丸みを帯びた身体の線とかさっ!多分同じ人を思い出したよね!」とか・・・
博物館の中ではひとつもそんな話をしなかったのに、突然せきを切ったように言い出すわたしたちがおかしかったです。
 まあそんな話は蛇足ですが、あまり予備知識がなくても十分楽しかったし心が「しん」とする気持ちがいい瞬間もあったし、これでもうちょっと詳しくいろいろなことを勉強して行けばもっともっと楽しいだろうし、やっぱり奈良でふたたびあちこち回りたいし、回るなら春もいいし、もみじの頃もいいしね・・・友達を何人か誘ってみんなで旅ができたらもっと楽しいかもよ・・・とか、限りなく明日への希望がふくらんでしまったわたしたちなのでした。 
 実を言うと、まだまだ読みかけの本や図書館で借りてきた本がたくさんあって、今後も仏像の探求は続いていく予定です(笑)
 更に「みうらじゅん」さんから始まって『ゆるキャラ』へと興味がうつりかけていたところへ、また次の日記につながるお話が・・・こうやってなんだか最近とっても偶然に導かれているような気がします。こういうのってとっても楽しい!(笑)